学力テスト Vol.467-2 その解答 アカアシチョウゲンボウ ~ 恐怖のアサシン ~

アカアシチョウゲンボウ ~ 恐怖のアサシン ~

5/10に浜松市内で、県内初記録のハイイロガンが出た!!という大ニュースが出たばかりで興奮も冷めやらぬ内だというのに、今度はアカアシチョウゲンボウという、これも超とんでもないのが出たのです! しかも、自宅からそこまで70㎞という楽勝の圏内!!

それは、と或る日の週末のこと。孫の運動会という事で、写真班に狩りだされて隣県へ。
無事に終了してホッとして、くつろいでいるところに緊急の電話!
「もっのすげ~ぞ~、近くて撮れちゃう~~!、早く早く~~!!」
ぎょえ~~、そんなこと言われたって、今すぐに、ここから一旦 家まで帰って同居人を降ろしてから、そちらへ向かったとしても18時になっちまう~~!! 
グギギギギ~ どう考えても今日はあきらめざるを得ません。そしてその後は大雨に! まんじりともせずに小雨が降る翌朝を迎えました。



アカアシチョウゲンボウは、たまに情報がありますが、それはいつも秋のこと。
「ええっどうして今頃? しかも♂? ホントけ?!?!」ビックリもいいところです!!

図鑑で見ると、このように電線に止まっている写真が多く載っています。彼らはこのように見晴らしのいい場所から獲物を探して舞い降りる習性があるのです。

例によって、夜明け時間に現地に到着すると、すでに5~6人がいましたが、駐車場でヒマそうにぶらぶらと・・・。
聞くと、まだ小雨が降っているせいか、出ていないとのこと。「ゲゲ~、もしや、抜けちまったか!またしてもニアミスかい~~!」一瞬というよりも、かなりの不安がよぎります。


それから2時間余りしてからのこと、ようやく姿を見せてくれましたが雨でびしょぬれ状態で、何ともみすぼらしい姿! 夕べの大雨をどこの軒下で雨宿りしていたのかな?
「うわわ~~、で、で、出た~~、とりあえず出てくれたら何でもええがや~」

それでも羽を広げたりして徐々に乾いてくると、だんだんと凛々しい姿に変身~!!

背中や尾羽中央に成鳥らしき兆しが見えて
どうやら「♂の第一回夏羽に移行中」とのことです。

学名を「Falco amurensis 」といい、意味は「アムールのハヤブサ」。
英名も「Amur Falcon」といいます。

「アムール」というのはロシアと中国の国境にあるアムール川という大河のことで、この鳥の生息域であるロシア南東部、中国北部の地域のことも表していて、いろいろな鳥が繁殖している所なのです。
他には朝鮮半島やモンゴルなどでも繁殖し、秋には何と何とアフリカ南部へと渡っていきます。・・・ということで日本とは渡りのルート上では関わりのない鳥。だからこそ迷鳥なんだけどね。とにもかくにも、よくぞこの地へ舞い降りてくれました!感謝・感謝です!!

日本で馴染みのある鳥たちの渡りルート、例えばシギチ類では「東アジア・オーストラリア フライウェイ」すなわち「ユーラシア大陸東部で繁殖~日本~オセアニアを結ぶルート」が有名ですが、アカアシ君は東アジアと遥か彼方のアフリカ南部を結ぶルートなのです。

秋の渡りでは一旦、インドで大集結し、インドからアフリカへ渡ります。
近年になってアカアシ君がアラビア海を渡っているということが知られるようになり、「猛禽類の中では最長距離の海上の渡りをする種類として有名なのだそうな!

※通常はサシバなどのように、海を渡るにしても島伝いに通過する・・・要するに、できるだけ海上を長く渡るリスクを避けるルートを選ぶのが一般的なのです。

今回の餌場は昆虫が多いのか、頻繁に飛び出してくれます。

飛び立てば百発百中で虫を捕えています。
まさに虫たちにとっては「恐怖のアサシン」なのです!
※アサシンとは暗殺者とか刺客・殺し屋のことです。

待ち伏せのポイントは枯れ木とは限りません。樹上からでも。

獲物を見っけ~~!! シュワッチ~~ 

捕まったバッタを拡大してみると、脚にトゲが見えます。

後ろ脚にトゲのあるバッタといえば、多分この「ヤブキリ」でしょう。

他には「ツチイナゴ」も捕えられていました。
越冬地のアフリカ南部にいる時もバッタ類が大好物なんだとか。

当然ながら「直接頭かき」もしっかりと撮れました!

