学力テスト Vol.485-2 その解答 チゴハヤブサ ~ スピード違反 ~ 

 チゴハヤブサ ~ スピード違反 ~ 

雲一つない紺碧の空です! これぞ絶好のタカ見日和り。

さらに風速は3mほどで、アサギマダラやトンボが飛び交うという申し分のないシチュエーション! こんな日に期待するのは何といってもチゴハヤブサに尽きます。

チゴハヤブサ 幼鳥

サシバやハチクマたちがゆったりと西へ流れる中、突然現れてものすごいスピードで飛び回ります。キジバトくらいの大きさで、カラス大のハヤブサよりも小さいので、その分  小回りが利きます。

彼の大好物はトンボ! ただ、狩りの瞬間はあまりにも素早くて遠いことが多いので、なかなか撮ることができません。

尾羽を広げて急ブレーキ! 

チゴハヤ君の陰になってトンボの姿が見えませんが、チゴ君が両足を前に突き出してトンボを捕まえようとしている瞬間です。

おっとどっこい!トンボもとっさに急旋回して魔の手から逃れます!

彼の名はギンヤンマ! 彼も飛翔の名手を自認しているので、そう簡単に捕まるわけにはいきません!

今回はチゴハヤ君の空振りに終わって・・・と、思いきや

その数秒後には、すぐにギンヤンマの正面へ先回り!
これぞ「先回りキャッチ」という秘技!!
10月のNHK「ダーウィンがきた チゴハヤブサ」で紹介されていた必殺技なのです。

上の写真では小さすぎて、何が何やら?と言われるだろうから、超拡大してみました。

これだけ拡大しても判りにくいけど、チゴハヤ君の指先にはギンヤンマが手中に!!
よ~く見るとチゴハヤ君の足指が「三前趾足(さんぜんしそく)」というのも判ります。

これが捕獲の瞬間!

超拡大すると、しっかりと捕らえられています。

今回の被害者はギンヤンマの♂でした。

そのしばらく後に、今度はチゴハヤの成鳥が登場しました。

その指先にはすでに獲物が!

拡大してみると、それはウバタマムシ!


地上にいるウバタマムシです。
おとなしく地上近くにいれば安住の生活ゾーンだったものを・・・

これぞ「飛んで火にいる夏の虫」!!! ウバタマ君の人生はこれで終わってしまったので笑うに笑えない話になってしまいました。

チゴハヤ君は「直接頭かき」


彼らの飛翔能力をもってすれば、小鳥なんてお茶の子さいさいで捕れるんだろうに、それには見向きもせず、何故か手強いツバメなども狙うようです。

自分の更なるスキルアップのために、敢えて難敵に挑んでいるのかな? 
こんな見事な狩りができる鳥は他にはいません。
これから越冬地の東南アジアまで渡っていきます。
また来年も戻って来てくれますように!! 





















学力テスト Vol.485-1 頭かきシリーズ その99

 

アサギマダラ
10月も中旬を過ぎるとアサギマダラがチラホラと見えるような季節に。
こんな優雅にヒラヒラと翔ぶ姿からは、とてもとても「毒蝶」とは思えません。

これから南への長~い旅をせねばなりません。

吸蜜でしっかりと栄養を蓄えなければ。


では本題!!

この鳥の ①名前 ②頭かきの種類 について答えて下さい。
頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。




学力テスト Vol.484-2 その解答 オオアジサシ ~ 椅子取りゲーム ~ 

 オオアジサシ ~ 椅子取りゲーム ~ 

オオアジサシ 成鳥

オオアジサシはここ20年ほど安定して渥美半島で観察できます。それまでは、まず見ることができない珍鳥!!・・・だったのに。
7月頃になると姿を現し始めますが、ピーク時には何と何と200羽越えという大所帯!!

オオアジサシ 幼鳥2羽

三河湾のどこかの島で繁殖しているのでは?・・と言う人もいますが、まったく根拠のない話です。
多分、小笠原諸島や尖閣諸島などで繁殖したと考えるのが妥当でしょう。それにしても何故わざわざこの場所に立ち寄るのかな? 
ここ三河湾は魚介類の宝庫! 特にシャコやアナゴ、クルマエビ、タコなどが有名ですが、オオアジサシもこれらの味を知っていてわざわざ来るのかな?

