学力テスト Vol.504-3 その解答 ツバメチドリ その2 ~ 華麗なるダンスステップ ~

 ツバメチドリ その2 ~ 華麗なるダンスステップ ~

ツバチ君が地面で狙う昆虫は オケラ、ミミズ、ガの幼虫・・・などエトセトラ。ジッと様子をうかがっていて、かすかな物音や動きがあるとサササ~っと早足で、というか千鳥足で駆け寄って捕まえます。そんな時は「やっぱりチドリじゃね~」と思わずにはいられません。

 
その動きを見ているとマイケルジャクソンのステップを彷彿とさせます!

時にはムーンウォーク!

時にはサイドウォーク

はたまたトウ・スタンド

うわわ~、ロボット・ダンスも!
そのたびにファンの悲鳴があちこちから!

決めポーズなんてしたものなら、もうファンの女の子たちは失神寸前!

あれれ、ファンをよく見ると、どさくさに紛れて若作りのファッションを着こなしてはいるものの、いい歳こいた妙齢のオバチャマたちまでが混じっているではありませんか! 


マイケルの曲に合わせて獲物を捕るツバチ君にはこの曲がピッタリ!!「ビリー・ジーン」

https://www.youtube.com/watch?v=JclD3zMboIM


7月に南西諸島の宮古島に行った時に初めてツバチ君の幼鳥に出会えました。
浜松ではまだ見たことがない、今年生まれのホッカホカの幼鳥でした。

かつては静岡県や愛知県でも繁殖記録はあったようですが、最近ではそんな話は聞きません。沖縄本島などでは定期的に繁殖しているようなので、そこで産まれた幼鳥が東南アジアやオーストラリア北部などに渡る途中だったのでしょう。毎日10羽づづくらいの幼鳥が見られました。 

これが幼鳥の羽の拡大で、サブターミナルバンドが見られます。
terminal  : 最後・先端 
subterminal :最後の一つ手前、先端直前

羽の先端 → 白っぽい羽縁 → そのすぐ内側の黒っぽい帯状の部分・・・それをサブターミナルバンドといいます。

こちらはオジロトウネンの幼鳥

これにもサブターミナルバンドがハッキリと確認できます。

サブターミナルバンドは数種類のシギチドリ類に出ますが、羽が摩耗すると消失します。幼鳥特有の模様ということではなく、一部の成鳥にも見られます。


幼鳥たちがこんなカッコいい大人に成長して、大空を飛び回るの楽しみにしています。

ツバチ君たちがカッコよく飛び回る時のBGMはこれっきゃない!! 「トップ・ガン」
https://www.youtube.com/watch?v=ihZt11oTnWk

















学力テスト Vol.504-2 その解答 ツバメチドリ その1 ~ 足指から見える生活スタイル ~

 ツバメチドリ その1 ~  足指から見える生活スタイル  ~

名前のとおり、ツバメチドリは「チドリ目」に属していて、コチドリなどチドリ類とは近縁です・・・が、その体型や生活スタイルはだいぶ異なります。

1.「趾(足指)」の形のちがい

コチドリは前に3本指で後趾がありません。
これを「三趾足(さんしそく)」といいます。
中指と外指の間に水かきも付いています。

コチドリは地面や水辺を歩いたり走ったりしながら採餌をします。それには三趾足の方が素早く動けるのです。足も長めに進化しました。いわば「地上採餌型」。

ツバメチドリは前指が3本と後ろ指が1本の三前趾足(さんぜんしそく)です。
鳥では最も多い標準型です。

こちらには水かきはありません。もしかしたらあるかもしれないけど、写真で見る限りはほとんど見えません。そしてコチドリよりも足は短めです。

もちろん地上でも歩き回って採餌をします・・・が、ツバチ君の場合はそれよりも飛翔力が優れている点を最大限に活かして、空中で虫を捕食するのを得意としていて、それが名前の由来にもなっています。よって「空中採餌型」。




