学力テスト Vol.472-2 その解答 オオジシギ ~ カミナリとヤギ ~ 

 オオジシギ ~ カミナリとヤギ ~ 

まずはジシギとは何ぞや?から。多くのシギ類のように干潟や河口には行かずに、内陸の水田や草原を好むことから「地鴫(じしぎ)」類と呼ばれています。

国内ではタシギ・ハリオシギ・チュウジシギ・オオジシギ・アオシギの5種類  ( いずれもシギ科タシギ属 )をジシギ類と称します。その中ではオオジシギだけが日本で繁殖をしていて、残りの種類は旅鳥として春と秋に国内を通過します。

オオジシギの繁殖の多くは北海道です。以前は国内繁殖の方が圧倒的に多いと言われていましたが、現在でサハリンやウスリー流域などの方が多いとされているようです。

静岡県では、かつては朝霧高原でよく見られました・・・が、最近では激減傾向にあって淋しい限りです。それでも富士山麓の草原、とくに自衛隊の北富士演習場に行けば、毎年必ず出会うことができます。

早朝は枯れ木に止まって囀ります。

囀るといっても、彼の歌声は草原の小鳥たちのような美しいメロディではなくて「ジェ~ップ、ジェ~ップ」と、かなり変わったダミ声で鳴きます。

彼の魅力は何といっても、そのディスプレイフライトにあります!!
大草原の上空を「ズビャ~ク、ズビャ~ク」と鳴きながら飛ぶのですが、
急降下する時に尾羽を広げ、外側の尾羽への空気抵抗を増すことによって「ゴゴゴゴゴ~~~」という振動音を出すのです。
内側の尾羽に比べて、外側の尾羽は小羽枝( しょううし )で強力に結合されており、急降下の際の振動で音が出せるような構造になっているとのことです。何という驚くべき進化!!
どのくらい時間を掛けたらこのような進化を遂げることができるのでしょう?!?!
その轟音こそが、別名「カミナリシギ」と呼ばれる所以なのです。

タシギ

少々脱線:ちなみにタシギもディスプレイフライトをします・・・が、日本では繁殖をしていないので、それを観察することはできません。
オオジシギほどの迫力はなく「ヤギの声」に似た音を出すとのこと・・・ぜひとも一度聞いてみたいものです・・・ここまで書いて思いついたのは、英語検索での海外の情報!

➡ 国内版では見つからなかったけど、タシギならヨーロッパにもいるはず!ということで海外のネットを検索したら出てきました!!
おおっ、見つけた~! ビンゴ~~ 出てきたのはノルウェーのどこかの草原で、霧がかった日の出時間です。
検索は「Common Snipe Flight Display」でどうぞ! 
うわわわわ~~、ホントに可愛い「ヤギの声」じゃ~~!


オオジシギのディスプレイフライト

ディスプレイフライト時の典型的な声の変化は、① 前奏その1「ジッ・ジッ・ジッ」と短い音で ➡ ② 前奏その2 急降下直前に「ジーッ・ジーッ・ジーッ」と長い調子で段々声を大きくしつつ高度をあげる ➡ ③ 急降下しながら「ズビャ~ク・ズビャ~ク・ズビャ~ク」と3~4回大声で! + 尾羽を広げて「ゴゴゴゴゴ~」という振動音を出す!!   
この①から③を繰り返しながら、数分間にわたって飛び回るというパターンです。 

言葉で言い表わしても伝わらないので、ネットで「オオジシギ ディスプレイ」で検索してみて下さい。多少なりとも雰囲気が分かると思います。

ホンモノを見れば「うわわ~、す・すっげ~」と惚れ惚れしますぞっ!! 
だって、こんなすごいディスプレイフライトを見せてくれる鳥は他にはいませんから!!

F-15

航空ショーを見に行った人なら判ると思いますが、この「F-15戦闘機 愛称: EAGLE」が飛び出すと、寝ている赤ちゃんがひきつけを起こして泣き出す・・・という大騒音!
カミナリシギのディスプレイはこれを連想してみて下さい。

オオジシギのディスプレイフライト

富士山を横目に見ながら、青空をキャンバスにして、目いっぱい「愛してるよ~~!!」とばかりに「ズビャーク、ズビャーク」と叫んだり、尾羽を目一杯広げて「ゴゴゴゴゴ~」とすごい風切音を立てて飛び回るのです。この轟音こそがメスには心を震わせるような素晴らしいラヴコールに聞こえるのでしょう。

あなたに、もし大好きな女性がいて愛を告白しなきゃいけないと思って悩んでいるのなら、思いっきりストレートに!!・・・そう、例えばQUEENの「I Was Born to Love You」 のようにコクッちゃいましょう~  🎵!🎵!🎵! 

