学力テスト Vol.502-2 セイタカシギ ~ 君といつまでも ~ 

 セイタカシギ ~ 君といつまでも ~

手前の背中が茶色いほうが♀で、奥が♂

セイタカシギは基本的には一夫一婦制で、繁殖期はペアで協力して子育てをします。
ただし、リングを付けて確認をしているわけではないので、ハクチョウやツルのように生涯連れ添っているかどうかは不明です。

どこへ行くにも仲睦まじく

羽づくろいまでシンクロ

あんなに足が長いのに器用に交尾。

交尾が終わった直後、♂は必ず♀にやさしく寄り添います。
こんな行動はコアジサシにもカモ類にも決して見られません。

「ベイビー 愛してるぜい!」「うん、私も!」

「じゃあ、ちょっくらエサでも獲ってくるから、ちょっと待っとってな~!」
「ええっ、行っちゃうの?さびしいからすぐに帰って来てね~ ダーリン!」

可愛い妻を残して♂がエサ探しに。

あなたの家では夫婦の会話は一日に何回ほど?・・・というよりも、時間にして何分ほど?
まさか過去の遺物となった「メシ・風呂・寝る」の三言だけってことはありませんよね?

そう言うお前のところはどうなんだって? あなたね~、そんな野暮な質問しちゃいけませんぞ!我が家ではすべてアイコンタクトで通じるのですから・・・。

これからは「人・本・旅」だと出口治明氏は言っています。すなわち「素敵な人に会う・感動する本を読む・旅先で非日常を味わう ・・で、60歳からの人生を楽しむのだそうな!!

セイタカシギの卵は4個というのが定番です。
堤防の上から観察できるので、時にはこんなのも見えてしまいます。

セイタカシギの卵は先がとがった洋梨形で、4個とも尖った方を中央に向けて並べます。これが狭い巣の中で一番効率よく収められて、抱卵できるのです。
4個という数にこだわるセイタカシギは鳥類の中でも珍しい存在なのだそうな。
これ以上多く産むと親がヒナたちを見守り切れないし、少なすぎると繁殖の成功率が下がるということで4羽を育てるのが最も効率がいいと、長い進化の中で培ったバランスだと考えられているとのことです。

抱卵日数は22~27日。
♂は抱卵の時から参加する育メンパパなのでママも大助かり! 

いよいよ、待ちかねたヒナが誕生しました。
この日見つけたヒナはヨチヨチ歩きの5羽。
早成型なので、産まれて間もなくから自分でエサ探しを始めます。

親はそんなヒナのそばにいて見守るだけ。

それから3週間ほど経過したヒナたち。歩き方もしっかりとしています。

すっかり大きく育って、左の母親ほどになっていましたが、まだ飛べません。

これは前年に撮った幼鳥の「間接頭かき」
1年経った幼鳥で、まだ足が赤くなっていません。


ここは30羽+のセイタカシギが一年中見られるというパラダイス!
調べてみたら今や国内で最大の繁殖地なのです!

今回も抱卵していた巣は11ヶ所に及び、誕生したヒナは17羽とのことでした。
これだけ安定して繁殖ができている背景には、毎日見回ってこのポイントが雨で巣が水没しないように水位を調整している地元の友人の存在があるのです。

彼のおかげでセイタカ君たちも安心して子育てができるので、最大の繁殖地になったと言っても過言ではありません。

こんな大群が見られるところはありません! ぜひぜひお出かけください。







































学力テスト Vol.502-1 頭かきシリーズ その113

暑くて暑くて出歩くのもついついおっくうになってしまいますが、家に籠っていたのではカビが生えてしまいます。
近くまで行ったので久しぶりに懐かしのビオトープを覗いてきました。

キイトトンボ 産卵

まず目についたのはキイトトンボの大群で、そこら中にウジャウジャと。

モートンイトトンボ ♂

少し探したら・・・いたいた、このビオトープでNo.1の美麗種のトンボです。
体長はわずか3㎝ほどしかないので、長らく鳥ばかりを見慣れていると見落としてしまいます。

さて本題
この鳥の① 名前と② 頭かき  の種類を当ててください。
頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。








学力テスト Vol.501-5 オオバン その4 ~ ふしぎな舌の構造 ~

 オオバン ~ ふしぎな舌の構造 ~

「やはり世界の壁はメチャ厚くて高かった!」これが先日のワールドカップで、対ブラジル戦を見終わっての感想です。前半戦まではかなりいい線だったんだけどね。

堂安選手も「日本はまだ強豪国と対等に戦えるレベルではないと痛感した」と、素直なコメントをしていたし、三苫薫や南野拓実がいれば・・・という、「たられば」の思いがするゲームでした。4年前よりもはるかに進化していることは誰しもが認めているんだけどね!

