学力テスト Vol.379-4 その解答 オオソリハシシギ ~ リンドバーグも真っ青 ~

 オオソリハシシギ ~ リンドバーグも真っ青 ~

夏羽の♂
全長は約40㎝、体重は約200~400gと、そこそこ大型のシギです。

今回なぜこの鳥を選んだかというと、オオソリハシシギは渡りの「無着陸飛行の世界記録」を持っていると知ったからなのです!! 越冬地はオーストラリア南東部やニュージーランドで、45月にかけて北上し、アジアの国を経由して中国沿岸部や日本を通過し、繁殖地であるロシア北東部やアラスカに向かいます。

※この渡りのルートは「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」と呼ばれています。

2020年に発表された記録によると、繁殖地のアラスカから越冬地のニュージーランドまでは太平洋を真っ直ぐに南下して何と何と12,000km!!! それをノンストップで11日間で飛び続けたという、とてつもない渡りをしているのです! 注目すべきは秋の渡りのルートが春のルートと異なること!!

12,000kmって想像がつきますか? もう少々わかりやすく身近なところで解説すると   ① 東京と大阪間が400 kmだから、この30倍 ② 本州の青森県大間から山口県の下関が1219kmで、この約10倍! ③ 日本の最北端である宗谷岬と、最南端の与那国島が3,142kmだから、この4倍弱! ④ 名作TVアニメの「母をたずねて三千里」が、キロメートルに換算すると12,000km・・・etc.   要するにとんでもない距離だってことなのです!!! それをノンストップですぞっ!!


なぜこんなことが分かるのかって不思議ですよね? そもそも鳥が渡りをするということは標識調査という方法で分かってきたことなのです。

1890年頃から、捕獲した鳥に金属の足環をつけて、再捕獲または回収された場所とを直線的に結び付けてそのルートを調べていたのですが、近年では小型の発信器が発達して、その電波を人工衛星でキャッチして追跡し、ルートを解明する方法が発達しています。

シギ類の渡りは高度が500~4000m位を飛行していることが、レーダーの調査などで確認されているそうな。

大型の鳥なら発信器は背中にランドセルのようにヒモでくくりつけます。発信器の重さは5gで、鳥の体重の4%程度なら問題ないとされて装着されています。

さて、本題のオオソリハシシギですが、アラスカを飛び立つ前に充分にエサを食べて太り、追い風に乗って高度数千メートルを飛び続けます。

※この数千メートルというのも調べてみたら、なんと8000m上空を飛んでいるのが確認されているとのことです! エベレスト並みの高さじゃ~!!

そして南下する途中にあるハワイなどの島にはエサが少ないことや、降下や上昇による無駄なエネルギー消費を抑えること・・などから、ノンストップ飛行をしているらしいのです。

さらに渡りの際には、脳の片側だけで眠る「半球睡眠」を行いながら飛行しているものと考えられているそうな・・・何じゃそりゃ~!! もうビックリを通り越して、驚愕の世界!!          ※「半球睡眠」についての詳細はネットで検索してみて下さい・・・自分で調べた方が頭に残るからね!

幼鳥

このデス・ゲームには、当然ながら繁殖地で産まれたばかりの幼鳥も参加します。太平洋上の目標物も何もないところを迷わずにまっしぐらに越冬地へ飛べるのは、太陽や星座の位置を利用したり、地球の磁気を感知したりしているのです。

ヒトの能力と比較するという訳ではないけど、なぜか「翼よあれがパリの灯だ」という映画を思い出してしまいました。これは1927年、ニューヨークからパリへ、史上初の大西洋単独無着陸横断飛行を成功したMr.リンドバーグの実話に基づく物語。

これは32時間の冒険で、しかもMr.リンドバーグには酷な言い方だけど、本人は操縦席に座っていただけ! 距離は5832km。まあ、ここらがヒトとしての限界なのかな?! つくづく鳥の能力の高さに感服してしまいます。

シギチの場合には「カラー・フラッグ」と呼ばれるタグを足に付ける場合もあります。


5月に愛知県の汐川で撮った個体の「CTH」と書かれたタグは、調べたところニュージーランドの南島で付けられたようです。左足にも金属の足環が付いていました。このカラー・フラッグなら双眼鏡でも識別可能です。これをしかるべきところに報告すると鳥の渡りの経路の分析に貢献できるのです。

参照:大阪南港野鳥園のHPに「標識フラッグの組み合わせ」が載っているので、興味があったらどうぞ。
「東アジア・オーストラリア地域のシギ・チドリの飛行ルートと標識地域 シギチ類の飛行ルートの地図も載っているので、それを見れば一目瞭然です。

http://www.osaka-nankou-bird-sanctuary.com/o.n.b.s_web/2013flag_new/new_legflag.htm#conbination

オオソリ君は「直接頭かき」

羽伸ばしでストレッチ

パタパタも念入りに・・・羽根の裏の模様が美しいネ!

