学力テスト Vol.465-2 その解答 カンムリワシ ～ 南の島の「のんびり屋」～ その１

 カンムリワシ　～ 南の島の「のんびり屋」 ～　その１

漢字では「冠鷲」

名前の由来はもちろん、この見事な冠羽から！

冠羽を立てることは滅多にありません。

興奮したり威嚇する時に立てます。

英名でも「Crested Serpent Eagle」といい、「ヘビの好きな冠羽のあるワシ」という意味です。ハブだって食べてしまいます！

トビよりも小さくて、国内で「ワシ」と付く名前の中では最小です。翼幅が広いので大きく見えるけど、ノスリやハシブトガラスと同サイズなのです。

分類学上ではワシとタカの区別はありません。すべてタカ目タカ科に含まれます。「ワシ」と言うと、イヌワシのような黒っぽくて大きいというイメージですが、かなり大型でもトビはワシとは言いません。スカベンジャーでおとなしいトビは、昔から卑下されていてワシの仲間とは呼んでもらえなかったのです。

さっきまで降っていた雨で濡れた羽を乾かしています。

スケボーかサーフィンに乗っているよう！

カンムリワシはインドから東南アジア、台湾まで分布していて、分布地域ごとに大きさや羽毛が少しずつ異なっていて、その亜種は21種類にもなります。

台湾には「オオカンムリワシ (Spilornis cheela hoya) 」という亜種が生息、それは体長が75ｃｍ、翼開長が2ｍ近くもあります・・・このサイズならワシと呼んでも差し支えなさそうです。

国内には「Spilornis cheela 」という亜種がいます。

これは石垣島、西表島でのみで繁殖している「日本固有亜種」で、アジアに分布している中では北限となっています。ちなみに体長は55ｃｍ、翼開長は1.2ｍです。

現在でも総数は200羽ほどしかいなくて、「特別天然記念物」にも指定されています。

カンムリワシが一躍有名になったのは、例のアフロヘアーと口ひげのチャンピオン「具志堅用高」からかな？　石垣島出身の彼は13度連続して世界チャンピオンの防衛に成功した伝説のプロボクサーなのです。

1976年に世界チャンピオンになった時に「ワンヤ、カンムリワシニナイン（俺はカンムリワシになりたい）」と八重山地方の言葉で言ったのがマスコミに取り上げられ、それ以降、彼のことをカンムリワシと呼び、ホンモノのカンムリワシも有名になったのです。

♀が「腹減った～～、早く食べ物をくれ～～！！」と、しきりに大声で鳴いています。

その目線の先を見ると・・・

すぐ近くの草むらに♂がいました。

幅の狭い側溝を覗きこんだまま、じ～っとして動きません。

たぶん、カエルかカニが潜んでいるのでしょう。

エサを催促しても来てくれない♂に、業を煮やして♀が飛んで来ました。

「ちょっとアンタ～、何をモタモタしてんのさ～！この役立たず～！」腹ペコでかなりイラついているようです。

「そ。そんなこと言ったって、ここって意外と深くてこわいんだぜ～」と弁解気味の♂

タカ類が側溝を覗いているなんて光景は内地では絶対にお目にかかれません。

そっと近寄っても警戒する様子はありません。そんな猛禽らしからぬ「のんびり・おっとりした性格」が地元の人たちから愛されている大きな理由なのでしょう。

昔から人々に大切にされていたため、警戒心が弱く人を恐れることを知らないのです。

彼らの好物はカエル、カニ、ヘビ、ムカデ、昆虫などいろいろです。

これはカエルを食べているところ。

石垣島には「オオヒキガエル」という人為的に移入された、でっかいのがいるので、もしかしたら獲物はそれかもしれません。

ただし、このカエルには耳の後ろに非常に発達した耳腺（じせん）を持っていて、そこから強い毒を出すので、捕食者はほとんどいないとされていたけど、カンムリワシは幼鳥の頃から食べていて主食といってもいいくらいなんだって！

オオヒキガエルの幼体

地元のガイドのブログを見ると、他のズグロミゾゴイやムラサキサギもこのカエルを食べるとのことなので、「オオヒキガエル」君の毒は石垣島の鳥たちには、まるで通用していなくて、ご馳走に見えるのでしょう。

彼らの狩りは待ち伏せ型

電柱の上で獲物が出てくるのをジ～～ッと根気よく待ちます。飛び出しの瞬間を待つこちらもシャッターボタンに指を掛けたまま、あとは忍耐あるのみ！！　「喉が渇いた～」だの、「腹減った～」だの、「眠い～」・・・なんて、言ってるようじゃダメなのです！

あれれ？電柱で獲物を待っている間に退屈になってしまったのか、羽繕いを始めました。

「おおっ、これはいよいよ待ちに待った瞬間が来るぞ～～」とカメラを構えてから、この「直接頭かき」をしてくれるまで、延々と30分も待たされてしまいましたわい！　でも撮れてよかった～～！！　

皆さま、大変お待たせをいたしました・・・同じ車内で私の目的の仕事が終わるのを辛抱強く待っていてくれた友人にも感謝・感謝・大感謝です！！

獲物を見つけて発進！

どんどんスピードを上げていきます！

あぜ道に降り立って獲物をゲット～～！！

彼らの羽はフクロウの羽の構造と似ていて、高速で飛んでも風切音が出にくいのです。風切羽には長くて細い繊毛が密生していて、これで風切音を低減させているのです。

続きは次回で。