さてさて、今季最後のオオバンの様子を見に行ってきました。オオバンのヒナはすっかり大人びて、しっかりしていました・・・が、何故か3羽しか見当たりません。大丈夫とは思うけど、あと1羽はどこに?

産まれてから50日ほどの幼鳥 もうすぐおでこに額板も見えてくる頃です。

今季の観察では多くの写真を撮ったけど、その中に1枚だけ「ええっ?!」というのを見つけました。
鳥の舌というのは狙って撮れるものではありませんが、たまたま撮れちゃった!というのが
本音です。
ヒナがあくびをしていた写真です。
舌の形が何かヘンテコ?!?!

カイツブリのあくび

他の鳥ではどうなってる?の疑問がわいたので探してみると・・・あったあった!カイツブリも同じ形状の舌です。

ツバメチドリのあくび
友人が撮ったのを借りてきましたが、まったく同じ形状です。

ヒトの舌は筋肉のかたまりで自由自在に動かしたり変形させることができますが、鳥の舌はヒトとは少々異なっています。鳥では舌の根元に細長い骨格・・・これを舌骨(ぜっこつ)といいます・・・があり、そこに筋肉でできた舌がついています。

オオバンの舌は「舌単体」で動いているのではなく、喉の奥にある舌骨を支点にして舌を前後・上下に操っています。これで水草を確実につかみ、飲み込むことができる仕組みになっています。

ついでに、違う鳥の舌も見てみましょう。

ヨタカは口の先端部に舌があります。

ヨタカの場合は暗くなってから大口を開けて飛び回り、ガや甲虫などを捕まえます。
言ってみれば虫取り網が飛んでいるようなものです。
口に飛び込んできた虫が舌に当たって邪魔にならないように、舌は前寄りで小さめな作りになっています。
虫を丸呑みするため、舌の役割自体が小さいのでしょう。

さらに口の周りにはヒタキ類のようにヒゲが生えていて虫を外へ逃がさないような役割もしています。また正面から飛んでくる虫から目を守る役目もあるようです。昔、保護したヨタカのヒゲを触ったことがありますが、かなり硬かったことを憶えています。

ササゴイが捕まえた婚姻色のオイカワを、舌で上から挟み込むようにしています。

サギ類が獲物を捕る時は ①長いくちばし ②鋭い突きの動作 ③獲物をくわえる力・・・などが目立って舌の存在が薄いと思われますが、この写真を見るとヌルヌルとした魚は嘴だけでは抜けてしまうかもしれないので、舌でしっかりと支えているように見えます。

ササゴイは疑似餌を使っての漁法もやるんだそうな。落ち葉や羽毛、虫の死骸などを水面に浮かべて寄ってくる魚を捕えるのです。そんな賢い鳥の究極の進化の結果がこの舌というわけです。

鳥はそれぞれの食性に合うように舌まで進化させているのです。すごいね~!

P.S. その後の情報で、オオバンのヒナは4羽が無事に生育していると聞きました。







学力テスト Vol.501-4 オオバン その3 ~ 驚異の成長スピード ~

 オオバン その3 ~ 驚異の成長スピード ~

この子たちが産まれたのは、この写真からホンの4~5日前

オオバンのヒナは「早成性といって、生まれてすぐに自分で歩いたり泳げるようになります。

まだ羽らしきものが見えません。

あとどのくらいで生えてくるのかな?

最初にヒナを確認した初日には確かに5羽カウントしたのですが、3日後に行ってみると、1羽足りません。

親が大興奮して水の中をバシャバシャと足で叩いています! ヘビでも来たのかな?

ライギョ(カムルチー)

足元にもこんなのが泳いでた!・・・ゲゲ~、まるでマムシのようなキモい模様です!
写真の個体は30㎝ほどでしたが、大きくなると80㎝ほどにもなります。
朝鮮半島や中国では昔から淡白な白身魚として食されていて、日本でも食用になるのでは?と期待されて、1920年代に朝鮮半島から移入されてきた外来種です。
ただ、日本では人気が出なくて、現在でも市場に出回ることはないようです。

ライギョは肉食なので、鳥のヒナも狙われてしまいます。もしかしたら行方不明の1羽はこのライギョ? はたまたカラスやアオサギの犠牲になったのでしょうか?

親からもらったエサを取りっこしています。


弟(左)「ヤダヤダ~、これはオイラが貰ったんだい!」
姉(右)「アンタさっきも食べたじゃん!だからこれはアタイのなのっ!アタイの方が偉いんだから、アタイのもんなの キー ~!」と実力行使です!