えっ、こんなピンボケじゃよく判らんからダメだって? そんなこと言われても、これを撮るのにも右手の指が引きつるまで頑張ったんだけどな~!

それなら、これだったら文句あんめ~!

はるばる遠路からこの鳥を訪ねてくる県外の鳥屋たちも大挙して押し寄せていて「経済効果は超抜群」のアカアシ君なのです!

ただ、鳥屋の場合には「無駄なお金は一切使わない!ガソリン代も1円単位でケチる! 金を使うのは撮影器材のみ!」という考えが徹底している人が多いので、今回も もしかしたら「名物のオオアサリ」を食べてくれた人がホンの少数くらいは、いるかも?程度の経済効果なのかもしれませんが・・・。



秋までには仲間が集結しているインドまで行っておくれ~!


P.S. ものすごくショッキングな記事を見つけました。!!!!!!
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7118/
「インドでチョウゲンボウの大規模密漁」






















学力テスト Vol.467-1 頭かきシリーズ その84

ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ ・モナコ

我が家の玄関先で毎年楽しませてくれるお気に入りのバラです。
白地に赤色の覆輪が入り、花ごとに覆輪の入り方が違ったグラデーションとなるところが見事です。
グレース公妃の夫君であるレニエ三世大公の即位50周年記念に捧げられたバラです。
赤と白はモナコ公国の国旗の色で、それをイメージしているとのこと。2000年にフランスで作出された銘花で、多くの受賞をしています。
アメリカでの名前は「チェリー・パフェ」。このほうが似合いそうで、覚えやすい名前です。

例年なら2~3輪ずつポツポツと咲き続けるのに、今年は一気にドバ~ッと!!


さて本題。5/25に撮れたばかりの撮れたてホッカホカの写真です!
この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。



学力テスト Vol.466-2 その解答 ハイイロガン ~ 威風堂々 ~

 ハイイロガン ~ 威風堂々 ~

ハイイロガン君が浜松に初登場! もちろん、静岡県内でも初記録です!!!


今年は冬鳥もイマイチ、楽しみにしていた春のシギチもイマイチ・・・と、ストレスが溜まりまくっていた、と或る日の夜「あの~、これって、もしかしてハイイロガンですか?」と、とんでもない写真が送られてきました!!  
「うわわ~~、ハ、ハイイロガンじゃ~~ ホンモノじゃ~、ど、どこじゃどこじゃ~!!」
「へへへ・・・浜松なんだけど・・・」聞いてみると、何と我が家から15kmの超々近距離ではありませぬか!!
「15時頃に見つけたんだけど、まだいるかも?」
「ラ・ラジャー~ 夜明けに行ってみま~す、いたら連絡しますよって!」

まんじりともせずに浅い眠りにつき、翌朝は小雨がパラパラと降るあいにくの天気だったけど、そんなことは言ってられません。そのどんよりとした薄暗い夜明け頃に現地に到着。


「どうか、いてくれますように~ 神さま・仏さま・大黒さま~」との切なる願いが通じたのか・・・い・い・いた~~!! ホントにいたがや~~!!

ガン類は警戒心が非常に強い鳥です。メッカである伊豆沼などでも車で近づけるのはせいぜい70~100m。
それが薄暗くて見つけるのが遅かったとはいえ、30m先のあぜ道にいてくれているではありませんか!!
「うわわ~、こりゃ近づきすぎじゃ~」これじゃ飛んでしまいます!「近づきすぎて、まずい!ホントにまずいぞ~」思わず、車内なのに身を潜め、息を止めてしまいました。

運よく他には誰もいません。震える手でまずは証拠写真をパチリ!! ホッとして、これでとりあえずちょっとだけ平常心に。
彼は大物の性格なのか、たまたまなのか、いずれにせよ、こちらをあまり気にしない様子で威風堂々としていました。