2.「頭かきの方法」のちがい

コチドリは「間接頭かき」

ツバメチドリは「直接頭かき」

ツバチ君の頭かきが「直接型」なのは体の長さに対して羽が長い (飛行機や鳥の世界の専門用語では「翼比」とか「アスペクト比」といいます)ので、「間接型」よりも「直接型」の方が楽なのです。

翼比というのは翼の細長さの割合をいいます。例えばグライダーやアホウドリのように翼が細くて長いのを「翼比が高い(ハイ・アスペクト比)」、戦闘機やキジのように翼が短くて横幅が大きいのを「翼比が低い(ロー・アスペクト比)」といいます。


ツバチ君は空中を不規則に飛び回る昆虫を捕えるために変幻自在に飛び回ることができます。そのために進化で得た細長い翼なのです。

ちなみに白い腰は「フラッシュカラー」といって、仲間からもよく見えます。
「飛び立つぞ~」とか「敵が来たぞ~」と伝える合図になるのです。またタカなどに襲われた時に、この白い部分へ敵の注意を引きつけ、自分の急所への攻撃をかわすという目くらましの効果もあると考えられているのだとか。       その2へ続く








学力テスト Vol.504-1 頭かきシリーズ その115 


地元の佐鳴湖でも花火大会がありました。


浜松で有名な花火大会といえば弁天島とか鹿島橋とかいろいろありますが、ここ佐鳴湖だって負けちゃいません!ただ1000発で1時間だけっていうのは、ちと寂しいけどネ!

ではでは本題
この鳥の① 名前 と ② 頭かき ③足指の形 の種類を当ててください。
※頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。


足指の形
「鳥のフィールドサイン  観察ガイド」 箕輪義隆









学力テスト Vol.503-2 アカエリヒレアシシギ ~ かなり変わり種 ~ 

 アカエリヒレアシシギ ~ かなり変わり種 ~ 

まずは名前の由来から紹介しましょう。

こちらがメスの夏羽(繁殖羽)
 首筋が美しい赤になっています。

オスも夏羽では首筋が赤くなっています。

英名は「Red-necked Phalarope」で、「Phalarope」とはヒレアシシギ属(学名:Phalaropus)全体を指す総称です。
ギリシャ語でオオバンを意味する「  phalaris 」と、foot(足)を意味する「  pous 」が組み合わされた言葉です。

ん?オオバンと何の関係が?・・・それは趾(足指)を比べてみれば一目瞭然!

オオバン 
皆さんご存じの見事な「弁足」です。

そしてこちらがアカエリヒレアシの弁足。

この趾を撮りたくて粘った成果が出ました!
この趾こそが「ヒレアシシギ」の由来なのです。

イソシギ

一般的なシギ類はこのイソシギのように趾の間に小さいヒレ(水かき)を持っているだけです。イソシギの趾は「三前趾足(さんぜんしそく)」で、このようなヒレの形を「半蹼足(はんぼくそく)」といいます。
片や、ヒレアシ君たちはこの発達した「弁足」を活かした方法で採餌をします。
すなわち水面をクルクルと泳ぎ回りながら趾を動かし、その渦で浮上してくる水生昆虫などを捕えるのです。

復習として、以前「足指のクイズ」の時に使っていた資料を添付します。

水かきの種類

足指の形

上記 2つのイラスト資料「鳥のフィールドサイン  観察ガイド」 箕輪義隆


さらに、サブタイトルで「変わり種」と言ったのは「一妻多夫制」であるということ。
今まで国内で観察された鳥類約600種以上の中では、ヒレアシ君(ハイイロヒレアシシギも含む)、ミフウズラ、レンカク、そしてお馴染みのタマシギだけなのです!

