学力テスト Vol.374-6 その解答 カワガラス ~ BABYの誕生と巣立ち その2~

 カワガラス ~ BABYの誕生と巣立ち その2~

巣立ちの翌日、当然ながら早起きをして現地には7時過ぎに到着。8時半頃までは誰も来ませんでした・・・くっそ~、きっと昨日は散々いいのを撮ったにちがいない!! フン!

巣から50mほど離れたところにヒナが一羽いました。
これだけ離れると、もう巣に戻ってくることはないのでしょう。

30分掛かってようやく、巣に近いところにいたヒナを発見

見つけたこのヒナは昨日、巣に近いところにいた気の小さい性格のヒナに違いありません。しかし、昨日よりも確かな足取りで岩場を登っています。

ツル~ン あわわ~ 滑っちゃった~

それ以上落ちないように、右足で何とか踏ん張って

辛うじてセーフ 危機一髪でした。
そのまま落下していたら滝ツボへ一直線でした。
それにしても見事なロッククライマーぶりです。

ん? んん? 羽づくろいを始めました。

も、もしかしたらこれは大チャンスかも!?

おおっ! やったやった~!! 
期待どおりにヒナが頭かきをしてくれました。ママと同じ「間接型」です。

昼近くになると、ヒナが積極的に行動するようになりました。
しかもジャンプをしながらです!

シュワッチ~

今度は、ちょっと長距離で2m以上の幅があります。

チェスト~~

クレバスを楽々と越えていきました!
こうして段々と自信を付けながら行動範囲を広げていくのです。

突然ヒナが羽をブルブル震わせて、鳴き声も出しました!

すぐ近くに、親がおいしそうな餌を口いっぱい頬張って持ってきたのです。

ヒナは足を踏ん張ったまま、口を開け
親も滑る岩にしがみついた形で給餌!!

1時間後に、また給餌シーンが撮れるチャンスが来ました。

今度は横からのシーンだったので、絶対に撮りそこなってはいけません!!
夢中でシャッターを押しまくったけど・・・どうやらうまく撮れたようです。

おっと、あれほど嫌がっていた水中へ潜り出しました
・・・といっても上半身だけだけど!

それでも熱心に顔を水中につけて覗いています。

おおっ、何か咥えています、確かに咥えています~~!!!

拡大すると、エサの足の形から、どうやらサワガニの幼体かな?
わずか巣立ち2日後で自分でエサをゲットしたのです!! 何という能力!!

堰の上のダムでは、別のヒナが泳いでいました。
やっていることは、もうヒナではなく立派な若者です。

そして、そのまま遠くへ飛んで行ってしまいました。
もう親に餌をおねだりしなくても、立派に独り立ちできたようです。

これが巣立ち後、2日間のヒナの行動なのです。とてもヒトには真似のできないスゴイ能力ですよね?!?!

いつまでもカワガラス君たちが棲める環境でありますように、願わずにいられません。



















学力テスト Vol.374-5 その解答 カワガラス ~ BABYの誕生と巣立ち その1~

 カワガラス ~ BABYの誕生と巣立ち その1~

それは彼岸の墓参りの日のこと。その3日前に降った大雨であっという間に水かさが増し、カワガラスの巣のある堰の水のカーテンが、厚い厚い壁になってしまいました。

これではヒナたちが出たくても出ることができません。でも万が一という事もあるので、増水した2日間もチェック! ・・・でも、やはり無理なようです。

カワガラスは抱卵日数が1516日、産まれてからは親からエサをもらいながら育って2123日で巣立ちする…という事は周知の事実。だからエサ運びが始まった頃が確認できていれば、巣立ちの予定日はほゞほゞ予測できるのです。

そして運命の墓参りの日! 天気も良くてきっとこの日だったら巣立ちするだろうな~、まずいな~、ホントにまずいぞ!! という予測通りに・・・出たのです!!