母親「もう~っ! いつもいつもケンカばっかし! やめなさいってば!!」

母親は怒ってどこかへ行ってしまいました。

子供たちが集まってヒソヒソと密談。

「カアチャンを怒らせたら怖そう~」
そういや、トウチャンも「アイツを怒らせたら絶対ダメだぞ~!富士山の噴火なんてもんじゃないからなっ!」 って言ってたっけ!
「頑固だから、しばらくエサを持って来てくれなくなっちゃうぞ~ 家出されちゃったらどうしよう」
「それだと困っちゃうから、ここは仲直りするふりでもしよっか?」
「そだね~」

よく観察していると、ヒナは親がエサを持ってくると首を傾けます。

どのヒナもやっています。
ん?このポーズってどこかで見た覚えが・・・。

思い出した! ミラノ・コルティナオリンピックのフィギュアスケートで銅メダルを取った中井亜美ちゃんがフィニッシュした時の「首かしげポーズ」に似てる!
あの時の彼女の可愛いポーズは「ちょっとミスしちゃったけど、もしかしたら銅メダルがもらえるかな?」と思って自然と出た仕草なんだそうな。

もしやヒナは意識してこんな「おねだりのポーズを取っているのかな?と思って調べてみました・・・すると、見つけた~! 

オオバンではヒナごとの競争が激しく、この首をかしげるポーズは主に「給餌刺激」を強めるためのアピール行動・・・とありました。
首の動きが大きいヒナほど親の反応を引いてエサがもらえる確率が高くなるのだそうな!
チビちゃんなのに、こんな習性まで身につけているとは・・・!

これは生後20日ほど経った時のヒナ。
生後間もなくのヒナとは全く別物に成長しました!


ここまでは無事に4羽とも元気に育っていました。頭部の赤い皮膚の色もすっかり消えて、金髪や赤毛も少なくなり羽毛も生えてきました。
ここまで20日間じっくりと成長過程を観察できましたが、成長スピードの速いことといったら唖然とするばかり!

こちらはおととしの写真ですが、推定では生後30日ほどのようです。

ヒトの子も同じだけど、やっぱり生まれたての頃の可愛さは格別ですね!
また来年も元気なヒナたちが育ちますように!









 










学力テスト Vol.501-3 オオバン その2 ~ 収斂進化(しゅうれんしんか)~

 オオバン その2 ~ 収斂進化(しゅうれんしんか)~

オオバンを語るのに外せないのは、あの弁足。

何度見ても、ついついレンズを向けたくなるほどに魅力的で特異な部位。
どうしてもシャコバサボテンにしか見えません。

こちらはカイツブリ(幼鳥)の弁足

趾(あしゆび)にそれぞれ皮膚が変化した弁膜と呼ばれる水かきが付いている点は同じですが、オオバンのようにシャコバ型ではありません。

同じ水鳥とはいえ、オオバンはツル目クイナ科、カイツブリはカイツブリ目カイツブリ科で全く異なる種類です。ということは共通の祖先から弁足を進化させたわけではないのです。
どちらも「潜水して泳ぐ」という生活に適応した結果、皮膚が発達して似たような構造になったということです。

オオバンは泳ぐだけでなく水草の上や陸上も歩く生活をしているので、カモのような完全な水かきだと不便です。
それが弁足という形なら水をかく時に広がり、足を前に出す時は弁足がたたまれます。また水草や土の上も歩きやすいのです。
要するに「泳ぎと歩きの両方を兼ね備えた万能型に進化した」最善の折衷案なのです。

カイツブリの場合は潜水に特化していて、地上を歩くのは苦手です・・・と言うより、地上を歩いているのを見たことがありません。
観察していると、たまに足を上げることがあるので注視していると見ることができます。

双方を比べると脚の位置も全然違います。
この点は皆さん、フィールドで確認してみて下さい。

このように異なる種類が似たような進化をすることを「収斂進化(しゅうれんしんか)」と言います。
※他の例では、空を飛ぶ「コウモリ」と海を泳ぐ「イルカ」が、どちらも「エコーロケーション(超音波)」という能力を進化させています。

オオバンのヒナ
この立派な足を見てください!

弁足のピラピラはまだ親ほどには発達していないようです。

ハスの葉の上も自由に動き回ります。

さてさて、せっかく貴重なヒナに会えたのだから、絶対に撮らねばならぬのが「頭かき」!!

何とかやってくれたけど、後ろ向きじゃダメじゃん!

今度は足はしっかり撮れたけど、肝心の顔が見えない~~!!

チャンスを待つこと数10分。ようやくしっかりと撮れました!!

何とこちらは2羽が同時に「シンクロ頭かき」!!


右下の子が頭かきを終わってあくびをしてるのに、左の子はまだまだ永遠に頭かきが続いてました。よっぽど頭がかゆいのかな? 次回へ続く。