学力テスト Vol.442 ~ あんた誰シリーズ  その17 ~

 

リュウキュウムラサキ

今頃から10月中旬にかけて、ごくわずかですが毎年のように翔んでくる南国のチョウで、偏西風や台風などに乗ってくると言われています。
この個体は翅のどの部分も破損していなくてカンペキな状態でした。

リュウキュウムラサキは八重山諸島に行けば、沢山いて安定して見られるというわけでなく
その産地はインドからオーストラリア、さらにサモア諸島、フィジーなど、東洋熱帯から亜熱帯に広く分布していて、日本で発見されるのはそれらの南方地域からの迷チョウなのです。
そんなすごい迷チョウをこの辺りで見られるなんて、なんてラッキ~!!
生きててよかった~~!!


さてさて本題、いつものとおり次の「鳥の名前」、「足指の形」、「水かき」についての問題です。
もし、「水かき」の種類に該当しない場合は「無し」と解答して下さい。

A

B





学力テスト Vol.441 その解答-2 オオルリ ~ バックシャン・ホントは青くない!?!? ~

 オオルリ ~ バックシャン・ホントは青くない!? ~

オオルリ ♂成鳥

いつもベスト5に入る超人気の青い鳥
日本人ってホントに青い鳥が好きなんだよね~

オオルリ 巣立ちビナ 性別は不明

同上


キビタキ 巣立ちビナ

早いものは7月頃から現れ始める巣立ちビナは、住む環境も似ていてオオルリとキビタキとの見分けが厄介で苦労します。

オオルリ君 ♂   第一回冬羽
南へ旅立つ8月下旬には、すでにこんなふうに背中が青く色づいています。

♂の写真はどれも後ろ姿ばっかし!

「バックシャン」とは本来は女性に対しての褒め言葉だけど、今回だけは「後ろ姿がイケてる」オオルリ君に対する言葉として使うことにします。

「バックシャン」は「後ろ姿が美しい」という意味で、「シャン」はドイツ語の「schon(美しい)」から来ている言葉です。かつて明治から昭和初期に存在した旧制高等学校時代の学生が使っていた造語なんだそうな。

日陰のオオルリ君

この美しい瑠璃色が実は「構造色」!!
すなわち羽毛に青い色素を持っているわけではありません。羽毛の表面にある複雑な構造がこの美しい青・・・すなわち「幻の青い色」を作り出しているのです。
幻・幻想は英名でIllusion(イリュージョン)。
だからオオルリの英名は「Illusion Blue Flycatcher」というのです。・・・ウソです!!
ホントの英名は「Blue-and-white Flycatcher」というのが正解です。

だからこの写真のように日陰だと光の反射がないために、ただの白黒の小鳥に! 
決して露出を間違えて撮ってしまったわけではありませぬぞ!

おさらいーその1
「構造色」を分かりやすく言うと、CDを太陽光に当てるとキラキラと虹色に・・・これはCDのデコボコした表面で屈折した光が作り出している色なのです。ちなみにシャボン玉やモルフォチョウも構造色のなせる業です。


構造色は光の働きによって生じる色であるため、光の当たり方や強さによってちがった色に見えます。

オオルリのママも登場

子育てのためには旦那のような派手な衣装は禁物!とにかく目立ってはいけないのです。だから例え派手好きの性格でも、そこはグッとこらえてこのようなシックな衣装でなければならないのです。
この写真からクイズの解答を。 
趾(足指)に注目! 「三前趾足」で、もちろん「水かき」なんてありません。


さて、ちょっと大事なお話。
オオルリは東アジアにしか生息していませんが、基亜種「オオルリ」と亜種「チョウセンオオルリ」の2亜種いることがわかっています。

おさらいーその2
「亜種」というのは「種」の一つ下の分類上の単位で、同じ「種」の中に地域によって、大きさとか形態とか羽根の色に変化がある個体群のことです。

もっと大雑把に言うと、「同じ種の生きものだけど、ちょっと違うような感じの生きもの」・・・って、ことなのです。

「基亜種」とは同一種内に複数の亜種がある場合、最初に発見された「亜種」のことです。「基亜種が最も基本的な亜種で、それ以外の亜種はそこから分化していった」・・・という意味ではありませんので、お間違えなきように。

「チョウセンオオルリ」と思われる個体 2022.4.27撮影

同上

英名を「Zappey’s Flycatcher」と呼ぶ幻のオオルリがいます。
亜種「チョウセンオオルリ」のことです。
この写真は日本海の離島で撮ったものですが、いつものオオルリ君の「濃紺」とはまったく違う「空色」をしていました!