※日本鳥類目録改定第8版(2024年9月発行)では、自然分布種は644種となっています。これにはソウシチョウやガビチョウなどの外来種は含みません。

左がオス 右がメス 5月撮影

右の方が明らかに美しい模様をしています。これは同じく一妻多夫性のタマシギを思い浮かべてもらえば判りますが、メスの方が美しくて彼女は産卵のみ。抱卵や子育てはすべてオスまかせなのです。
こんな話をすると、たいていの女性は「ホント?楽でええな~」とおっしゃいますが、産卵というのはものすごく体力を使うのです。

彼らが繁殖場所として選んでいるのは北極圏で、夏がとても短く、カラスやキツネなどの天敵も多くいます。だから彼らは「一妻多夫制」という独自の方法を選択して、出来るだけたくさんの卵を産んで育てる戦略で進化したのです。

当然ながら、メスは健康でダンディなオスをゲットできるように、そしてメス同士の争いにも勝てるように華やかな衣装をまとうことになったのです。

5月に航路で見かけました。
これから北極圏まで行く途中です。

北極圏生まれの幼鳥 9月撮影

メス 夏羽から冬羽に換羽途中 8月撮影

頭かきは「直接型」

一般のシギチのように海岸線や干潟にいることが少なく、ごくたまに海岸に近い田んぼなどで見かける程度です。だからこの頭かきは私にとっては貴重な貴重なお宝ショット!

数年前の5月中旬の頃、隣県で田んぼに50羽+の情報が!!全てが夏羽のアカエリ君たちが入ったと聞きました、もちろん翌朝 速攻で行ったのですが、もぬけの殻でガックリ! 至近距離だったので地元のオバチャンがスマホで撮ったと聞いて、さらに追い打ちのガックリ!!

そんなふうに、運が良ければ数十羽の団体さまに遭遇できることもあるとのことですが、私にとってはそんな夢の話はいつになる事やら・・・。


















学力テスト Vol.503-1 頭かきシリーズ その114 ~ 恋の鞘当て(さやあて) ~

 シオカラトンボ ~ 恋の鞘当て(さやあて) ~

連結したシオカラトンボをもう1頭が追いかけて、こちらに翔んできます。

・・・と思いきや、何と3頭が繋がっていました!

 「三連結」の飛翔です!
ごくごくたまに見られる瞬間で、過去には18年前に佐鳴湖で遭遇したことがあります。

これがその3連結。ただしこの時に撮れたのは止まっていたところのみ。

今回の「飛翔3連結」は後ろのペアにもう1頭が邪魔しに入ったところなのです。すなわち最後尾のメスをつかまえているのがペアのオス中央(A)で、最前列にいるオス(B)はこの♀を横取りしようと邪魔しに入ってきたのです。
本来はオスが首根っこをつかまれることなんて早々あることではないのですが、Bの付属器で挟まれたらなかなか離してもらえません。

きっとこのオス B はベンジャミンという名前なのでしょう。そしてメスの名前はエレイン!
この名前にピンと来た人はいるかな?・・・そう、これは映画「卒業」(1967年)に出てくる花嫁の強奪シーンなのです。
私も多感な年ごろだったので、この映画には少なからず感動したっけ!
サイモンとガーファンクルの歌ったBGMも、ものすご~く良かったしね~っ!
このあと二人の将来はどうなったのかな? ラストシーンでのエレインのちょっと不安そうな顔が、今でもすっごく心に残っています。

おっと、2番目のオス A が抵抗をし始めました。
「オレの彼女に手を出すな~」
メスも一緒になって「アンタなんかあっち行け~」と抵抗しているようです。

三つ巴えでもみ合っています。

最後にはお邪魔虫のB のオスが踏ん張って、また引っ張り回しています。

結局どうなったかって?


当然ながら B が彼女をさらっていってしまいました。しかも何と何とすでに交尾態勢です。
「あんたって、マッチョで素敵~! あんなモヤシみたいな貧弱な彼とは大違い!」
メスも強い男には、からっきし弱いようです!・・・女心は気ままです。おおっ怖っ!!