もしかしたら振られるんじゃないか?とか、そんな臆病ないじけた考えは捨てて、堂々と!! 行け行けドンドンと突き進め~!! 

カミナリシギの雄大なディスプレイフライトを見れば、きっとそんな勇気をもらえますぞ!

時々ですが、複数で飛び回ることがあります。

この時は、何と何と一度に3羽での集団ディスプレイフライト!!
こんなスゴイのを見たのは1度きりですが、それはそれは壮観でした。

私の友人はオオジシギ君のディスプレイフライトを初めて見た時に、感動で涙を流していました! いやいや、ホントだってば!! 隣にいたんだから確かだって!
彼は少々、頑固者で通っているヤツだけど、やっぱりこのディスプレイには感じるところがあったんだろうね~! 
ん?そう言うお前は鳥を見て泣いたことがあるのかって? そんなのあるに決まってるじゃん!!
その話は以前書いたことがあるので、探してみて下さいまし。

オオジシギ君は「直接頭かき」です。

この時、絶対に頭かきをやってくれると思って構えていたんだけど、気合を入れ過ぎたのか指がひきつってしまい、ホンのちょっとシャッターボタンから指を放した瞬間に頭かきを!!
ぐぎぎぎ~~ 仕方ないので、この時のは隣で撮っていた友人の写真を借用しました。グスン

繁殖を終えたオオジシギは、初秋になると遥々オーストラリア東南部まで越冬に旅立ちます。遠州地方ではこの頃に、田んぼで見かけることがあります。

その時に撮れたのがこれで、しっかりと「直接頭かき」をしてくれました。

さあ、たくさん食べて体力を蓄えたらオーストラリアまでレッツラゴー!!
来年も富士山麓で会おうぜい!!













学力テスト Vol.472-1 頭かきシリーズ その89

ヒメシジミ ♂
標高が1000mほどの所に生息している美しいシジミです。
ホオアカ君が水浴びしているところにもいました。

ヒメシジミ ♀

さて本題。




この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。

※いつものような正面とか後ろ姿の写真だと答えにたどり着けないと思われるので、大出血サービスしました。


学力テスト Vol.471-2 その解答 ホオアカ ~ 控え目から変身 ~

 ホオアカ ~ 控え目から変身 ~


ホオアカ君が囀る時には、あまり高い木を好まずに低木で囀ります。
どうして?・・・今回はそのあたりについて、本人に聞いてみました。

「こんちい~っす! ボクってヒトから見たら、けっこう目立ちたがり屋のように思われてるようだけど、ホントは違うんです~。ボクって地味で、目立たないし~・・・」


「ここは大草原なので、元気いっぱいに囀らないと女の子にモテナイぞ~って言われてるんだけど、大声出して歌うってけっこう恥ずかしいんだよね~ だからついつい、こんなふうに恥ずかしさで目を細めたり、声が小さくなったりしちゃうんだよね~」

「ホントはノビタキ君みたいに、高いところで思いっきり囀ってみたいんだけど、我が家の家訓では「人生いつも控え目が大事!」って教わってるもんだから、ついつい・・・」

「でもこのままじゃ、ず~っと女の子にもてないのは分かってるんで、今日から心機一転して、前向きに積極的になろうかな!って決心しちゃいました。」

そうそう、何でもポジティブに考えなくっちゃね~ 君は一見すると地味だけど、言い換えれば渋いってこと! よくよく見りゃいい男なんだからさ~ ちょっと磨けばきっと光るぜい!・・・と、少々おだててみました。

まずは心身ともに清めるために水場へ直行!

女の子に気に入ってもらうにはまずは身だしなみから!!

体の隅々まで、これでもかとバシャバシャと

うがいもして、声がよく通るように

どうっすか? このくらいならまずまずっしょ?

おっと、最後にヘアスタイルも「間接頭かき」で、キメなくっちゃ!

水鏡で身だしなみの最終チェックも怠りなく!

