学力テスト Vol.501-3 オオバン その2 ~ 収斂進化(しゅうれんしんか)~

 オオバン その2 ~ 収斂進化(しゅうれんしんか)~

オオバンを語るのに外せないのは、あの弁足。

何度見ても、ついついレンズを向けたくなるほどに魅力的で特異な部位。
どうしてもシャコバサボテンにしか見えません。

こちらはカイツブリの弁足

趾(あしゆび)にそれぞれ皮膚が変化した弁膜と呼ばれる水かきが付いている点は同じですが、オオバンのようにシャコバ型ではありません。

同じ水鳥とはいえ、オオバンはツル目クイナ科、カイツブリはカイツブリ目カイツブリ科で全く異なる種類です。ということは共通の祖先から弁足を進化させたわけではないのです。
どちらも「潜水して泳ぐ」という生活に適応した結果、皮膚が発達して似たような構造になったということです。

オオバンは泳ぐだけでなく水草の上や陸上も歩く生活をしているので、カモのような完全な水かきだと不便です。
それが弁足という形なら水をかく時に広がり、足を前に出す時は弁足がたたまれます。また水草や土の上も歩きやすいのです。
要するに「泳ぎと歩きの両方を兼ね備えた万能型に進化した」最善の折衷案なのです。

カイツブリの場合は潜水に特化していて、地上を歩くのは苦手です・・・と言うより、地上を歩いているのを見たことがありません。
観察していると、たまに足を上げることがあるので注視していると見ることができます。

双方を比べると脚の位置も全然違います。この点は皆さんで確認してみて下さい。

このように異なる種類が似たような進化をすることを「収斂進化(しゅうれんしんか)」と言います。
※他の例では、空を飛ぶ「コウモリ」と海を泳ぐ「イルカ」が、どちらも「エコロケーション(超音波)」と言う能力を進化させています。

オオバンのヒナ
この立派な足を見てください!

弁足のピラピラはまだ親ほどには発達していないようです。

ハスの葉の上も自由に動き回ります。

さてさて、せっかく貴重なヒナに会えたのだから、絶対に撮らねばならぬのが「頭かき」!!

何とかやってくれたけど、後ろ向きじゃダメじゃん!

今度は足はしっかり撮れたけど、肝心の顔が見えない~~!!

チャンスを待つこと数10分。ようやくしっかりと撮れました!!

何とこちらは2羽が同時に「シンクロ頭かき」!!


右下の子が頭かきを終わってあくびをしてるのに、左の子はまだまだ永遠に頭かきが続いてました。よっぽど頭がかゆいのかな? 次回へ続く。
















学力テスト Vol.501-2 オオバン その1 ~ ド派手なシグナル ~

 オオバン その1 ~ ド派手なシグナル ~

いよいよ始まったサッカー・ワールドカップ! 見どころの一つにサッカーとは全く関係のない視点から楽しむ方法として選手のヘアスタイルがあります。今回はどんな奇抜なヘアスタイルの選手が登場するのでしょうか?

今回はそんな選手たちの、さらにさらに上をいくパフォーマンスのヘアスタイルをご紹介!これを「カッコイイ~~!」とか「カワイイ~~!」と評価するのか、はたまた「ゲゲ~!」とか「なんじゃこりゃ~!」と思うのか・・・ここはあなたの感性が問われる瞬間です。

これが産まれて数日で、巣から出てきたオオバンのヒナです。

オオバンはシベリア南部・アムール川流域・中国東北部(満州)などから冬鳥として渡ってきますが、佐鳴湖でも春以降で少数を見かけるように、一部は国内でも留鳥として留まっています。
※留鳥とは1年中一定の地域で生息し、季節によって移動しない鳥のことです。

ということはこの辺りでも繁殖してもよさそうなのに、そんな話は聞こえてきません。もしかしたら旧養鰻場の跡地などで繁殖しているのかもしれないけど、どこも私有地なので探す事ができません。そんなモヤモヤが続く中、と或る場所でヒナが産まれた~!!という願ってもない朗報が届きました。それ行け~!!


