コアジサシ その1 ~ 恋の駆け引き ~
コアジサシは早いものは4月中旬頃に、はるばるオーストラリアやニュージーランドまたはパプアニューギニア方面などから渡ってきます。
このルートは環境省や外国の足環標識調査などによって明らかになっています。
そして5月中旬頃になるとコロニーを作って繁殖活動を開始します。
そこではいろいろな恋愛模様が展開されており、見ていて飽きることがありません。今回はそんなコアジサシたちの恋愛活動を垣間見ることに。
おっとその前に、忘れないうちにクイズの解答を。
コアジサシは「三前趾足」で、前に3本と後ろに1本の指があります。
ついでですが、当然ながら「直接頭かき」
まずコアジサシの♂がとる行動は♀に気に入ってもらえるように小魚をプレゼント。これを「求愛給餌」と呼びます。
これと思った♀の気を引くように、獲ってきた魚を見せびらかします。
左の♀がこのように受け取ってくれたらOK
左の♂は顔を上げて、やった~と満足げな表情
このあと交尾をさせてもらえれば成功です。
これが一般的な求愛給餌のルーティーンですが、実は物事はそう単純ではありません。たとえ♀が魚を受け取ってくれたとしても、それが本心とは限らないのです!
ここでコアジサシ君たちの様子をじっくり観察した結果をご覧に入れましょう。
1.純情タイプ
群れから離れたところにいた1羽の内気そうな♀に、田舎育ちの口下手な♂が意を決して近づいていきました。「お、おいらと付き合ってもらえねえだべか? だ、だめけ?」
内気な彼女は、ものすご~く恥ずかしそうでしたが「お、おらでええのけ? お、おらでえがったら、ええども ウフフ」と、魚を受け取ってくれました。めでたしめでたし!
2.もらったらこっちのもん
「へい、かのじょ~ 新鮮なのを獲ってきたぜい!」
♂「まだピチピチしてっからうめえぞ~」
♀ 心の声(うわっ、暑っ苦しいのが来た~~!!)
♀「う~ん、今あまりお腹すいてないんだけど・・・」
♀「でも、せっかく私のために獲ってきてくれたんだもんね~」
(心の声)わたしゃ、青魚より白味魚の方が好きなんだけどな~
♀(心の声)ホントはメッチャ腹がすいてたんだけど、コイツってあたいの好みじゃないんだよね~ まあ、いっか!食べちゃったらあとは適当にあしらっとこっと・・・
3.完全拒絶
「ねえねえ、これもらってくんない?」
「フン、あんたなんてキライ!そばへ来ないで~」
「・・・」茫然と見送る♂でした。
4.おっかないのに見つかった!
♀が相手を気に入ってくれた時には「伏せ」の姿勢を取ります。
そこへ右からノッシノッシと歩いてきた♀を見て、♂が何やら慌て始めた様子
「ちょっとアンタ! ここで何やってんのさ~!」
「お、おれのこと? い、今 この子の悩み事を聞いてんだけど・・・」
「へ~、悩み事の相談に魚なんて持ってくるんだ~ なかなか面白いことしてんじゃん!! ケッ!」
「だってよ~、おめえにゃあこんなまずそうな小魚なんて腹の足しになんないし、失礼じゃん!」
「あたいはそんなに大飯ぐらいかいっ!!このバカが~!」
「だからよ~、このちっちゃくてひ弱そうな子に栄養のあるもんを食べさせようと思ってよ・・・へへへ」もう、しどろもどろで支離滅裂です!
このあと血を見たかって? それは皆さんの想像に任せましょう。
5.食べるのが生きがい型
「ダーリ~~ン、まだ~ 腹減って死にそうだよ~~! 早く、早く~~!!」
「おう、ベイビ~ すぐ行くぞ~ でっかいイワシが獲れたぞ~!」
砂浜で恥ずかしいくらいに騒ぎ立てているのは、彼の可愛い可愛いガールフレンド!!
ただ、大食漢のため、いつもいつも大騒ぎするのが玉にキズ! でも彼女の為なら、例え火の中 水の中・・・と大忙しなのです。
それにしてもこの彼女は発育が良すぎるようです!!
6.ばれちゃった!
あれれっ?こちらの♀はチャラオっぽいのが気に入ったようです。好みはそれぞれ異なるようです。そこへ左から飛んできたのは・・・
ごめんなさい~~!! もうしませ~ん!
留守の間を狙っちゃいけません! メスはとぼけて知らんぷり!
7.ああ無常
せっかく新鮮な魚を獲ってきたのに、誰も彼のことを振り向いてくれません!
ただオロオロするばかりで見ていて気の毒になります。
上記の1~7はホンの一例です。
♂が一生懸命に魚をプレゼントしても知らん顔されたり、「おおっ受け取ってくれた~、やった~!」と安心はできませぬ! たとえ♀が魚を受け取ってもそれが愛を受け入れたとは限らないのです。そんなスンナリと物語が運ぶ事例は稀!! ぬか喜びは地獄への入り口!閻魔大王がおいでおいでと手招きしています。
顔ではニコッと笑って「あら~、ピチピチしておいしそ、素敵~!」と言っていても、腹の中では「フン、こんな小魚で私を釣ろうなんて百年早いわっ!だけど、ちょっとお腹がすいてるから、もらっとくか」と思っているのかもしれません。
他の♂がもっと活きのいいりっぱな魚を持ってくれば、前の♂のことなんてコロッと忘れて、その魚を受け取ることは大ありなのです。
という訳で、♂を決めるのは♀の気まぐれな選択権にかかっているのです!!
ただし、♀は丈夫な子供を産むため、子孫繁栄のための行動なのであって、決してその場の感情で♂を選んでいるわけではありません。
この♂は健康か?子育てはしっかり手伝いそうか? 「高学歴、高身長、高収入」の3Kだけで選択しているわけではないことは判ってやってください。
続きは次回へ。
恋の駆け引きは大変ですね~o(^-^)o
返信削除欠蹼足と半蹼足。見分けるの難しいですね。
欠蹼足の種類はアジサシの仲間とグンカンドリの仲間だけのようだから大丈夫!
返信削除半蹼足は水かきが見えないくらいに面積が少ない種類が多いです。
了解です!(^_^)V
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