ベニアジサシ
嘴が赤いというだけで、どうしてこんなに魅力的?
左側の小さいのはコアジサシの幼鳥です。
「ベニアジサシ」その名前の由来はこの赤い嘴と思うでしょ? ところがぎっちょんちょん!! そうではありませぬ! まずはその名前の由来から調べてみましょう。
学名は「 Sterna daugallii」といいます。「Sterna」というのはアジサシのことで、「daugallii」すなわち「ダウガッリィのアジサシ」。ダウガルというのは標本採集家なんだそうな。まあ、学名にヒトの名前が付けられているのはよくある事例です。
英名はというと「Roseate Turn」つまり「バラ色のアジサシ」という意味です。な~んだ、嘴を赤いバラに例えてるじゃん! ・・・甘い! 違います!! そんな甘い思考ではコロナでイチコロです!! 呼吸が困難で死んじまうのはけっこう苦しいぞ~!
実は腹部がかすかに淡紅色をしていることからきているのです。
ここで、おなじみのお宝画像をどうぞ
お腹が微妙に淡紅色になっているのがわかりますか?
あれ? 嘴が赤くないじゃん! ・・・いいところに気が付きましたね~。
この写真は昔々、南西諸島で6月に撮っているのですが、なぜか赤い嘴ではありません。
成鳥の夏羽でも前期はまだ嘴が黒く、この頃はまだ繁殖期に入る直前だったようです。
時期的には多分、このすぐ後くらいから赤い嘴に変身したはず!
この写真を撮った時のことは、しっかりと記憶にあります。
南西諸島のどこかの港の岸壁に行った時のこと。ベニアジサシ君たちはこの地方では普通に繁殖していて、浜松で言うコアジサシのようなもので、単なる普通種なのです!
私のすぐ近く、確か5mほどの超近距離だったと思います。警戒心はまったくなし!
この時は確かに確かに、腹部が桜色に見えましたぞ!!
さてさて、この時ペアの話し声が聞こえてきました・・・私は時々、ドリトル先生のように動物たちの話が理解できるのです。これホント!
「へい彼女~ 僕ってカッコいいでしょ? 一緒にお茶しない?」
「けっ! アンタなんてキライ! 大っ嫌い! 近寄らないで~!」
「げげ~っ 何で?何で~??」
「アンタっていつもコアジサシの餌をくすねてる性悪でしょうがっ! わたしゃ、ちゃ~んと知ってんだかんね~っ! 自分で魚も獲れない甲斐性なしのくせに私を口説くなんて百年早いわ!! アッカンベ~!」
「あっちゃ~!」
※ここで「くすねてる」という話の現場写真をご紹介しましょう。
コアジサシが獲って来た獲物を、ベニアジサシが横取りしようと追っかけ回しています。
執拗に追いかけるので、コアジサシはたまらずに魚を放してしまうのです。
「私を口説くなんて自惚れもいいとこ!! 私に近づきかったら、まず自分で魚を獲ってこいってんだっ!」
「ふぁ~~い」・・・こうして♂は、うなだれて飛び去って行ったのでした。
その直後から、あのぐうたらな♂が心を入れ替えて必死に餌探し!
ホバリングで上空から魚を探します。
見事にキビナゴ?を持ち帰ってきました!!!
さて、その後がどうなったかって知りたい? 知りたいよね~!
元々、彼女はこの彼氏が嫌いだったわけではありません。クソ真面目よりも、どっちかって言えばちょい悪タイプが大好き! ただただ、ぐうたらな性格を直してほしかっただけ!
・・・ということで、無事に可愛いベイビィが誕生!!
コアジサシの赤ちゃんに比べるとかなり黒いです!
ちょい悪君の一途な愛は鉄板をも貫く!・・・ノダ!!
※ベニアジサシは南西諸島での繁殖が終わるとオーストラリアで越冬します。
長い間、分からなかったベニアジサシの越冬地、これも標識調査で分かったことですが、2002年 沖縄でリングを付けた19羽が、6000km離れたオーストラリアのスウェイン・リーフス国立公園で見つかっているのです。
「バラ色のアジサシ」!
返信削除嘴が赤いからベニアジサシという名だと思っていました。
繁殖期前は嘴が黒いのですね。
ドクトル先生fuutenhideさん
会話を楽しく通訳していただきありがとうございます(*^-^*)
無事に可愛いベイビィが誕生!良かった良かった!(^^)!
そしてオーストラリアまて長い旅。凄いです!!
6000kmというのは浜松~広島間が約570kmだから、その10倍以上という途方もない距離! そこまで飛んでいかなくても良さそうなのにと思うくらいに鳥はスゴイ事をしているのです・・・しかも毎年!!
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