私はすでに墓参りの支度が完了して出掛ける寸前!「ヒナが出てるよ~、早く来ないといなくなっちゃうぞ~~!!」という無情のLINE! 「うわわ~、やっぱし今日か~ グギギギギギ~~~」

でも、自分一人ならともかく兄弟も集まるというので、行かないわけにはいきません。「誰だ~、こんな日に墓参りを設定したのは・・・」呪いたくなります。

「今日の墓参りは夕方からにしたいんだけど・・・」と言いたい悪魔のささやきが、耳から離れません。悪魔の声は「彼岸はまだ数日あるんだから墓参りなんぞ、後にしちゃえ~」「お前さんなんていなくたって墓参りは困りゃしね~ぞ~」と繰り返し繰り返し、囁いてきます。何回か携帯に手を伸ばしたり、じっとこらえたり、・・・それでも、辛うじて理性が勝って寺に駆けつけました。

墓参りのあとは恒例の昼食会、今回はすんなり済んで、13時半に解散となりました。

「ん?んん?! 今からぶっ飛ばせば現地には15時半には着くかも?! いやいや、きっと着く!」迷っている暇はありません。こんな時こそスピードの出せる新東名を利用です。普段出したことのない120km超えでまっしぐら~~! 慌てすぎたり、ボーっとしてたりして目的地のインターチェンジをオーバーラン!!・・・あやうく逆行したくなりました!! それにしても、このロスタイムはあまりにも大きい!

 なぜこんなに慌てるのかというと、カワガラスの巣立ちビナは当日には分散してしまうと聞いているからなのです。今まで巡り合わせが悪くて、まだ一度もヒナを見たことがないのです。

ここまで、くどくどと長い序文に付き合って頂き、ありがとうございました。さてさて、ここからがヒナたちの紹介です。


現地に付いたら誰もいません!誰もです!! そりゃそうだろな、多分午前中にたっぷり撮りまくって満足して帰ったんだろうな~ クッソ~~!!

うわわ~ もう遅かったか~~…待て待てっ! どこかに絶対にいるはず! 焦る心を落ち着けて、探し始めて10分ほどで岩陰に隠れているヒナをようやっとの思いで見つけました!! 「いた!いたいた~!!」 「よくぞいてくれた~~!!」思わず涙腺が緩んでしまいました。カワガラスのヒナは思ったよりも大きく、見た目にもしっかりとしています。

しばらくして、恐る恐るヒナが動き始めました。

そ~っと、ゆっくりと・・・

うわわ~、滑った~
まだ脚力が弱いのか、親のようにしっかりと岩をつかむことができないようです。

ようやくここまでたどり着きました。
ホッとしたのか動くのをためらっているのか、ジ~ッとしたままです。

さっきのところへ戻ろうとして・・ツル~ン うわわ~滑った~~~! ドッポ~ン!

水の中に落ちてしまいましたが、何とか大丈夫そうです。

それでも水の中は怖いらしく、バタバタしています。

羽毛はまだ親のように水を弾くようになっていないのかな?

他の小鳥類の場合、水浴びをすると羽毛がビショビショの濡れた状態になるのですが、そんな風にはならないので、多少なりとも油脂分が付いているように見えます。
さすがヒナでもカワガラス!!

ちょっと離れた場所で別のヒナたちを見つけました。
この日は4羽同時に巣立ったとのこと。

ヒナの大きさは、ほとんど同じようです。

もう薄暗くなってしまい、これ以上の撮影は困難です。とりあえずここまで撮れたら一安心・・・事故の無いようにゆっくりゆっくり、幸せを噛みしめながら帰宅することができました。

では続きは次回に・・・









学力テスト Vol.374-4 その解答 カワガラス ~ 清流のダイバー ~

 カワガラス ~ 清流のダイバー ~

頭かきシリーズが始まった最初の頃に、Vol.353で登場していますが、再登場です。

まずは「カワガラス」についてもう一度復習してみましょう。

イギリスの自然科学者であるダーウィンが生物の進化について書いた本、それが1859年に出版した『種の起源』。その中で、カワガラスは「特殊に進化した水に潜るツグミ」として紹介されています。やはり相当変わり者の鳥と思われていたんですよね?

