学力テスト Vol.446-1 頭かきシリーズ  その65

 

アサギマダラ ♂
「渡りをするチョウ」として有名で、この時期にフジバカマなどに吸蜜に立ち寄ります。


今年は10月20日を過ぎても暑かったせいなのか、飛来が遅いように感じます。
おっと、そう言えば「アサギマダラは気温が25℃以下になると渡りを始める」というのが定説だったなあ。

おや? このチョウは翅にマーキングされています!

翅の白い部分に油性の黒いフェルトペンで書きこんであります。

ちなみに新鮮個体の場合は、この白い部分が「浅葱(あさぎ)色」なのが、このチョウの名前の由来です。

マーキングは誰でも書くことができます。興味のある人は「アサギネット」でいろいろ検索できます。

マーキングしたチョウの捕獲によって、移動の方向や距離、時間、寿命などさまざまな情報が得られ、このチョウの不思議な生態の解明に繋がっているのです。

その結果、遥か2000㎞先の香港や中国方面まで翔んでいく個体がいることも判明されているのです。2000㎞ですよ! 2000㎞!!・・・ほんとにオーマイガ~~です!!!

※ちなみにアサギ君の大きさ(前翅を開いて、その一番長いところを測定)は約10㎝で、体重は約0.3gです。・・・1円玉が1gっていうのは知ってるよね?



さてさて、本題!!
今回はあまり馴染みのないこの鳥に登場していただくことにしました。
もちろん国内のフィールドで観察しておりまするぞ!!

いつもなら、後ろ姿や正面顔をヒントにして解答してもらうんだけど、まだ載っていない図鑑もあるので、今回のみの限定大出血サービスで横顔も出しました。
この3枚から連想すれば正解にたどり着くかな? きっとわかるよね!?!

いつものとおり、鳥の名前・頭かきの種類(直接または間接)・足指の形・水かきの有無についても答えて下さい。

後ろ姿

正面顔

横顔

足指の種類

水かきの種類

※2つのイラスト資料「鳥のフィールドサイン 観察ガイド」箕輪義隆

















学力テスト Vol.445-2 その解答 コサメビタキ ~ 小雨? or 小鮫? さあ、どちら? ~ 

 コサメビタキ ~ 小雨? or  小鮫? 、さあ、どちら? ~ 

コサメビタキ 
雨覆の羽縁が白いので1W

9月中旬頃になると小鳥などの渡りを、近所の公園などでも見かけるようになります。
その中でチラホラと見るのが、このコサメビタキ君。

コサメビタキ Ad

漢字だと「小雨鶲」または「小鮫鶲」と書くと思うのですが、さあどっちだ? 
正解は「小鮫」の方です。由来は「鮫色のヒタキ」からで、鮫の皮膚の色に似ているからと言われています。
よく似た「サメビタキ属」エゾビタキ・サメビタキ・コサメビタキの中では最小の13㎝で、スズメよりも小さくて、すっごく可愛いです!


英名では「Brown Flycatcher」といいます。
もちろん、その名前のとおりキビタキなどと同じように枝先に止まって、翔んでいる昆虫を捕まえて、また枝先に戻るというフライングキャッチを繰り返します。

巣立ちビナ

数年前の8月中旬に標高1000mほどの所へトンボやチョウを撮りに行った時に、すぐそばの木から何やら聞いたことのない小鳥の地鳴きが聞こえてきました。
しばらくじっと待っていると、この巣立ちビナが現れました! ヒタキ類のヒナだとは思ったけど、初めて見たので、最初は誰の子なのかわかりませんでしたが、目の周りが白いことから多分コサメかな? ・・・家に帰って調べたらビンゴ~~!! やったね!


ちょっとわかりにくいけど、コサメビタキは嘴の下基部が山吹色になっている点に注目! 
ここが、ものすご~くよく似ているサメビタキとの違いを示す特徴です。

たまたま撮れた、右足での「間接頭かき」の瞬間

小鳥たちの頭かきは、いつもササッと2搔き程度なので、ホンの1~2秒かそこらで終わってしまいます。だから撮った!というよりも撮れちゃった~・・・そんなのばっかし!

シャッターボタンを半押ししていても、タイムラグがあるので撮れるチャンスはさらに少ないのです。そのままジ~っとチャンスを待たねばなりませぬ! 忍耐と辛抱あるのみ!