ハス田の真ん中に作られた巣を見ていると・・・おおっ、チラッとヒナの顔が見えた~!!
まだ産まれて2~3日目のようです。


しばらく待っていると、親が巣から離れました。すると・・・


いたいた~!! 5羽のヒナの顔が見えました。
それにしても聞きしに勝るド派手な顔です。

こちらが同じクイナ科で近縁種のバンのヒナです。

オオバンと同じく、こちらもまだ産まれてから7~10日ほどのヒナたち。
近縁種だけあって似ていますが、こちらにはチラ毛の金髪がありません。

オオバンのヒナ

金髪、赤毛、黒髪の混じった見事なグラデーション

オオバンの頭部を見て、まず連想するのはハゲワシ類やコンドルの頭部。
彼らには羽毛が生えていません。なぜ羽毛がないのか? 
それは彼らが肉食だからです。
大型動物の体内に頭を突っ込んで死肉を食べるため、もし頭部に羽毛があると血や腐敗物などが羽毛にこびりついてしまいます。
だから首や頭を裸にすることで ① 汚れが付きにくい  ② 乾きやすい ③ 日光での紫外線によって殺菌できて衛生的・・・といったメリットがあるので、わざわざ羽毛がないという進化の道を選んだのです。

あれ?オオバンって肉食じゃないじゃん?!?! そうです、彼らは草食です。ではなぜ、こんなド派手な頭になっているのか?・・・ですよね?

単に成長過程で羽毛が生えていないのではなく、ちゃんとした別の理由があるのです。ヒナたちは水草の陰や薄暗い場所などで親からエサを貰います。
その時に、親から見たら黒い体だけのヒナでは見つけるのが大変です。

そこでヒナたちは ① 赤ら顔で皮膚が丸出し ② 先端が白くなった赤い嘴 ③ 金髪のチラチラ羽毛(チラ毛)といった非常に目立つ顔をしているのです。これは親に向かってのパフォーマンスなのです。

これは一般の小鳥類が茶色や迷彩で目立たない「隠ぺい色」をしているのに対し、オオバンは全く逆の「早く親に見つけてもらって、たくさんエサをもらう」すなわち「わざとド派手に目立つ」ということに進化したということなのです。
研究者から見ても「進化的にも非常に不思議」と言われるグループなのだそうな!


親のところへ行きたくて巣から降りるところですが、まだ脚力がないので転げ落ちそうです。

せっかく巣から降りたのに母親が巣に戻ってしまいました。
巣にはまだ水辺に降りられない末っ子が残っていました。
それを「ええ~っ」と唖然として見つめる水辺に降りたヒナたち。

うんしょ、うんしょ また巣に逆戻り!
こんな繰り返しで体力をつけていくのでしょう。 次回へ続く。




















学力テスト Vol.501-1 頭かきシリーズ その112

 「ひかげ」と言う言葉から思い浮かべるのは・・・「不遇」「孤独」「哀愁」といった陰のイメージが強いですよね?

「ヒメヒカゲ」

ヒカゲチョウの仲間は、文字どおり日なたでなく日陰を好んで生活しています。


そんなヒカゲチョウの中ではちょっと異色で、かなりの美麗種です。
日なたでカヤツリグサ科のスゲ類の生えていて、蛇紋岩があちこちにある草原…そんな環境の中を低空でフワフワと漂うように飛び回っています。

ちょうど今頃がこのチョウに出会える時期なのですが、愛知県まで出掛けないと見られることはありません。

目立たないけど、控え目な美しさ・・・あこがれの女性像と重なります。デヘッ


では本題。
この鳥の ①名前 ②頭かきの種類 ③水かきの種類 の3問について答えて下さい。
頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。
水かきのイラストは大きなヒントになってしまうので今回は出しません。




学力テスト Vol.500-3 ハシジロアビ その2 ~ 3000㎞の魔力 ~ 

 ハシジロアビ その2 ~ 3000㎞の魔力 ~

英名では「White-billed Diver」、アメリカ英語では「Yellow-billed Loon」といいます。今回はバードウォッチングの発祥地である英国に敬意を表して、英名のお話を少々。

White-billed」すなわち「白いクチバシ」は和名の「ハシジロアビ」の由来となっています。「Diver」は「潜水夫」のことで、名前のとおり潜水が得意で長い時には3分以上も潜り、はるか50100mも離れた場所に浮上したりします。通常は5~20mほどの深さを潜りますが、時には60mも潜ったという記録もあるようです。

浮かんでいる時はゆったりと

獲物を探索中

おおっ、見っけ~

波を立てずに、静かに潜水開始!