「体も喉もすっきりしたところで、囀ってみたら・・・おおっ、我ながら美声じゃん!」

「自信が出てきたら、おのずから声も大きくなって周囲に響き渡るようになりました~!
うわわ~、女の子も近くへ寄って来てくれるようになった~! やった~、アチョ~!」

親愛なるホオアカ君へ
たとえ意中の女の子がそばに来てくれたとしても、決して浮かれてはなりませぬ。
「女心はままならぬもの。いつ豹変するかは神のみぞ知る!!・・・なのです故。
ですから、あくまで浮かれずに控え目に」という家訓を忘れないという事が大切なのです。じゃあ、これからもがんばってね~!!


学力テスト Vol.471-1 頭かきシリーズ その88

 

アオサナエ ♂

「アオサナエ」はサナエトンボ科の中でも、ひときわ美しいトンボです。
超憧れのトンボだったので、初めて見つけた時の感動や興奮はいまだに鮮明に記憶に残っています。
慌てて釣具店に駆け込んで胴長を購入して、川の中に座り込んで撮ったことを思い出します。


なぜ胴長かって? そんなのは、この写真を見ればわかるけど、陸地からじゃこれ以上はどうにもならないのです。鳥用の望遠レンズを使ってもこの程度!
昆虫はやっぱりマクロレンズでなきゃね~っ!!
近づくには胴長のカッパを着るか、海水パンツになるかの選択しかないのです。ジイジがこんなところで海パンになるのは、ちょっとおかしいので胴長という選択肢しかないのです。トンボ君たちは変な刺激を与えなければ近づくことができるのです。

アオサナエ ♀

そんなに山間部に行かなくても「岩がゴロゴロしている水深の浅い清流」というキーワードをヒントに探せば見つかるかも?

では本題!


この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。



学力テスト Vol.470-2 その解答 コアジサシ ~ 驚異の成長スピード ~ 

 コアジサシ ~ 驚異の成長スピード ~ 


コアジサシ君たちは4月下旬になると、遥か彼方のオーストラリア方面から繁殖のために日本を目指して飛んで来ます。

コアジサシは東南アジアからオーストラリアまで広く分布しているのですが、日本以外では個体数が少なく、確実な繁殖情報が少ないのです・・・ということは日本が繁殖の中心地であると言えるのです。
今回はそのヒナたちにスポットを当ててみました。

孵化して2日目のヒナたち 体長は約5~6㎝ほど。

孵化後、2時間ほどで乾く幼綿羽で厚くおおわれています。
そして24時間以内には親の後をついて歩くようになります。

早成型なので、目は開いていて視力や聴力も発達しています。ただ、体温調節能力がまだ不完全なので、寒かったり雨の場合は親のみが頼りです。

1週間後
もうアチコチ歩き回ります。

2週間後
かなり早足で歩けるようになりました。

3週間後でも、まだ親からのエサが頼りです。

上空で親の声がすると「かあちゃ~ん、ここだよ~ 早く早く~!腹減って死にそうで~い!」と、大騒ぎで反応。

ママがご馳走を持って来てくれました。

ちょっと大きめですが、何とか飲み込めました。

初飛翔の瞬間です!!
飛べるようになるのは3週間目あたりから。
最初はせいぜい50mほどで、すぐに着地してしまいます。


それが、翌日にはもう砂浜の上空をビュンビュンと飛び回っています!!
何という成長スピード!!!

兄弟一緒に水際をお散歩
すぐ近くにサーファーがいたって全然気にしません。

おっと突然の「直接頭かき」・・・何とか間に合いました!! フィ~

ここまでは単に飛べるようになったというだけで、まだ第1関門を突破しただけ。
これで一安心してはいられません。

このあとは親と一緒に海に出て狩りの練習が待っています。
自分で魚を獲ることができるようにならなければならないのです。

コアジサシは水面近くや水深が50㎝ほどのところにいる小魚を探しながらダイビングで捕えます。これができなければ即、死に直結してしまうのです。


9月下旬から10月頃には越冬地への数千キロの大旅行が待っているのです。
それまでにダイビングの技を磨き、体力をつけて、しっかりと飛べるようにならなければいけません。

渡りの ルートについては,どこを経由しているのかまだはっきり判ってはいません。
琉球列島や台湾、そこから南下してフィリピン諸島などを経由しているのだろうという推測は立っています。
そこからさらに越冬地のパプアニューギニア、オーストラリアやニュージーランドなどへ 渡っていくのです。気が遠くなるような距離です!!