いざ繁殖地へ出発~~! 元気で来年も会おうね~!!


















学力テスト Vol.379-3 その解答 アオバズク ~ SKULL ~

 アオバズク ~ SKULL ~

アオバ君は「直接頭かき」

ホントにでっかいお目目です! 

フクロウ類は目が正面を向いていることが、ヒトに近い感じに見えて親近感がわくのでしょう。いつ見ても愛嬌があってカワユイね~!

あゝ眠い~~

下のまぶたが上下します。

瞳孔が小さくなると「ビックリ顔」に!

おっと、これは珍しい!・・・周りの音に反応したのか、ヌーっと首を伸ばしました。
普段は脛骨をS字型に曲げて首を縮めているのですが、伸ばすとこんなふうに!

首を伸ばした横顔だけを見るとフクロウ類ではないような感じで、やっぱり猛禽類!


頭蓋骨のイラストは、右上からコノハズク(Scops Owl)・コキンメフクロウ(Little Owl)・モリフクロウ(Tawny Owl)・メンフクロウ(Barn Owl)。

左上からはワシミミズク(Eagle Owl)・シロフクロウ(Snowy Owl)・トラフズク(Eared Owl) の順です。図鑑の正面顔と比べてみて下さい。

 ネットで検索すれば、もろにホンモノの頭蓋骨が出てきますが、気持ちわる~いと言う人のために、自宅の本棚にあったイギリスの本(「TRACKS & SIGNS」)で探してみました。

アオバズクは東洋区の鳥のため、この本には載っていなかったけど、まあ大体の想像はつくと思います。見た目よりも意外と嘴が出っ張っているでしょ?!

笑って歯が見えている!?!?・・・「笑ゥせぇるすまん」こと「喪黒福造顔!

ブナ林で休憩

今年も可愛いヒナたちが無事に育ちますように!!













学力テスト Vol.379-2 その解答 ホオジロ ~ チコちゃん鳥 ~ 

 ホオジロ ~ チコちゃん鳥 ~

ホオジロは、識別が少々厄介な種類の入門編としては、最適で身近な小鳥。


ホオジロの声を「聞きなし」(人の言葉に置き換えて覚えやすくしたもの)で言うと「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」というのは誰でも知ってる話。
すなわち、「お手紙を差し上げます」という意味で、現在の「拝啓」に当たる言葉。


この「一筆・・・」という聞きなしのことを調べてみると、なかなか味わいが深くて「一筆」という単語に含まれる「ピッ」という音は、ホオジロの最初の出だしの高音をとらえたものとして絶妙だと言われているのです。

最後の「候」についても、町人の間や口語表現では「そろ」とする読み方があるので、その方がこの聞きなしには妥当ではないかという説があります。
確かに武士言葉のように「そうろう」と延ばすと、間延びしてしまってホオジロの囀りらしくなくなってしまいますよね。

未婚の♂は胸をのけぞって囀り、既婚者は正面を向いて囀る
・・・という話もあるというけど、ホンマかいな?!

別の聞きなしでは「源平つつじ白つつじ」とか「札幌ラーメン味噌ラーメン」というのも知られています。
静岡県では「ツンと五粒 二朱負けた」とか「親死ね子死ね 四十九の餅つけ」という聞きなしもあるようです。

他に面白そうなところでは、「チンチロクベー ハチロベー」(佐賀県)とか「チンチロ弁慶 皿持て来い」(島根県) 

※1955年に鳥類研究家の籾山徳太郎氏が  発表したところによると、全国には80余りの聞きなしがあるとのことで、如何にホオジロが身近な鳥であるのかもわかります。
                      
 ー 参考資料:BIRDER 2014年4月号「ホオジロのさえずりは一筆啓上つかまつりそうろうか? 平岡孝 ー

もし草原に行ってホオアカの声を聞くチャンスがあったら、ホオジロとの囀りの違いにも注意してみましょう。
ホオジロをしっかりと覚えておけば、ホオアカを声で探すのは簡単!!