だから狙って撮れるカモ類などの頭かきと違って、宝くじで1万円が当たったような気分! 「うわわ~っ、撮れた?大丈夫?ボケてない?」と、パソコン画面で確認するまではドキドキ気分で、撮れたのが分かった時の感動は格別~~!!になるのです! 
「頭かき」でこんなに盛り上がって、感動するヘンなオじンは私だけ? ・・・まっ、いいか!


この2枚の写真から「三前趾足」と「水かき無し」を想像してください。


コサメ君は中国南部や東南アジア方面で越冬します。
また来年も元気で帰ってきてね~~!!





















学力テスト Vol.445-1 頭かきシリーズ  その64

 ノビタキやジシギを探しに田んぼに行くと、いろいろなチョウたちに出会えます。

この時期、もっとも見られるのが「ウラナミシジミ」君
コセンダングサ(外来種でそこら中に、はびこっているヤツです)で吸蜜中。


そして、こちらもコセンダングサで吸蜜するのは「ツマグロヒョウモン」のオネイサマ。

最後はキタテハ君


さて本題!!
今回はこの鳥に登場していただくことにしました。
簡単なのか?、はたまたヤヤコシイのか? さあどっちだ?!?!

いつものとおり、鳥の名前・頭かきの種類(直接または間接)・足指の形・水かきの有無について答えて下さい。


足指の種類

水かきの種類
※2つのイラスト資料「鳥のフィールドサイン 観察ガイド」箕輪義隆




学力テスト Vol.444-2 その解答 ツミ ~日本最小のタカ ~

 ツミ ~日本最小のタカ ~

サシバやハチクマの渡りも終盤で、いよいよハイタカ属の渡りが始まります!! 

ハイタカ属の代表種といえば、もちろん一番有名なのはオオタカです!・・・が11月からはそれ以外のツミやハイタカが渡るシーズンの最盛期なのです。今回はツミについて復習してみます。

ツミ 成鳥♀

まずは、その気になる名前から。
漢字の表記では「雀鷹」または「雀鷂」。「鷂」とはハイタカ(ハイタカ属)の事です。
英名では「Japanese Sparrowhawk」。
Sparrowはスズメの事で、英名も漢字の表記もスズメのような小鳥類をよく獲ることから付けられました。

ツミ 成鳥♂

スズメのことを古語では「すすめ」とか「すすみ」と言っていました。

「すずめたか(雀鷹)」すなわちスズメのような小鳥を獲るタカ ⇒ 「すすみたか」 ⇒ 「すみ」 ⇒ 「つみ」・・・となったようです。

関東では1980年代から市街地の公園でも見られる身近な鳥に! という何ともうらやましい話があります。いつも飛んでいるところしか見たことがない私にとっては垂涎の話!この辺りで、そんなうらやましい話は聞いたことがありません。

ということで、重い腰をあげて(うそばっかし・・・デヘヘッ!)さっそく行ってみることにしました。

ツミ 成鳥♂

おっひょ~~、公園の真ん中の枯れ木のてっぺんに止まってるやんけ~~!! 
その距離は20mほどしかないのに、こちらのことはまったく気にしてません。何故こんな街の真ん中に? というのはエサとなるスズメやムクドリがいっぱい!という理由からで、ヒトやカラスのことを気にしなければ繁殖にはうってつけなのです。

「直接頭かき」も撮れちゃった!

指先までじっくりと!

「三前趾足」で、もちろん水かきはありません。
爪の先に付いているのは頭かきの時に取れた自分の羽毛

母親と3羽のヒナが。
10mほどの高さのところで営巣をしていました。

私が成鳥を撮っている時に、ヒナが姿を見せてくれたとのこと。
その瞬間を撮り損ねてしまったので、この大事で貴重な写真は友人から借用しました。

ツミ 成鳥♂

ツミ 成鳥♂

赤いお目目、オレンジ色の胸 
どれをとっても胸キュンキュン!!

ツミ 幼鳥
この子は♂♀どっちかな?

あの真っ白でフワフワ・モフモフだったヒナがこんな凛々しくなりました!

ツミたちはこれから中国南東部や東南アジアまで渡って越冬します。
このツミ君が成鳥になって変身するのが、ものすご~く待ち遠しいですね。














学力テスト Vol.444-1 頭かきシリーズ  その63

 サシバ、ハチクマなどの渡りが、どうやらピークも超えたようで、いよいよ秋本番!!

