学力テスト Vol.507-3 ヒヨドリ ~ 命を懸けた渡り ~ 

 ヒヨドリ ~ 命を懸けた渡り ~

皆さんはヒヨドリが渡る・・・って知っていましたか?

「え~っ、ヒヨドリって一年中 身近かにいるじゃん!」いえいえ、ずっと同じ場所にいる留鳥の個体もいれば、渡りをする個体もいるのです。正確に言えば夏鳥や冬鳥のような長距離の渡りではなく「漂鳥」という扱いなのです。

「漂鳥」というのは国内の中で、季節によって移動する鳥という意味です。ヒヨドリは「留鳥」と「漂鳥」の両方の性質を持っています。

例えば、北日本や山地で繁殖した個体は、秋になるとエサが豊富な暖地に移動してきます。

環境省の標識調査(カスミ網で捕獲して足環をつける調査)では、ヒヨドリの移動の最長記録は 820㎞ というのが確認されているそうなので、数百キロの移動もあり得ます。彼らが紀伊半島に渡ってからどこまで行くのかはよく分かっていません。その近隣で冬越しするのもいれば、九州、いやそれ以上の南西諸島まで足を延ばす個体もいるのかもしれません。

今回は伊良湖岬でヒヨドリの渡りを観察してきました。いつも写真では見ていたので「ふ~ん、そんなもんか!」と、興味をそそられずに一度も見に行くことはありませんでした。

今回は「明日は絶対に大爆発の渡りが見られるから、絶対に行くべし!」と言われたので、ようやく出掛けることになった次第だったけど・・・「見ると聞くとは大違い」とはこのこと! 目からうろこでした!! 教えてくれてあ・り・が・と!!

7時に伊良湖岬の灯台に到着。ここから伊良湖水道を横切って対岸の鳥羽市や紀伊半島を目指して渡るヒヨドリの群れを観察します。その距離は20㎞。

ヒヨの飛行速度は40~50㎞/h。対岸の鳥羽市までは約20㎞なので約20~30分掛かります。前日は強風だったために飛ばなかったようです。これが今回の大爆発の大きな要因。

さて、伊良湖岬の先端に集結したヒヨドリは、渡る前に一大決心をしなければなりません。

何故かというと、ここには恐ろしい天敵が手ぐすねを引いて待ち構えているのです。

それがハヤブサで、この日は成鳥と幼鳥が合わせて3羽いました。

ハヤブサにとっては願ってもない大チャンス!目の前をごちそうがワンサカと通るのです。

7時前になると、ヒヨドリたちがソワソワと動きだしました。灯台裏の林の稜線を左右に飛び回って海に行こうかどうしようかと悩んでいます。ハヤブサの動きを気にしているのです。ハヤブサは知らん顔でどこかの止まり木でジッとしたまま。それでもヒヨたちは出発しなければなりません。

すでに灯台裏ての林の上空ではやかましく鳴きながら右往左往しています。
「たかだか20㎞なんだから、めいめい勝手に行けばいいじゃん!」と思ってはいけません。

「おおっ!!」ザザザ~っと第1陣が飛び出しました。その数およそ500~700羽!

沖へ向かってあわただしく飛んで行きます。

すでに沖合200mほど行ったかな?

一団が一斉に海水面に向かって急降下!。

先頭に引っ張られるように、どれもが水面に落ちるように。

水面までは1mもありません。



沖合200m! このタイミングを見計らっていたハヤブサが、ヒヨドリに向かってスクランブル! ぐんぐん距離を縮めます! 陸上から200~300mも離れているので、ヒヨたちは隠れる場所が全くありません。

ヒヨドリたちは水面すれすれで沖へ進んでいます。

時にはこんなふうに団子状態にも!

海上でのヒヨたちはもう絶対絶命の大ピンチ!
しかも、ここには何と3羽ものハヤブサが待ち構えているのです。


ハヤブサは上空から急降下しますが、陸地での狩りと違って、ヒヨたちのすぐ下には海面が待ち構えています。これはハヤブサにとっても、かなりの恐怖!!
ミサゴと違って水面に全身が突っ込んでしまったら、すぐに飛び立てるような羽に防水機能も能力もありません。だから斜めから、自分自身が水面に突っ込まない角度で群れに突っ込むしかないのです。これもかなり高度の技!

ハヤブサの陸地での基本的な狩りの方法は、猛烈なスピードのまま強烈な「キックまたは体当たり」をくらわせ、空中で気絶させたり、地上にたたき落としてから回収するという戦法です。

 ① 水面をすれすれに飛ぶこと ② 密集した集団でハヤブサの目を撹乱する・・・という2ツの点こそ、ヒヨ君たちがハヤブサの恐怖から逃れる方法なんだろうね!


まだ対岸までは遥か彼方なので、ヒヨたちも上空からの恐怖におびえて、辛抱しきれずに陸地に戻ってきてしまいました。これもよくあることなのです。

その帰ってくるヒヨたちをハヤブサが後ろから追いかけてきます。

追いかけてきたのはハヤブサの幼鳥でした。
沖では何回もトライしたのに成功していなかったようです。


その直後、このように私の目の前に戻ってきたけど、獲物は捕まえていません。


「あ~あっ、またしても失敗しちゃったい!ボクって水が苦手なビビりマンなんだよね~」と、くやしそうです。

片や、成鳥は出撃すると、かなりの確率でヒヨをゲットしてきます。
やはり経験の差が大きくものをいうようです。


この成鳥はまだ口元に食べたヒヨドリの羽毛が付いているのに、また出撃していきました。
ハヤブサには貯食するという性質もあるので、捕れる時にできるだけ捕ってしまおうという魂胆なのかな?

この日渡ったヒヨ君たちは、およそ数千羽?!?! 
弱風の日はこんな光景が何日も続きます。

ヒヨたちもそんなとてつもないリスクを追わなくたって、静岡県や愛知県だったら食べ物はいくらでもあるだろうに! 太古からの伝統で、体が勝手に動いてしまうのかね。

◆YOU TUBEでは動画を見ることができます。 「ヒヨドリ圧巻の渡り・ハヤブサとの攻防」をご覧下さい。「百聞は一見にしかず」です!






































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