最近のDNA解析よる研究でも、ツグミに近い仲間と言われているようです。遺伝子解析などのない160年ほど前の時代のダーウィンの観察が正しいって、う~ん、ダーウィン先生ってやっぱりスゴイ人なんだね~!

小鳥類で水中でエサを獲ることができるのはこの鳥だけ!


水中での活動がしやすいように、尾脂腺が他の鳥よりもはるかに発達しています。
※尾脂腺は尾羽の付け根の上部にあります・・・カモ類などと一緒の場所です。

その効果はこんな具合に

水は一瞬にして弾いてしまいます。


足の裏はギザギザになっていて握力も強く、苔が生えた岩の上でも滑りにくいように、しっかり捕まえられるよう工夫されているのです。

カワゲラ類の幼虫
カワガラスの大好物は水生昆虫です。

羽化したチラカゲロウ
カワゲラ類の他に、こんなカゲロウ類も幼虫時代を水生で生活しています。

アカマダラカゲロウ

以前BSのNHKで放映した、ワイルドライフ「知床のカワガラス」の録画を改めて観てみました。さすがにNHKはスゴイ! 水中で水生昆虫を撮るシーンが何回も撮影されていました。

ビックリしたのは、水中で自分と同じくらいの大きさの石でも足を踏ん張って、嘴でひっくり返してしまうことでした。だから石の裏に隠れて暮らしている水生昆虫たちも簡単に捕まってしまうのです。

コヤマトンボのヤゴ
トンボ類のヤゴだってうかうかしてられません。

2月頃になると♂は羽根を震わせて♀にアピール
どうやらこれが♀に対するディスプレイのようです。

カップルが成立すると巣材運びが始まります。
枯れ木を持ってきました。

苔も運び込んでいきます。

彼らのスウィートホームは堰の水が流れ落ちるウォーターカーテンの裏にある穴! 
侵入者が入って来れるような場所ではありません。湿度はめちゃ高いものの、安心・安全なところなのです。

今回はそんな彼らに、待望のベイビィが誕生したのです。ヒナたちに親の能力はしっかりと受け継がれているのでしょうか?! そのあたりをじっくりと、ご紹介したいと思います。
うう~~、今夜は猛烈に眠いので、ここらでお終い!








学力テスト Vol.374-3 その解答 ツグミ ~ 魅惑の歌声? ~ 

 ツグミ ~ 魅惑の歌声?~


4月中旬というのはジョウビタキは見かけなくなるけど、まだアオジもいるし、ツグミに至っては冬よりも数が増えている感じ! ・・・ツグミは渡って来る時や、大陸へ渡る時には群れを作るのです。

先日、浜名湖北部の農地へ行ってみたらツグミの群れが多数で、カウントしただけで20+。 渡りに備えて、餌の豊富な場所に集結しながら体力を蓄えているようです。

「クイクイッ」という地鳴きが印象的

9月下旬頃に日本海の離島を訪問すると、日本へ渡って来るツグミの姿をよく見ます・・・が、浜松で上空を「クイクイッ」と鳴きながら飛んでいるのを見かけるのは、いつも11月中旬になってからのこと。それまでは山地の森で飛び回っているのでしょう。

ツグミ君の頭かきは「間接型」
粘りに粘って、ようやくようやく撮れました。

♂に比べて体色の薄いのは♀

春になるとソワソワし出します

レンゲ畑で

ところで、ツグミの囀りを聞いたことがありますか? 

「ツグミ」という名前の由来は 日本では冬鳥のために囀りをしないので、口をつぐんでいることから、その名前が付いたとの説がありますが、今回は別の説を見つけました。

「突く実」説で木の実を突いて食べることから「つくみ」と呼び、濁って「ツグミ」になった。・・・「日本野鳥歳時記」大橋弘一著

以前4月に佐鳴湖で渡り前のシロハラの囀りを聞いた時に、クロツグミに似た感じだったので、きっとツグミも同じような囀りをするのだと思うんだけど・・・?!

クロツグミを「森のフルート奏者」、キビタキを「森のピッコロ奏者」と呼ぶけど、ツグミはどんな演奏家なのかな?


もうすぐ大陸へ帰っていきます。
また元気に戻って来いよ~~!!