今回はこの時期によく見かける赤いトンボたちに目を向けてみましょう。

ナツアカネ ♂

名前からは真夏のイメージだけど、真夏を過ぎたころからがピークなので、まだまだ元気です。

ナツアカネの産卵

トンボの産卵にはいろいろな方法がありますが、ナツアカネは空中から卵をバラまく方法をとります。トンボの用語では「打空産卵」といいます。

アキアカネ
「赤とんぼ」と呼ばれる赤いトンボの中で、最も有名なのがこのアキアカネ。

アキアカネの産卵

このトンボの産卵方法は「打水産卵」と呼びます。
田んぼの柔らかい泥などに産んでいる時は「打泥産卵」と呼びます。

産卵の時まで♂が連結してるって、ずいぶん仲がいいじゃん、うらやまし~って?・・・いやいや、そうではありませぬ。
こうして♀をつかまえておかないと、他の♂に♀を横取りされてしまうのが嫌なだけです!

横取りした♂は♀の生殖器に入っている♂の精子を掻き出して自分の精子を渡すといわれているのです。だからペアの♂は♀を放せないのです。ああ、男はつらいね!

仲良く2ショット
右:アキアカネ 左:ナツアカネ
どちらも田んぼ周辺で生活しています。近くの田んぼで探してみましょう。

さてさて本題。
いつもどおりに「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えて下さい。

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

さらにおまけで、今回も追加問題です。いつもと同じように「足指の種類」や「水かきの種類」に関しても答えて下さい。もし、水かきの種類に該当しない場合は「無し」と解答して下さい。


足指の種類

水かきの種類
※2つのイラスト資料「鳥のフィールドサイン 観察ガイド」箕輪義隆












学力テスト Vol.443-3 その解答ー2 チュウサギ ~ ファッションで絶滅の危機 ~

 チュウサギ ~ ファッションで絶滅の危機 ~

おおっ! 背中と胸の飾り羽がビューチフル!

「婚姻色」というのは魚類や両生類、爬虫類などでよく発達しています。鳥類ではサギ類の他にはウの仲間くらいです。

Before
これが目先や虹彩で、婚姻色に変化する前の姿

※チュウサギの嘴が黒くなるのは初夏の一時期のみですが、この現象を婚姻色と呼ぶのかどうかは、いろいろ調べたけどよくわかりませんでした。

After
婚姻色で変身したあと

サギ類の婚姻色というのは繁殖の直前から繁殖中のホンの短期間だけで、嘴や目先、足の一部などの羽毛のない裸出部の色彩が、一時的に変化して 鮮やかになることをいいます。

チュウサギの場合は虹彩は黄色が鮮橙色に、目先は黄色が鮮黄色に変わります。これに見事な飾り羽が胸と背中から伸びて出来上がり!!

「鮮やかで明るい色、コントラストの効いた色」をさりげなく使う・・・というファッションのお手本のようなコーディネイトです。

特に美しいのが、この飾り羽
広げたり畳んだりするのは、もちろん思いのままに!

背中と胸の部分に、レース状の羽毛が伸びてきます。

この美しい羽を見て、あくなき美を追求する女たちと、それにつけこむ男どもが目をつけたのは当然のこと!

1800年代後半に、この優雅な羽毛を女性の帽子の飾りに使うファッションが大流行! 
その羽毛をアメリカとヨーロッパの主要都市に出荷するために、サギのコロニーが破壊され、毎年何十万羽ものサギが殺され、サギ類の多くが激減して、1900年には危機的な状況に陥った。
しかし、たかがファッションのために鳥を殺すという残忍な行為に非難の声が上がり、オーデュボン協会や野性鳥類の保護法、国立の野生動物保護法の設立に繋がった。
保護政策がとられるようになったことで、大半の種の個体数が回復した。
               引用「鳥になるのはどんな感じ?」著:デビッド・アレン・ジブリー
 
ハート型になってラブラブ
♂♀ともに婚姻色になります。

「三前趾足(さんぜんしそく)」と「半蹼足(はんぼくそく)」
の黒い足で「直接頭かき」うう、気持ちイイ~~

子供たちもだいぶ大きくなって食欲旺盛

巣立ちするまで、親の苦労が続きます。

哺乳動物やヒトには婚姻色なるものはありませんが、もしそんなのが存在したら?

異性を意識するようなお歳頃になると、男女とも自分の容姿(服装や身だしなみ)や言動にも気を使うようになったりしますよね! 
あれって婚姻色とは言わないまでも、婚姻モードっていうのかな? それともセックスアピール?