昨日覗いてみたら、すでに南へ渡ってしまったのか、もぬけの殻でした。
今回はその生活の一旦をご紹介することにしましょう。

オオアジサシ 夏羽

オオアジサシの特徴は何といってもその見事なヘアスタイル。黒々としたふさふさのりっぱな冠羽が自慢です。

成鳥2羽 冬羽に換羽中
冬羽になると、その前頭部がゴマ塩風に変化していきます。

こんな感じで前頭部がゴマ塩模様に変化するのです。
ちなみに、彼らは「直接頭かき」です。

横から見ると頭頂部はこんな感じ。

水面上の魚をすくい取ろうとするオオアジサシ

彼らはコアジサシのような上空から真っ逆さまに落ちるようなダイビングはしません。「だって、そんなことしたら大事な御髪(おぐし)が濡れて、ベタ~っとしてカッコ悪くなっちゃうじゃん!」・・なんちゃって。


魚捕りは沖合ですることが多いようです。この近くで捕るシーンがほとんど見られないのです。だから私はコアジサシのようなダイビングを見たことがなく、実はどのような魚捕りをするのかよく知らないのです。

さて、ここには干潮時には波打ち際から70mほどの所に杭が50本ほどあり、満潮でも水没することはありません。そこへ多い時には30羽以上のオオアジサシが訪れ、ウミネコやカワウと休息場所である杭の取りっこをするのです。

幼鳥が飛んで来て、先客を追い出しにかかります。

「どけどけ~、ここはオイラの場所だ~!!」

そのしつこさに、たまらず退散。

自分よりも体の大きいウミネコにも向かっていきます。

とうとうウミネコを追い出してしまいました!

水かき

この写真でオオアジサシが「三前趾足(さんぜんしそく)」で、水かきが「欠蹼足(けつぼくそく)」ということが判ります。

杭での様子を見ていた母親(手前)から呼び出しが・・・

母親からお説教をくらっています。

母:「おんどりゃ~っ! お前ね~、何度言ったら判るんだい?! よそ様の子をいじめちゃいけないって、あれほど言ってるのに~・・・ましてや、お前より体の大きいウミネコのオジサンにまで意地悪するなんて、どういう了見をしてんだい! このバカ息子が!」
母:「ん?あそこにもウミネコを追い出してるオバカがいるじゃん! 頼むからあんな風にはならないようにしとくれねっ!まったく!!親の顔が見たいもんだ!!
息子:「あれれ?あれってカアチャンのダンナじゃねえの? “ 子どもは親の背中を見て育つ って言うよね~ ヘヘヘ・・・」
母:「ゲゲゲ~~!!」
息子:「でもトウチャンってさ、こないだ あのカモメに捕ってきた魚を横取りされたんで怒ってるんだぜ!だからちょっとばかり復讐してんのさ! トウチャンってすっごくカッコイイんだぜ~!」
母:「そうかい、そうかい、そうだったのかい。さすがは私の惚れ込んだ亭主じゃん!!」

オオアジサシ 幼鳥

このようにして、幼鳥たちもいろいろ勉強しながら育っていくのです。
これからのフィリピンなど東南アジアへの長旅に備えて、アナゴだのシロギスだの三河湾の海産物でたっぷりと栄養をつけ、また来年もここに戻って来ておくれ~~!!




 























学力テスト Vol.484-1 頭かきシリーズ その98


 

コノシメトンボ ♂
今頃になると見られるようになります。

ナツアカネのような目の覚めるような真っ赤な色に、翅の先の黒斑がアクセントになって、とってもお洒落な感じ。


♀にも同じように斑があって、これを「熨斗目(のしめ)斑」と呼びます。


参考:文化遺産オンライン

ノシメを漢字で書くと「熨斗目(のしめ)で、江戸時代に流行した着物の模様です。
時代劇を見ていると、城内で老中など上級武士たちが、よくこんなデザインの着物を着て出てくるけど気付いてた?

腰のあたりや袖の先に太い横のラインを配置した大胆なデザインで、それがコノシメトンボの翅の先のこげ茶色の斑紋と似ていることからこんな名前が付いたそうな。
なかなか洒落た命名ですよね!


さて本題!!

この鳥の ①名前 ②頭かきの種類 さらに③足指の形 ④水かきの種類 の4問について答えて下さい。
頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。

足指の形


水かきの種類

上記2枚のイラスト資料「鳥のフィールドサイン 観察ガイド」箕輪義隆







学力テスト Vol.483-2 その解答 ヤマガラ ~ ごちそうを独り占め ~

 ヤマガラ ~ ごちそうを独り占め ~

鳥仲間でない人と話をしていると、ごくごくたまにですが「鳥が嫌い~!」と言う人がいます。理由を聞くと「あの恐竜やトカゲみたいな、うろこ模様の足が気持ち悪~い!」と言います。そりゃそうですってば! だって鳥の祖先は恐竜なのですから!!