撮った写真にもその特徴が表れているようなので紹介することにしました。
ホンモノならかなりのレアだそうですが・・・さて、結末は?!?!

「BIRDER特集号 オオルリ・キビタキ・サンコウチョウ」に掲載されている解説文によると『亜種「チョウセンオオルリ」を独立種とするのが世界的な流れとなっている。国際鳥類学会議(ICC)のリストではこの分類を採用していると書かれていました・・・おおっ、これが独立種となった暁には乾杯せにゃならぬ~!!

以下はネットに書いてあった情報です。

亜種チョウセンオオルリは,基亜種より淡色で雄の青色は緑色光沢がある。

このチョウセンオオルリ(以下、ザッピーと略)は、繁殖地が中国東北部ということだけが分かっており、実際の越冬地が東南アジアのどの辺りなのか、どういう渡りのルートを通って朝鮮半島中国へと渡って行くのか、その生態が全く謎に包まれています。

鳥類学の世界的権威である米コーネル大学鳥類学研究所も「とにかくザッピーの情報を集めてほしい! 渡りの途中の個体を観察したら、記録して報告してほしい。」とアジア(特に中国、韓国)のバードウォッチャーに訴えています。

渡りのルートは日本のオオルリとザッピーは重なるらしいから、もしかして日本でも・・・

                            ~日本野鳥の会 東京

 















学力テスト Vol.441 その解答-1 ミユビシギ ~ 波打ち際のにぎわい ~

 ミユビシギ ~ 波打ち際のにぎわい ~

波打ち際を行ったり来たりと、よく動き回ります。
どれも夏羽から冬羽への換羽中で、北の繁殖地から戻ってきたばかり。

こちらは幼鳥

足指のクイズを出しているのに、鳥の名前が答えになっているのは少々やりにくいけど仕方ありません。他にはミツユビカモメとかミユビゲラなんてのもいますね。

前方に3本指

稀に、第一趾(後ろ指)の部分にわずかに痕跡を残すような個体もいるんだって!


残された時間がないっていうのに、とてもじゃないけどそんな稀な個体を探すなんてもったいなくてできません。

ミユビ君は主に海岸での暮らし。
多くの鳥が後ろ指を持ち、木の枝をつかみやすいようになっている「三前趾足」なのに対して、その生活の中で枝に止まることもないので、後ろ指がなくても困らないし、逆にあると走り回ったりするのに邪魔なのかな? ・・・後ろ指が退化するにはそれなりの理由がありそうだけどね。

それと、「水かき」のクイズを出したのはいいけど、その答えを見せる写真がほとんどありません。ようやく見つけたのがこれ!

「半蹼型」

上の写真を目いっぱい拡大したけど
外側と真ん中の指の間の「水かき」が見えるかな?

昔、オリンピックの水泳選手で「必死に練習したら水かきが出来てきた!」
という人がいたけど、本人が言うほどではなかったね。そりゃ水かきがあったほうがホンのちょっとでも推進力が増して、タイム向上に繋がるとは思うけど。
今回のミユビ君の水かきはそれと同等クラスといった感じで、あるかないかわかりゃせんがや~!って感じでした。
文献には「シギには水かきがある」と書いてあるので、一応はそれを信用することに・・・

ここまで書いて、「この時期なら、もしかしてもっとしっかりと水かきがしっかりと撮れるかも?」、とムクムクといつもの欲の皮が突っ張ってきてしまいました・・・というわけで書くのを中断して、よせばいいのにクソ暑い御前崎に突撃~~!!



その結果がこれで、結果としては「水かきなんて見えやしね~」を再認識!!
人生から無駄をなくすと全く味気なくなってしまうので、こんなアホみたいな無駄な時間だって有意義なのであ~る!

ついでながらクイズには出さなかったけど、頭かきは「直接型」

こんなふうに「ウッヒャ~、超気持ちいい~~」って顔をしてくれると、すっごく撮りがいがあります。

完全夏羽

今季は6月初めという、少々時期外れにこんな素晴らしい夏羽を見ることができました。
もともとミユビ君の夏羽を見るっていうチャンスは少なく、たいてい5月中旬頃までには北方へ旅立ってしまうのです。だからこんなスゴイのがたまにでも見られるから、鳥見って止められないんだよね~~