オオスズメバチ
こちらは昆虫界では最強クラスというイメージのオオスズメバチです。オニヤンマとオオスズメバチはどちらも「最強クラスの肉食獣」ですが、どちらが強いと思いますか?
百田尚樹著の「風の中のマリア」という本をぜひ読んでみて下さい。ファーブル昆虫記とはちょっと違う描き方が、とても面白いです。図書館にもありますよ!
「風の中のマリア」ではスズメバチの天敵はオニヤンマと書かれています。スズメバチをしのぐ猛スピードで襲ってくるから逃げきれない・・・と。
オニヤンマ ♂
NHKが最近の「ダーウィンがきた 20周年記念スペシャル」で「オニヤンマの飛行スピードは時速100㎞」と言っていましたが、とんでもない誤りです! 私がフィールドで見ていた感覚ではせいぜい50~60kmほどです。気になって調べてみました。
大学などの研究室でギンヤンマを風洞実験 (人工的に風を起こして、けむりを利用して空気の流れや気流を可視化する実験)にかけて、スピードカメラで測定したデータでは、通常の巡航速度は時速20~30km程度で、獲物を襲う瞬間は50~60km・・・当時のこの実験はTVでも放映していました。しかもNHKで!
ギンヤンマ ♂
この件について、さらに調べたら見つかりました!
NHK特集「トンボになりたかった少年」1984年放映 というタイトルです。
航空力学の世界的権威である東大の東昭(ひがしあきら)教授がトンボのメッカである磐田市の桶ヶ谷沼に来てギンヤンマを捕獲し、大学に持ち帰って風洞実験をしてトンボの翅の動きなどを解析したのです。
私もワクワクして見ていたのを憶えています・・・あの時の東教授がギンヤンマを捕まえた時のうれしそうな顔!ようやく鮮明に思いだしましたわい!
近頃は思いだすスピードがハグロトンボ並みにスローモーに! 以前はシオカラトンボくらいのスピードはあったのに・・・トホホです。
ではなぜ時速100㎞という数字が出てきたのか? これは1917年に海外の研究者が「直線距離を飛ぶトンボをストップウォッチで計測したらその数字になった」という非常にいい加減な古い記録が独り歩きしたようなのです。
「NHKが言っているんだから絶対に正しい」と信じ込んでしまう子どもたちや生き物ファンはたくさんいるはずです。一度テレビで大々的に流れてしまうと、それが「正しい知識」として世間に定着してしまうのが一番怖いことです。
多分、放映後にそれを見ていたトンボの研究者や愛好家からはクレームの嵐だったことでしょう。