そこで今回は、少々この「鳥の足」についてのお話を。

ヤマガラ

まずは早速ですが解答を。ヤマガラ君の指は三前趾足(さんぜんしそく)といって、前に3本、後ろに1本となっています。水かきは生活には関係ないので、ありません。

鳥の足指は4本が基本形です。鳥の祖先である恐竜は5本指でした。しかし進化の過程の中で不要になって、足指が退化して4本になりました。

枝に止まる、歩く、捕食する・・・などに最も適した4本が「基本形」に進化したと言われているのです。



ヤマガラ君の指の裏にはこんなふうに、けっこう弾力のありそうな肉が付いています。
これで木の枝に密着しやすくなっているのです。


さらに、後趾(こうし)すなわち後ろ指はかなり長くて、爪もこのように思い切り湾曲しています。これによって、樹上で枝をしっかり摑まえることができ、幹の樹皮などにもひっかけやすくできています。

スズメ
片や、スズメ君も三前趾足ですが、後趾は指も短く爪もそんなに曲がっていません。これは地面でエサを食べたり、穂にとまることが多いので、この方が便利なのです。

このように骨格の基本は同じでも、彼らの生活様式に合わせて微妙に違っているのです。

忘れないうちに頭かきの解答を。今回はいつもとちがう角度からの撮影。
ご覧のように、羽の内側から足をくぐらせる「間接法(または翼越し法)」です。

エゴノキ

これはヤマガラ君の大好物! 別名「ヤマガラの木」とも呼ばれているそうな。
我が家のエゴノキにも毎日数回、ヤマガラ君が来ますが、今朝は2羽で来てくれました。


食べ方のパターンは2通りあって、1つは写真のように果柄(かへい:実をぶらさげている茎のような部分)を千切って、すぐさま咥えたまま飛び去る個体・・・そんなに急いで、もしかして好きな子にプレゼントするのかな?! もしかして今朝、連れてきたのはエゴの実をプレゼントした彼女かな?!


※花や実を吊るしている茎のような部分は、花が咲いている時は「花柄」、
それが実に変化した時は「果柄」と書き、どちらも「かへい」と読むんだそうな。


2つ目のパターンは、エゴノキの枝の中で果肉をちぎるもの。
この果肉はかなり硬いので、指先でしっかりと握りしめてから、このように背伸びをして上から「トリャ~~」とばかりに全体重をかけて突つきにいきます。

それでも2分ほどすると・・・

出た~、このこげ茶の実がお目当ての品!

この中味を出すと、ほとんどの場合は飛び出してどこかへ運んで行きます。
もしかしたら、冬に備えてどこかに貯食しているのかもしれません。


さてさて、今回はどのくらいの硬さなのかを、我が家のエゴノキの実で実験してみました。
「ありゃりゃ~、アンタってよっぽどヒマで、時間つぶしに苦労してるんだね~」なんて言ってはいけません。これだけヤマガラ君が執着している食べ物がどんな味のか知りたくなるのは、鳥屋としては当然のことで「ただ純粋に、ひたすら探求心あるのみ!」です。

手前のこげ茶色のものが芯に入っている実で、大きさは7mm程度。

この実は果肉よりもさらに固いのです!ラジオペンチでようやく割れました。
おっと、撮影中にアリ君が遊びに。

この薄茶色のヤツが、実を割ったら出てきたもので、これこそがお目当ての品!!
アリ君もこれには興味を示したようです。もちろん、私も試食してみましたぞっ!!

どんな味かって?・・・意外と軟らかいのですが、味も素っ気もないただのナッツでした! いろいろ調べてみても、ヒトの食料には向かないとされていました。

ただ、その果肉に含む有毒成分であるサポニンを使って魚類を獲ったり、水に溶けると石けんのように泡が立つので、昔は「シャボンの実」と呼んで洗剤に使ったりしていたようです。

でも、きっと彼らヤマガラ君たちにとってはカロリーが一杯ある魅力的な食べ物なのでしょう! この部位にはサポニンは含まれていないので全然問題なし!!
ヤマガラ君にとっては、このエゴノキのナッツは冬越しのための大事な保存食糧なのです。

なかには持ち帰らずに、このナッツまでを出したヤマガラ君がいました。
きっと、すぐにでも食べたかったんだろうね。


今年はエゴノキが大豊作なので好きなだけ食べとくれ~~