ハイイロガン
1986年撮影のお宝映像です。

ハイイロガンは、お隣の愛知県で見たことがありますが、そんなのは遥か彼方の1986年のことで、もしそれ以来だったらあれから39年の歳月が・・・。

では、ここでハイイロガンとは何ぞや?から、ひも解いてみましょう。



ハイイロガンはユーラシア大陸に広く分布していて、2亜種に分かれています。
日本では馴染みがなく、ごく稀に観察されるのは学名が「Anser anser rubrirostris」という亜種で、英名ではEastern greylag goose」と呼ばれています。言わば「東方型のハイイロガンです。


片や、ヨーロッパで普通に見られるのは、学名が「
Anser anser anser」という亜種で、英名は「Western greylag goose」、和名を「キバシハイイロガン」と言います。こちらが西方型。

ヨーロッパでは、この「キバシハイイロガン」と人の関わりは深く、古代エジプトまで逆のぼります。ここまで書けば、察しのいい人はわかると思いますが「ガチョウ」という家禽が作られたのです。

ガチョウ 
「越中富山いろいろ紹介」より借用しました。

現在、飼養されているガチョウというのには大きく2系統あって、そのうちの1つである「ヨーロッパ系種では、フランスのツールーズ地方で品種改良が重ねられた「ツールーズ種」と、オランダ、ドイツで品種改良が重ねられたエムデン種」の2種に大別され、どちらもハイイロガンが原種です。

ちなみに「ニルスのふしぎな旅」という物語に出てくるガチョウのモルテンというのはエムデン種という白いガチョウなのです。

シナガチョウ

東洋でもガンを原種とする「中国系種
があり、こちらは「シナガチョウ」と呼ばれています。動物園などで見かけたことがあることでしょう。これはサカツラガンを品種改良したものです。

ガン類を見ていていつも気になるのは、あの首のタテジワ模様。
何故あんなタテジワ模様があるのか不思議でなりません。



「ガン・鳥・首のしわ」・などで検索すると「七面鳥ネック」とか「ターキーネック」といったのが出てきて、女性たちがものすご~く気にする美容の話に繋がっていきます。

いつまでも美しくありたい、首のシワは取りたいという願望は理解できますが、男から見たら年相応のシワはあって当たり前なので全然気になりません!そんなんでアナタの魅力が落ちるなんてことは全くないぜよ~ かえってツルツルの方が異和感があって気持ち悪いのです。そんなのは草笛光子や大地真央に任せとけばいいのです。

そんなふうに言えば「そんな話は美容に興味のない男どもの感想で、シワはないのがいいに決まっとるわい! 何をねぼけたことを言っとるんじゃ~」と、手裏剣が飛んで来ます。
だから「シワは長く生きてきた勲章と思いましょうね~」という説得力は何の効果もありません。男女で美容の話をすれば喧嘩になるだけ!

あれ?ガン類の話をしているのに変な方向へ!

「直接頭かき」でカイカイ・・・気持ちよか~

「んん? 誰かの視線を強烈に感じたぞ~!」
「ごめ~ん、その視線ってボクで~す!」
頭かきをしっかりと撮らせていただきました!

ハイイロガンは草が主食です。


「鳥は軽量化のために歯がない」というのは周知の事実で常識となっています・・・が、ハイイロガンのくちばしには細かいのこぎり状の歯のようなものが付いていて、草を千切りやすいようになっています。

このウミアイサの歯のようなものと、よく似ています。

ウミアイサの場合は、そのトゲトゲが内側に斜めに生えていて牙のようになっており、咥えた魚を絶対に逃さないように進化しているのです。

羽伸ばしでストレッチしたらスタンバイOK!!


シュワッチ~~

食事が終わると隣の川の中州へ飛んで、お昼寝タイム。


国内では2番目に大きいガンなので、飛翔の迫力は満点。




鳥は太陽や星の位置、または地磁気を使って渡りをします。

彼らはそのような体内時計を使って方角を決めることができるのです。

たまたま、今回の個体はそれらの機能が誤作動して、ここに迷い込んできてしまったのでしょう。早く皆のところにお帰り~~!!





























