学力テスト Vol.389-2 その解答 ハチクマー1 ~ 七変化 ~

 ハチクマ ~ 七変化 ~

「ある時は片目の運転手、またある時は外国航路の船員・・・しかして、その実体は正義と真実の使徒!!」

 この決めゼリフこそ『七つの顔を持つ男』こと名探偵 多羅尾坂内!! これって知ってるでしょ?! え、ええ、知らないの? そんじゃ『七色仮面』は? それも知らねえってか?! ショックもショック 大ショックです!!

 でもこの多羅尾坂内のセリフって、阿久悠によって、しっかりと伝承されているのですぞ! その曲名はピンク・レディーの「ウォンテッド(指名手配)」

 その中で「ある時 謎の運転手 ある時 アラブの大富豪 ある時 ニヒルな渡り鳥 あいつはあいつは大変装」・・・どうです? 思い出したかな?!?!

 という事とはまるで関係なく、ハチクマは「白っぽい淡色型」・「淡褐色から褐色までの中間型」・「黒褐色の暗色型」など性別や年齢に関係なく、ものすごくバリエーションに富んでいます。

 その色についての定義や名称については、厳密に決まっている訳ではないようです。私の在庫にもいろいろなパターンがあったので、そこから引っ張り出してみました。

こんなに色が違っていても、どちらもハチクマ!
「淡色型」幼鳥
※幼鳥は初列の先端が黒いことで見分けます。

「暗色型」幼鳥
ビシッと引き締まってカッコいいね~

こちらも「暗色型」幼鳥

「中間型」幼鳥

「中間型」幼鳥

「中間型」幼鳥

 写真の在庫を見ていると「淡褐色から褐色までの中間型」は、一番多いような気がします。
「淡色型」と「暗色型」がカップルになれば、最初の世代の子は「暗色型」が優勢遺伝ならそればかりかもしれないけど、いずれ「中間型」も生まれるはず!?!? 
いい加減な知識なので、よくは知らないけど、きっと多いんだろうな~・・・と適当に想像してしまいますが、メンデル先生ならどんな答えをくれるのかな?

 個体ごとにこれだけ羽衣の色が異なれば、その特徴から個体識別は簡単です!
ただ、なぜこんなに羽衣が異なるのか? その理由については、いろいろ調べてみたけど、どこにも記載がありません。
 何か理由があるんだろうと思うけど・・・まさか「自分のパートナーを間違えないように」などという単純な理由じゃないよね~!

性別は尾羽の模様や、虹彩の色で確認します。

尾羽の黒い縞模様が細く、虹彩が黄色なのが♀です。

このように尾羽の縞模様が太く、虹彩が黒っぽいのが♂です。

この続きは次回へ!













学力テスト Vol.389-1 ~ 頭かきシリーズ その35 ~

 今年も10/22に、ジョウビタキが我が家に来てくれました。


 我が家の庭 及び 周辺を含めて「私の自然観察カレンダ―」というのをすでに15年以上、記録しているのですが、ジョウビタキが毎年来てくれるのは、いつも10/18~10/24の間・・・この頃になると必ず姿を見せてくれるのです。

 秋のヒガンバナの開花も毎年1週間もズレることはありませんが、このジョウビタキの渡来時期がいつもこの1週間に集中!・・・というのはホントにすごいことだと思います! でしょでしょ?!?!

 もちろん、私めもほゞほゞ毎日、雨の日以外は徘徊しているので、たまたま家にいた時に確認するだけなのですがネ!

 ちなみに、数年の周期で♂♀が入れ替わるのは、何かあったということなのでしょうか? それとも寿命なのかな?

 さ~て本題。次の3種類の「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えてください。今回はけっこう難しいかもネ?!?! これで満点が取れたら天才的なひらめき!!・・・と、褒めてあげましょう! 

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

A

B

C




学力テスト Vol.388-4 その解答 サシバ ~ タカが渡ってくぞ~~! ~

 サシバ ~ タカが渡ってくぞ~~! ~

10/9   十三夜の翌朝未明の撮影です。
今日はタカの渡りの観察・・・こんな日はルンルンで、ついつい早起きしてしまいます。

しばらくして、もうすぐ日の出の時間になってきました。
この日の予報はピーカン! 今日は大いに期待できるぞ~~~!!!

