学力テスト Vol.318-3 その解答 ハチクマ

 ハチクマ

猛禽類としては少々変わったお名前!!

悠々と飛ぶ姿は魅力たっぷり

 鳥の大きさには、通常「全長 」とよばれる長さが使われます。全長とは鳥を真っすぐに伸ばし、嘴の先端から尾羽の先端までの長さです。脚の長さは含まれません。要するに鳥を仰向けに寝かせて嘴を伸ばし、尾羽の先までを測定すると思えばよろしい。脚は無視します。

ハチクマの♂はカラスとほぼ同じサイズです。


ここでサイズを比較してみると
ハチクマ   ・・・全長は♂が約 57cm、 ♀が約 61cm、翼開長は ♂121 、♀135cm。
ハシブトガラス・・・全長は57cm、翼開長は105cm。
ハシボソガラス・・・全長は50cm、翼開長は99cm。

「翼開長」とは翼を左右にまっすぐに広 げた横の長さです。 ハチクマはハシブトガラスよりやや大きいというイメージの鳥ですが、それは翼開長を含めた全体での話です。すなわち、全長は同じくらいでも翼を広げるとハチクマの方が大きな鳥に見えるのです。
ここで、ミニテスト! この写真のカラスはどっちかな?

 クイズとしては、両方のカラスに登場してもらえたらよかったのですが、自然状態でこちらの思ったように撮れるなんてことは至難の業!! だから、そこんところは想像力と分析力でトライしてみてチョ!!
 
 あゝ、ややこしい?!?!・・・ まあ、カラスのような「ものさし鳥」と比べてハチクマがどんなサイズかというのが、分かればもうそれだけで充分なんだけどネ!

ハチクマとカラスは上の写真と同じ個体です。

上がハチクマ、下がトビ。ハチクマの方が小さいのです。
トビって意外と大きいのです。

クマタカ 成鳥

 ハチクマの名前の由来を説明するには、どうしてもこの「クマタカ」君に登場して頂かねばなりませぬ。
 漢字では「蜂熊または蜂角鷹」・・・角鷹というのはクマタカのことです。
ハチが大好物のクマタカに似たタカという意味です。

こちらがハチクマの♂成鳥 違いが分かるかな?

 両種の生息環境が似ているのと、大きさが似ている・・・の2点から、こんな名前が付いたのだと思われます。

 ハチクマが大好きな食べ物はハチ、特にスズメバチ類やアシナガバチなど、集団で巣作りをする肉食性のハチの幼虫やさなぎが大好物。
 こんな猛禽類は他にいません。ライバルがいないということは食べ物を独占できるという大きなメリットがあります! 渡って来た5月にはまだハチの活動が活発ではないので、その時期はカエルやヘビなどを主食としています。

※スズメバチ類などのように集団で、女王蜂や働き蜂など階層がある人間社会のような社会的構造で生活をしている虫のことを「社会性昆虫」と呼びます。

 さらにハチクマのヒナは孵化してから巣立ちするまでの期間が、他のタカ類に比べて成長が早いので有名。それはハチの幼虫やサナギなど高カロリーな栄養源で、夏の間にどんどんと子供を育て、秋の渡りの頃までに長距離を飛べるように・・・という戦略でもあります。

 抱卵期間は28~35日で、雛は孵化してから35~45日で巣立ち。巣立ち後30-~60日程度で親から早々に独立。そして9月下旬には遥か彼方、数千キロの東南アジアを目指して旅立ち!

 鳥たちにとっては太古の昔から、当たり前のようにそうやって暮らして来たのだろうけど、我々から見たらものすごいことをしているんだなと、つくづく感心してしまいます。

さてさて、ハチクマの観察で、特に面白いのは個体変異が多いこと。

暗色型♀

中間型♂

淡色型 幼鳥

背面は黒化色か、または

このような褐色です。

 このハチクマの大移動が長崎県五島列島の福江島で見られるんだよね~!
その数、約1万羽!! 日本に飛来したほとんどがこの島の上空を通過するのだそうな!!
一度は是非とも行きたい、どうしても行きたい! 行かねばならぬ~~!!!
まずは手始めに、地元で明日から本格的に秋の渡りの観察開始でござ‘る。




















2 件のコメント:

  1. ハチクマとクマタカ。尾羽の横縞が違いますね。でもホントに似てますね!
    カラスはハシブトガラスかな。
    ハチクマの各個体の色模様の違いが綺麗に撮れていますね!
    ハチクマの大移動は長崎県五島列島の福江島ですか!
    fuutenhideさん 行ける日が待ち遠しいですね(*^-^*)

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  2. カラスのクイズはハシボソガラスでした。拡大すると嘴の形から判別できます。
    ハチクマはエサのライバルがいないといったけど、いるいる! 
    それは人間です。愛知県の奥三河地方や岐阜県東濃地方では、昔からハチの子を佃煮にして食べる習慣があります。
    これは貴重なタンパク源として、昔からその食文化があるようです。
    これはかなりの高級品で、1キロ9000円なんだとか!

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