A

B

◆ミニミニクイズ:上の2枚の写真で性別が分かるかな?

さらに実力のランクアップを目指して、冬には同じ仲間のカシラダカとの見分け方や、「地鳴き」でアオジ・クロジ・カシラダカ・ミヤマホオジロなどとの比較・・・エトセトラ

「ボ~っと生きてんじゃね~よ~!」って、チコちゃんに言われ続けないように、今から勉強しておいて冬に備えましょう! 

いつまで経っても「シギチ類やカモメ類って識別がめんどくさいからイヤッ! ホオジロ類も色がついてて簡単に判るのがいい~!・・・なんて言ってちゃダメ~~!!

この際、ホオジロ君をきっかけにして精進すれば、きっと「うわわ~、アンタって すっごいじゃん~~!!」って、チコちゃんに褒めてもらえるぞ~! 
 
最後に・・・ホオジロ君のVサインは「間接型頭かき」でした!











学力テスト Vol.379-1 ~ 頭かきシリーズ その25~

 今日6月16日は「私はカモメ」のテレシコワが初の女性宇宙飛行士で飛んだ日ですが、いつ頃の話か覚えてますか? 何と何と1963年・・・今から59年前のことなのです!

ちなみに「地球は青かった」のガガーリンが人類初の有人宇宙飛行に成功したのは1961年4月17日で61年前のことです!

光陰矢の如しで、何もしないうちに歳だけは取るもんだ! ショボ~~ン

満月の翌朝 日の出前の撮影 2017.11.5
望遠レンズで撮ったら、クレーターまで見えちゃいました。
スコープで覗くともっとすごいぞ~!!

さて本題、次の3種類の「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えてください。

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

A

B

C



















学力テスト Vol.378-5 その解答 エナガー2 ~ モフモフだんご 10兄弟 ~

 長年の目標だったエナガ君の巣立ち直後のヒナたちを取材できました!

まずはその住居をご紹介。エナガの巣は直径が810cmということなので、ソフトボールくらいの直径です。それが楕円形になっていて、サッカースタジアムのようなドーム型の屋根付きで、木の股などに作ります。

                         言葉でくどくど説明しても分かりにくいので、イラストを借りてきました。

                        「柴田佳秀著:鳥の雑学がよ~くわかる本より

      巣材の外壁はスギゴケ類などが主で、それをクモの糸や、ガのまゆなどの丈夫な糸をほぐしたりして、しっかりと固定します。

  肝心の内装ですが、鳥の羽毛や獣毛などを使います。

      ダウンジャケットや羽毛布団の場合は、「綿羽」というタンポポの種のような羽軸のないものが高級とされますが、エナガの場合は雨覆や胸などの羽軸のある部位も多く使います。 イラストでは小鳥の次列か3列風切りのような羽を持ち込んでいるところが描かれています。

      エナガの巣は鳥の巣の中でも最高級クラスの室内空間で、「羽毛布団に包まれたふわふわの巣」として有名なのです。あるデータによると巣立ちした後に羽毛を数えたら、何と何と1240枚にもなったんだそうで、1000枚を超えるのは当たり前!!

それほど効率よく集めるには、猛禽類が襲った後の羽毛(キジバトやドバトなど)が散乱した場所を覚えていて、そこから運んでくるから・・・という話もあるのです。

エナガの場合は『 産卵数:712個 抱卵:1214日 巣立ちまで:1417日 』 こんなデータがわかっているので、巣作りが始まった後は、抱卵日を頭に入れながら、えさ運びが始まったのが確認出来たら、おおよそのヒナの巣立ちが予測可能なのです。

もちろん、友人の協力なしには巣立ち日が予測できるはずもなく、その点では感謝、感謝、大感謝!!!!!