朝日が昇った直後の、まだ暗いうちにサシバが飛び立ちました。
この時間に飛ぶのは、昨日のうちにこの近くまで飛んで来て休息していた個体です。

朝日でサシバが赤く輝いています。

 まだ上昇気流も発生していない時間なのに、この幼鳥たち2羽はもう西へ西へと本能に駆り立てられるように飛んで行きました。

こちらの成鳥はまだのんびりとしています。
というよりも、上昇気流が出るのを待っているのです。

正面から幼鳥が飛んで来ました。

こちらは成鳥 
どちらも喉にある縦の線(腮線:さいせん)が特徴的。その飛んでいく先には・・・


 「サーマル(小規模な上昇気流のこと)」を見つけると、このようにしてどんどんそこにサシバが集まってきます。その上昇気流の中を旋回しながら上昇していく様子を「鷹柱(たかばしら)」と呼びます。
 
 このようにして高度を稼いだら、ここからはグライダーの如く、西へ流れていくのです・・・これがもっとも省エネの渡り方! 旅はまだ始まったばかりで、目指す先はまだまだ遠いのです。


 「鷹柱」は、本来はユスリカなどが集団で作っている「蚊柱」をヒントにしてホーク・ウォッチャーが作った造語です。イメージは横から見たら円柱状になっている時です。
だから単に西へ向かって大群が流れているという時などに使う言葉ではありません。


 国内の主なタカの渡りのルートは3つが知られています。
1.関東地方→ 静岡 → 伊良湖岬 → 伊勢湾を渡って三重県へ → 紀伊半島 → 四国を横断 → 九州南部 → 南西諸島へ。
2.北陸地方の日本海側から→長野県の白樺峠 → 琵琶湖 → 淡路島 → 四国 → 九州南部 → 南西諸島へ。
3. 九州北部 → 南西諸島へ。

この3ルートは南西諸島を経由してフィリピンなど東南アジアへ渡っていくのです。

このサシバの背中には発信器が取り付けられています。

このような情報収集によって、渡りのルートや経過時間などが解明されていくのです。


 サシバの大好物はカエルやヘビ、トカゲなどの両生類や爬虫類。
それらは冬になると冬眠したりして姿を見せなくなります。飢えてから渡るよりも、もっと早いうちに餌の豊富な東南アジアへ渡ってしまおうという戦略です。

在庫を調べていたら、この写真ではバッタを捕まえていました。
11月以降ではバッタ類はいなくなってしまうため、こうはいきません。

うわわっ!! 成鳥が「直接頭かき」をした~~!!

月をバックに西へ向かう幼鳥
来春も無事に帰って来いよ~~!!

 若杉 稔さんの「マーリン通信」で、超々ものすっご~~い!!のを見つけました。
これを見たら、ちまちまとこんなのを書いているのが馬鹿らしくなってきましたわい!

まずは下記を検索してご覧ください。
和名のタイトルは「1日で 210万羽のタカが渡った! 中米パナマ」です。
※2004年の記録ですが『歴史上 最大のカウント数』だそうな!!


「Cerro Ancon migratory raptors 」 👈 ぜひご覧ください!!






















学力テスト Vol.388-3 その解答 ノビタキ ~ 黒頭巾の秘密 ~

 ノビタキ ~ 黒頭巾の秘密 ~

秋の彼岸の頃から今頃まで、遠州地方ではよくノビタキ君を見かけます。

冬羽になって顔と喉が黒いのは♂ノビタキ君。
繁殖を終えて南への渡りをする途中、このように「全身換羽」をして登場。

「全身換羽」といっても、一度にすべてが抜け落ちて丸裸になるわけではありません。
ノビタキ君のようなスズメ目では、①最初に初列風切の一番内側から抜け始め、そのあと②大雨覆がゴソっと抜け落ち、次に③小と中の雨覆 そして④尾羽と抜け替わっていきます。

その場合は必ず左右対称でゆっくり進行して、飛翔への負荷ができるだけ少ないようになっているのです。換羽に要する時間は約2ヶ月ほど・・・何という驚くべき不思議な仕組み!!
                 参考:「鳥の雑学がよ~くわかる本」柴田佳秀著

夏羽は朝霧高原など、富士山周辺の標高の高い草原で見ることができます。

尾羽を拡げてストレッチの開始。
おっと、じゃあ次の行動を期待しちゃおうかなっと!

しばらくしてから、狙い通りに「頭かき」 やった~!

Vサインをしてくれたのはいいけど、うしろ姿じゃ読者の皆さんが不満足!・・・でしょ?


日を改めて再挑戦、コセンダングサに来た別のノビタキ君が「間接頭かき」をしてくれました。そうこなっくちゃね~!!