それにしても3週間前、産まれたてのヒナの頃は5~6㎝かそこらでモフモフだったのが、こんな短時間で大空を自由自在に飛べるなんて、ホントにものすごいこと!! オーマーガーです!!

来年も元気で戻って来ておくれ~~!!















学力テスト Vol.470-1 頭かきシリーズ その87

 

アカシジミ

佐鳴湖ではめったに出会えることはないけど、会えるのはこの時期!
会えたらら一日ご機嫌に!!


では本題!

この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。



学力テスト Vol.469-2 その解答 トラフズク ~ 木に棲むウサギ ~

 トラフズク ~ 木に棲むウサギ ~

漢字では「虎斑木莵」と書きます。

褐色の縦縞模様がトラを連想させることから「虎斑」。「ずく(木莵)」というのは奈良時代の頃から呼ばれていた名前で「木に棲む」のことで、兎(ウサギ)の耳のように長いことから付けられた言葉です。

※「莵」と「兎」はどちらもウサギを意味する漢字で、「莵」は古くから使われてきた漢字です。

長い耳がカッケ~~!!

英語では「Long-eared Owl」。学名も「Asio otus」で、意味は「耳のあるフクロウ」。
耳の第一印象がいかに強いかが分かります。

ヒナたちの隣の木にいたママ

この耳って、こんなふうに寝かせることも。
その時の状況や精神状態によって、立ったり寝かせたりと自在に動かせるのです。

ポヨポヨ
まだ巣立ちして20日ほどしか経っていないヒナの耳はこんな感じ。

末っ子の耳はフンワカ

こちらは兄弟の中で1週間ほど遅れて巣立ちした4番目の末っ子と聞きましたが、
耳だけはしっかりとしています。

警戒して木化けする時は体も細くし、耳も立てます。

上記で「耳」と呼んでいた部位は「羽角(うかく)」といいます。
本来の耳とは全く関係ない、いわば飾り羽です。飾り羽とは言え、木化けする時に丸い顔の輪郭を周囲から目立ちにくくしたり、敵に対して体を大きく誇示するなどの役割を持っていると考えられています。

この「羽角」を鳥の図鑑に書いてある「耳羽(じう、みみばね)」と呼ぶのは間違いです。
耳羽」というのは、耳の開口部を覆っている羽毛のことで、すべての鳥類に備わっています。

今年は4羽誕生して、末っ子以外の兄弟たちが勢ぞろい

ふゎ~ たいくつ~~! 
早く夜になってママがご馳走を持って来てくんないかな~

ヒナたちはよく頭を左右にグルグル回します。


まだ視力がしっかり発達していないので、こうやって遠近感をつかむ練習をしているのかな? 成鳥になるとこのような動きはしなくなります。

「直接頭かき」をしてくれたけど、指先に注目!

フクロウ類は前後に2本ずつ指がある対趾足(たいしそく)ですが、前方の趾(あしゆび)が2本になったり3本になったり、一番外側の第4趾を自由に動かすことができる可変型です。こんな特殊な足のことを可変対趾足(かへんたいしそく)と呼びます。

以前にも書いたことがあるけど、もう一度おさらいを。
わかりやすくヒトの右手で、手の甲を上向きにして説明すると、鳥の後ろ指は親指(第1趾)・前足の人差し指(第2趾)・中指(第3趾)・薬指(第4趾)です。

鳥の多くは小指がなく4本指です。前向きの指が3本と後ろ向きが1本というのが基本的な構成で、スズメ目・タカ目・カモ目など多くの鳥に見られます。こちらは三前趾足(さんぜんしそく)といいます。


さすがはフクロウ類だけあって、こんなヒナでもガッシリとした指を持っています。
指の内側にはやわらかい突起(肉球)が発達していて、これならネズミをガッチリと捕まえることができることでしょう。

彼らがいた木の下で拾ったヒナの羽毛
これを財布にしまっておけば、「不苦労」や「福来郎」に!!
もしかしたら「金運」もUPするかも!?!?

この子たちに無事会えたのは、このカービングの御利益かな?
車のダッシュボードに「交通安全のお守り」で、いつも鎮座しています。