ウラナミシジミのふしぎ

 8月の終わりごろになると姿を見せてくれる『ウラナミシジミ』。今頃の里山ではチョウの中で、もしかしたら一番数が多いかな?


 そう言えばこのチョウのことをよく知らなかったなあと、この機会に調べていったらビックリ! この何気ない普通種のチョウにビックリする秘密が! 

 何とこのチョウは越冬態を持たないのです!通常、このあたりにいるチョウは、子孫を残すために冬を越すのに何らかの形で越冬をします。

 例えばモンシロチョウやツマキチョウは蛹で越冬、キチョウやアカタテハは成虫のままで越冬、コミスジやツバメシジミは幼虫で越冬・・・というようにすべて決まっています。これを称して「越冬態」といいます。

 名著「日本のチョウ」(小学館 海野和男著)にはどのチョうにも、この越冬態がどれかを書いてあるけど、このウラナミシジミには「?」となっています。ん?んん?何じゃこりゃ!?!

 ウラナミシジミは越冬態を持たない?!?・・・ということは冬になると全部死んでしまうということ?!それじゃ翌年はどうなるの?という疑問がわきますよね?

 「日本のチョウ」には越冬可能地の北限は本州南岸の無霜地帯で、そこをステーションに発生を繰り返しながら北へ拡散し、初冬には何と北海道にまで達するといわれる・・・と書いてありました。

 何でそんなことするんだろうという疑問がわいたので調べてみました。あったあった!
すごい虫のゆかいな戦略 サバイバルをかけた虫の生きざま」(安富和男著 講談社)に載っていました。

 それによるとウラナミシジミはマメ科植物の花穂にだけ依存して育ち、しかも♀は特定の花穂に集中して繰り返し産卵する習性をもつため、過密になりやすい。

 増えすぎれば共倒れになる可能性が高い、最悪だと絶滅の危機も!そこで定住組と移住組に分かれるという方法をとるんだって!

 その運命の分岐点は何かというと、そのカギはホルモンにあり、その働きが新成虫の進路を決めるらしい・・・だって!

 越冬できないのが分かっていながら産卵を繰り返すってのは、種族の維持という基本から外れていてカワイソ~! だけどこれも自分たちで決めたこと?それとも自然の摂理?


 磐瀬太郎というチョウの研究と啓蒙に一生をささげた研究者は『さまよえるウラナミシジミ』と名付けました。

 彼らの調査によると越冬の北限とは①房総半島の南端 ②静岡市久能山南麓 ③三重県志摩半島 ④熊野灘沿岸 ⑤高知市から物部川河口までの沿岸 ⑥鹿児島県西桜島や指宿市の海岸でこのチョウは冬も成長を続けているとのこと。
※この本は1998年発行なので、現在はこの限りではないのかもしれません。

 ところで、浜松は越冬できない地域に入っているか・・・というと、そうでもないようで、何と佐鳴湖で、2回越冬個体を観察しているんだけど、これってすごいこと? 
どちらも越冬チョウとかツバメシジミの新春第一号を探しに行って見つけちゃった! ムフッ、ラッキ~!


2009.3.5 佐鳴湖


こちらは2010.2.8 佐鳴湖




2 件のコメント:

  1. 初めて知ったぁ~!そうなんだ。ウスバキトンボと案外似ているのかもね。あちこち移動して暮らしているわけだ!!となると主な繁殖地はやっぱ熱帯とか亜熱帯かもね。

    富士見平に生えている?(いや植えられたが正しいかな)コマツナギには、タカの渡りシーズンに良くやってきましたヨ。

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  2. そうなんです! ウラナミシジミのことを調べながら頭の中ではウスバキトンボのことがチラチラ!
    kunichanでも知らないことがあることを発表できると・・・「エッヘン!」と胸をそらせたくなっちまいます! 人生死ぬまで勉強じゃ~~! 
    ということで今度はウスバキトンボのことを調べにゃアカン! フィ~!

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