学力テスト Vol.466-1 頭かきシリーズ その83

◆初夏その1 ギンヤンマ

今日は26度という気温で、6月中旬の気候! 暑いわけだわい!!


鳥を見ながら田んぼを眺めていると「ギンヤンマ」が翔んでいました! ギンヤンマは子供の頃は高根の花!夏休みによくタモをもって追いかけまわしていたのを思い出します。

 ◆初夏その2 クレマチス
私の大好きな花・・・クレマチスとは、ギリシャ語で「ツル」や「巻きひげ」を意味する「klema」からきている名前で「つる植物の女王」と言われています。
元々は日本の「風車」や、中国の「鉄線」という原種が、西洋に渡って品種改良が進んだ園芸種なのです。

「ワルシャワ・ニケ」
私のお気に入りのひとつで、我が家では今が満開です!!

クレマチスはヨーロッパで盛んな花で、この品種はポーランドで1988作出にされたものです。ポーランドの首都は「ワルシャワ」。「ニケ」とはギリシャ神話の勝利の女神に由来しています。ベルベット調の深い赤紫が咲く度にいつも胸がときめきます。


さてさて、本題。この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。




学力テスト Vol.465-3 その解答 カンムリワシ ~ 南の島の「のんびり屋」~ その2

 カンムリワシ ~ 南の島の「のんびり屋」~ その2

この白くてカッコイイのが幼鳥

カンムリワシの産卵は1個のみ!! 

その1羽だけのヒナは生まれてから巣立ちまで約70日、そして独り立ちできるまでは、さらに3ヵ月掛かるのです。その間は両親の愛情をたっぷりともらって育ちます。
成鳥となるには3~4年ほど掛かります。

見た目は猛禽らしく、カッコよくて精悍な面構え

だけど、性格は親譲りの「おっとり・のんびり屋」

うわわ~っ、カンムリを立てた~!!

隣の田んぼに行くのに、飛ばずに道路をトコトコと歩いていきます。

おいおい、それじゃまるでキジ?
いやいや白いからニワトリじゃん!

獲物を見つけてシュワッチ~~と発進!

親ほど長くは飛べないけど、100mくらいなら大丈夫!

ちょっとヨタヨタと地上すれすれに、危なっかしく飛んでます。

ここらでカエルがいたような・・・

あれれ? いないぞ~

「ピィー、ピィー」と、甘えたような甲高い声で親を呼んでいます。
「か~ちゃ~ん、腹へったよ~!!」エサがうまく獲れなくてヘルプしてるのかな?

余談ですが「あやぱに」と言うのを聞いたことがありますか? 八重山の方言ですが漢字では「綾羽」と書き、美しい羽という意味で、カンムリワシの羽や幼鳥のことも指すようです。

そう言えば、探鳥の途中で昼食を食べた「石垣やいま村」も「あやぱに」という名前の会社の運営だし、探鳥地のすぐそばにも「石垣あやばにボウル」というのがあったっけ!

先日のTVで、石垣島の休耕田にオタマジャクシを入れているボランティアの皆さんの話をしていました。カンムリワシのためにエサとなるカエルを増やそうという考えです。

カンムリワシは狩りの下手なワシです。彼らほど、のんびりと獲物を獲る鳥はいません。


電柱などに止まっているのは、草が茂っていない道路際では獲物となるトカゲやカニが見つけやすいからです。
だけどそこは危険な場所でもあるのです。道路での事故は毎年10件以上!!!
ただでさえ生息数が少ないので、これはものすごく深刻な問題なのです。

自然が破壊されていくということは彼らの将来に深刻な影響を及ぼします。今後、南国の自然の中でどうしたら生き延びていけるのでしょうか?

P.S.
国内でカンムリワシの繁殖場所を初めて見つけたのは1981年、プロ写真家の宮崎学さんです。それまでは八重山地方に生息しているのは台湾で繁殖して渡って来るのだろうと思われていたのです。

その発見に至るまでのことは下記の本に詳しく書かれています。足かけ15年かけて国内の猛禽類の16種すべてを撮影した記録です。
各地の図書館にもあるだろうから、ぜひ読んでみて下さい。