さてさて、本題! 今回は難問ですが、いつもどおりヒントはこの後ろ姿しかありません。
この鳥の① 名前と② 頭かき  の種類を当ててください。
頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。










学力テスト Vol.502-2 セイタカシギ ~ 君といつまでも ~ 

 セイタカシギ ~ 君といつまでも ~

手前の背中が茶色いほうが♀で、奥が♂

セイタカシギは基本的には一夫一婦制で、繁殖期はペアで協力して子育てをします。
ただし、リングを付けて確認をしているわけではないので、ハクチョウやツルのように生涯連れ添っているかどうかは定かではありません。

どこへ行くにも仲睦まじく。

羽づくろいまでシンクロ。

あんなに足が長いのに器用に交尾。

交尾が終わった直後、♂は必ず♀にやさしく寄り添います。
こんな行動はコアジサシにもカモ類にも決して見られません。

「ベイビー 愛してるぜい!」「うん、私も!」

「じゃあ、ちょっくらエサでも獲ってくるから、ちょっと待っとってな~!」
「ええっ、行っちゃうの?さびしいからすぐに帰って来てね~ ダーリン!」

可愛い妻を残して♂がエサ探しに。

あなたの家では夫婦の会話は一日に何回ほど?・・・というよりも、時間にして何分ほど?
まさか過去の遺物となった「メシ・風呂・寝る」の三言だけってことはありませんよね?

「感謝を言葉で表す」「雑談でいいので1日5分話す」・・・めっちゃシンプルですが、これが「普通の夫婦」を「オシドリ夫婦」に変える秘訣なんだってさ! そんな簡単なもんかい?! ほんまかいな?!

そう言うお前のところはどうなんだって? あなたね~、そんな野暮な質問しちゃいけませんぞ!我が家ではすべてアイコンタクトで通じるのですから・・・。

これからは「人・本・旅」だと出口治明氏は言っています。すなわち「素敵な人に会う・感動する本を読む・旅先で非日常を味わう ・・で、60歳からの人生を楽しむのだそうな!!

セイタカシギの卵は4個というのが定番です。
堤防の上から観察できるので、時にはこんなのも見えてしまいます。

セイタカシギの卵は先がとがった洋梨形で、4個とも尖った方を中央に向けて並べます。これが狭い巣の中で一番効率よく収められて、抱卵できるのです。
4個という数にこだわるセイタカシギは鳥類の中でも珍しい存在なのだそうな。
これ以上多く産むと親がヒナたちを見守り切れないし、少なすぎると繁殖の成功率が下がるということで4羽を育てるのが最も効率がいいと、長い進化の中で培ったバランスだと考えられているとのことです。

抱卵日数は22~27日。
♂は抱卵の時から参加する育メンパパなのでママも大助かり! 

いよいよ、待ちかねたヒナが誕生しました。
この日見つけたヒナはヨチヨチ歩きの5羽。
早成型なので、産まれて間もなくから自分でエサ探しを始めます。

親はそんなヒナのそばにいて見守るだけ。

それから3週間ほど経過したヒナたち。歩き方もしっかりとしています。

すっかり大きく育って、左の母親ほどになっていましたが、まだ飛べません。

これは前年に撮った幼鳥の「間接頭かき」
1年経った幼鳥で、まだ足が赤くなっていません。


この場所は例年30羽+のセイタカシギが安定して一年中見られるというパラダイス!
調べてみたら今や国内で最大の繁殖地なのです!

今回も抱卵していた巣は11ヶ所に及び、誕生したヒナは17羽とのことでした。
これだけ安定して繁殖ができている背景には、毎日見回ってこの水路が大雨で巣が水没しないようにとか、日照りで乾燥しないようにと水位を調整してくれているからなのです。
セイタカ君たちにとって居心地のいい場所となっているのは、地元在住で私の古くからの友人の存在があるのです。

彼のおかげでセイタカ君たちも安心して子育てができるので、最大の繁殖地になった!!と言っても過言ではありません。

こんな大群が見られるところはありません! ぜひぜひお出かけください。
「愛知県 セイタカシギ」で検索すれば出てきますよ。