この時期、花とのセットの写真が大好きなオッチャンたちが狙うのはヒガンバナとの2ショットです。ヒガンバナが咲き出す頃になるとソワソワとし始めます。

 情報をもらっても、さほど興味がないせいか、腰が重くて出掛けなかったため、ついでに出かけた時はこんなふうにヒガンバナはもう盛りを過ぎて色あせておりました・・・が、こんなのが撮れただけでもモデルになってくれたノビタキ君に感謝せねばなりませぬ。


 園芸種のコスモスに来るのも、写真のオッチャンたちにはすっごく人気があるんだそうなっ!
 これを称して「コスノビ」って言うんだってさ!! 何でもかんでも略しちゃう世の中!
でも「ヒガノビ」とは言わないらしいけど・・・。

♀が外来種のセイタカアワダチソウに来ました。

おっと、隣の花に何か虫を見つけたようでアタック~~!!

 コセンダングサ、ヒガンバナ、セイタカアワダチソウ・・・どれもこれも帰化植物だらけ!! 花とのコラボはいいんだけど、国産種の花はどこじゃ~~

春に渡って来た時はすでに夏羽になっていました。4/26 日本海で撮影

 春に渡って来る時は、秋とコースが異なるようで、遠州地方で見かけることは殆どありません。きっと内陸を渡って来るのでしょう。

 さて本題。この繁殖用の夏羽への衣替えは換羽ではありません。
頭の茶色が擦り切れて、中の黒い羽毛が出てくるという仕組みなのです。これはノビタキやオオジュリンで知られています。鳥たちは、こんなふうに ごくさりげなく手品をしているのです。














学力テスト Vol.388-2 その解答 タシギ ~ 君の瞳はどこまで見えてるの? ~

 タシギ ~ 君の瞳はどこまで見えてるの? ~

 背中の色と模様は見事な隠ぺい色。こげ茶は田んぼの泥の色で、背中の黄色の線はワラの色とそっくりです。ジッとして、わらの中にいると見つけるのがすっごくむずかしい~~!!

彼の名前は「タシギ」君
警戒心が半端なく、車から降りて探そうなんて不可能です。

これで車内からは約20mの距離 
それでもこちらの視線を感じるのか、コソコソと刈り取った苗の陰に隠れます。

このつぶらな瞳に、ご注目!!
小鳥などに比べかなり後方で、さらに頭頂部に近いところに位置していると思いませんか?

その視野範囲は何と何と360度を超えているのです。
すなわち、いちいち後ろを向かなくたって全部見えてるってこと!!

 ちなみにヒトの視野範囲はどれくらいかと言えば、例えば顔を正面にして自分の腕を伸ばして、立てた人差し指を目一杯耳の方に回して、さらに顔を動かさずに目だけを動かして、どのあたりまで見えるか試してみればわかります。

 人の場合は片方の視野が約100度と言われているので、左右両目の合計なら約220度の範囲が見えるという事になります。

 そんな警戒心の強いタシギ君の「頭かき」と撮ろうっていうんだから、こりゃそうとうの努力が必要じゃっ!・・・とは、最初から覚悟はしておりました。

チャンスは意外と早く訪れました!
 おおっ もしかして左側の「頭かき」をしているんじゃないかい? 片足だし、首は左に捻っているようだし・・・

今度は右足での「頭かき」を開始?!?! 
ほんのわずかながら右の足指が見えています! でもこれじゃ証拠写真になりゃしね~!


 それから数日後、手ごわいから相当時間が掛かるぞ~と思っていた矢先についにチャンスが訪れました・・・それも数m先の目の前で!! これは左足を出しているところ!

よっしゃ~! ようやくようやく撮れました!
この「頭かき」をしている時の、究極の「恍惚の表情」を撮りたかったのです!!

実はこのジシギ類は、見かけがどれもそっくりさん!

 一番数が多いのがタシギという事はわかっているし、一番嘴が長そうに見えるので、多分ですがタシギだろうということだけで、この写真だけでは決定的な決め手にはなりません。 同定の決め手は尾羽なのです。それを撮るには羽づくろいで、尾羽を拡げたところをとるしかありません! 

彼の食事時間は意外と長くて約30分! 

 食事が終わるまで、ひたすら待っているこちらもじっと我慢の子! 
あいや~困った!ここでトイレに行きたくなったけど、我慢我慢!! ここでこちらが動いたら次のチャンスはいつのことやら! うう~っ、過酷な試練が押し寄せます!! 

 その後しばらくして休息に入ってくれました。ようやく羽づくろいを始めてくれたので、ここからが勝負です!

おおっ、いよいよ本格的な羽づくろいの開始です!

ここからが肝心かなめ、ラストスパートで最終コーナーの勝負です!

やった~!! ようやくようやく尾羽を拡げてくれました。

 この尾羽の枚数や配色で、晴れて「タシギ」君と同定できたのです。
あゝ、疲れた~!! ・・・でも達成感が溢れる疲労感なので久しぶりに爽快でしたぞ!