4月の或る日「巣立ったぞ~~」の連絡で、すっ飛んで行きましたが、最初に見られたのはこんな感じで、お尻ばっかり!! ほとんど動きはありません。


何とか、端っこのヒナだけがこちらを向いてくれました・・が、これじゃ、イメージしていた「エナガ団子」とはほど遠い感じです。しかも数分後には、いきなり散ってしまいました! 「あわわわわ~~、これでお終いなの? ゲゲ~~」

ようやくようやく見つけたのがこの2羽のヒナ

夕方、諦めきれずに再挑戦したところ、現地には誰もいません。自力で探すにはかなり広い公園ですが、ここでくじけるわけにはいきません。「今回のチャンスをのがしたら、二度と見れないぞ~」と、めげそうになる心を鼓舞して探した甲斐がありました。とっとと家に帰ってビールを!・・・という欲望にも、なんとか勝てた結果です。 

その2羽にピントを合わせていたら、何と何とあっという間に4羽に!

え、ええ、えええ~~、続々と集まってきます!

「うわわ~ 来た来た~~ 団子が来た~~!!」
さえぎる枝も葉っぱもなく、視界は申し分ありません!

1分後には8羽が集合! 
気付かなかったけど、兄弟はきっと近くにいたのでしょう。

さらに1分後、とうとう10羽が集結しました。
左から4番目に1羽だけ後ろ向きがいるけど、これはご愛敬。これで全員のようです。

おっと、そのうしろ向きのヒナが、皆が止まっている枝に突撃~!


な、なんと! 無理矢理、割り込んでしまいました!! そんなに超密着してスキンシップがしたいのかな? そして、左から2番目にはギュウギュウ詰めになって、上からも押さえつけられた格好のヒナもいますが、特に嫌がった素振りはありません。

冒頭のイラストの巣を思い出してください。この狭い空間に10羽全員で2週間以上暮らしていたのですから、この程度のすし詰め状態なんてどうってことないのかもしれません。

親が餌を運んできました。
左の2羽だけが気づいていますが、他のヒナはボーッとしたまま。

今度は右から親がやってきました。左側のヒナは反応なし。

正面から来た親には「ママ~! 僕にちょうだい~~」と、皆が反応しています。

一番下の枝に注目! 下からもう1羽の親がエサを与えています。

下から来た親は、後ろ向きになっているヒナを忘れている訳ではありませぬ。このようにどの子にも分け隔てなく、均等にえさを与えているのです。それにしてもどうやって見分けているのかな?

親が餌探しをしている間、ヒナたちはよく居眠りをしています。
この時、眼を開けているのは2羽だけ!

このように「エナガ団子」となるのは、1~2時間に一度のようで、それ以外は集団で行動はしていますが、めいめい勝手に動き回っているのです。
まだ体力がないため、このように度々、休息をとるのでしょう。

「押しくらまんじゅう」をするのは温め合っているから・・・という人がいたけど、最大の目的は天敵に対する警戒からなのだと思います。公園には怖~いカラスがあちこちに!
1羽1羽がバラバラに餌探しに夢中になっていたり休息していれば、その分、天敵からも襲われやすいのです。
天敵を発見して皆に合図すれば皆が安全!・・・とは言いながらも、そこはまだ赤ちゃんなので居眠りもしょっちゅう!! まあ、それは仕方ないネ! 

つかの間の睡眠から目覚めたのか、ストレッチを開始!

混みあっているので尾羽を拡げるくらいしかスペースがありません。

おっと、無理矢理左の羽根まで伸ばしています。


こんな時に「あれ」をしてくれたらいいのにな~と思いながら、シャッターを半押し状態で待っていたら、突然 右から3羽目が念願の「間接頭かき」を!! 
ホンの1~2秒の瞬きをするような瞬間でしたが、撮ったという手ごたえはありました。


「うわわ~、やった、やった~~!!」こんな時じゃなきゃ、エナガ君の頭かきなんて撮れっこありません!!

おっと、皆が一斉に緊張の面持ちで同じ方向を!!

と、思いきや、突然バラバラとクモの子を散らすように飛び立っていきました。


なぜか、左にいた2羽だけが飛びません。「れれっ? 何があったの?」って顔で固まったままでしたが、それもつかの間で、すぐに飛んで行ってしまいました。

この一連の撮影時間は約20分・・・まさしく超々至福の時間でした! えがった~~!!!

ママが心配顔です。
この子は、もしかしたら一番手のかかる末っ子かな? 

この後、巣立ちビナたちは、しばらくは親と一緒に行動して、いろいろ教わりながら自立していきます。

天敵以外に、雨やエサ不足など、いろいろな理由で小鳥たちのヒナが無事に育つのは10~20%以下といわれています。
この子たちが元気で育ってくれるように、願わずにはいられません。