カモ類と違って、足は体の極端に後ろ側に付いています。

参考までに、類似種の「シロエリオオハム」の足の位置

足をピラピラと振っていたけど、もしかしてストレッチ?

血管が透けて見えるので、水かきの膜は意外と薄いのでしょう。

参考資料 「鳥のフィールドサイン  観察ガイド」 箕輪義隆 

久しぶりに趾(あしゆび)の形も載せてみました。
アビ類はカモ類・カモメ類・ミズナギドリ類など、多くの水鳥と同じく「標準蹼型(ひょうじゅんぼくがた)」で特に変わった形をしているわけではありません。

この「芭蕉紙うちわ」のようなバカでっかい見事な水かき! これが最大の武器で、船に例えるとスクリューと舵の役割をします。水中を泳ぐスピードは5~10kmと言われています。

他には ◆高速で潜水するし、深く潜るので、カモ類よりも眼球が硬く、ゴーグルの代わりとなる瞬膜も水圧に強い ◆骨が比較的重くて浮力が小さい ◆羽毛の間の空気量を調節できる ◆血液中に酸素の濃度を蓄える能力が高い・・・エトセトラ。どれも潜水に特化したカスタムメイドの重量級潜水艦なのです!!

何やら大物をくわえて浮上!

どうやら「シタビラメ」の仲間のようです。

一旦、放してくわえ直し

頭部をガッチリとくわえて弱らせ、この後は一飲み!

シタビラメというのは一般名・・・調べてみたら今回の獲物は「クロウシノシタ」とか「アカシタビラメ」のようです。海底でジッと潜んでいたのに見つかってしまい、ガブリッと噛みつかれて彼の運命は  ♪ ハイ、それまでよ~ ♪ !
静かに、目立たないように、ひっそりと暮らしていたのに、あっという間に地獄行きなんて!たまったものではありません!

今年の3月中旬に見た冬羽

同じ個体かどうかは判りませんが、6週間後に見た個体

単なる白黒のシンプルなツートーンなのに!!
冬羽とはまるで別種のようで、息をのむ美しさ!
会えただけで心が躍る・・・まさに「しあわせの黒い鳥」!!! 

感激で涙腺も緩んでくるし、撮るのも忘れて見惚れてしまいます!・・・と言いながら、気を取り直してしっかりと撮影!!

直接頭かきも撮れました。当然ながらハナマルです!


興奮冷めやらぬ余韻に浸っている2日後、友人から連絡が入りました。
「アレってまだいるのけ?」
「ん?んん? まだ行ってなかった?」
「いま鹿児島にいるんで、これから行くつもりだけど、いてくれそうかなあ?」
「か、か、鹿児島~~?!?!」
「んだ!25年前に見たのよりキレイって聞いたんで、ちょっくら行こうかなと・・・」
「・・・」唖然として声が出ません。

鹿児島から現地までは1500㎞あります! 飛行機なら2時間ほどで現地に。新幹線を使ってもたっぷり9時間。 
「あの様子ならしばらくは大丈夫っす!」と言うと、彼は「ほんじゃあ、行くべか!」と、何と何と車を飛ばして来たのです! オーマイガー!!です。

無事に撮影後、彼は「ほんじゃ、まだ あっちで用事が残ってるんで」と、鹿児島へ戻っていきました。





これぞ、彼に3000㎞もの旅をさせるほどの魅力・・・いやいや魔力を持った鳥なのです! 
まあ、そのくらいの価値は充分に持っているんだけどネッ!! 
まだいるならまた行ってみようかなっと!逢えばまた心をホットにさせてくれるから・・・











学力テスト Vol.500-2 ハシジロアビ その1 ~ とにかく でっかい ~ 

 ハシジロアビ その1 ~ とにかく でっかい ~

ハシジロアビ 冬羽 3月撮影

かなりの珍鳥ですが関東以北で出ることが多く、この辺り東海地方ではノーチャンス!
「どうか振られませんように・・・」と、おそるおそる出掛けて、ようやく見ることができました。やった~~!!

手前はヨシガモ君たち
ハシジロアビ君がいかに大きいかが判ります。
国内で見られるアビ科 4種の中でも断トツにでっかいです!!

食後にウトウトとお昼寝タイム

ちょっと離れたところでパタパタをしてくれました。

あずき色のお目目がちっちゃくて可愛い~~!

クイズの夏羽と違うじゃん!って?!?!・・・まあまあ、それは次回のお楽しみ。