学力テスト Vol.382-3 その解答 コジュケイ ~ 聞きなしが変化した?! ~

 コジュケイ ~ 聞きなしが変化した?! ~

学名は「Bambusicola thoracicus」 
意味は「胸当てをつけた竹林に住む鳥

和名を漢字で書くと「小綬鶏」。ちょっと変わった名前なので調べてみました。
「綬」とは勲章や喪章を吊るす布製の帯のことです。「ジュケイ」と呼ぶキジの仲間がいて、胸に勲章のような模様があるそうで、それよりも小型だったから「コジュケイ」とのことです。

ジュケイ」というのをネットで調べたけど、「ベニジュケイ」という鳥がいて赤い胸にある白い星のような斑点が勲章のように見えることから・・・と書いてあったけど、ウ~ン 想像力に乏しい私には全然そうは見えませんでした。

中国図鑑では「灰胸竹鶏」と書いてあるので、ほゞ学名どおりの名前。こちらの表現の方が胸の模様については近いようです。

警戒心はかなり強い方なので、時にはこんなふうに木の上で鳴くことも。
この写真から性別が分かるけど、どの部位を見てそう言ってるのか わかるかな?


写真を拡大すると左足の、ヒトで言うところのアキレス腱のあたりに出ている白っぽいものが見えるけど、これが「ケヅメ」と呼ばれるもので、♂だけが持っているのです。


或る日、他の小鳥を見ながら、たまたまジッとしていたら、4羽のヒナを連れた家族がブッシュから出てきました。

親は周囲をしきりに警戒していますが、ヒナはそんなことにはお構いなし!

そんな時、突然に親が目の前で「直接頭かき」をしてくれたのです!!
私にとっては思わぬ大きなプレゼント!! これはヒナたちに感謝せねばなりませぬ。


或る時、民放の時代劇を見ていたらBGMでコジュケイが鳴いていました。これはものすご~く大きな間違い!
何故かというと、コジュケイが狩猟鳥として中国から移入されたのは1920年(大正9年)頃になってから。
もし、NHKの大河ドラマなどでこのようなチョンボをやったら「時代考証の担当者は何をやっとるんじゃ~!と、大ごとになるところです。

しょっちゅうではないけど、夏鳥が真冬の時期に鳴いたり、たった1~2秒のシーンですが、オオタカが飛んでいるシーンの筈の空をトビが飛んでいたり・・・「おおっ、また懲りずにやっとるわい!」と、いろいろと粗探しをするのも一興なのです。
もちろんボーッと見てちゃ、気付かないかも!

ところで、コジュケイ君の聞きなしが、以前は「カアチャン、カワイイ」と聞こえていたのに、いつの間にか「カアチャン・コワイ」と聞こえるようになったのは何故なんだろ?!










学力テスト Vol.382-2 その解答 クサシギ ~ 元禄時代のおしゃれ見本 ~

クサシギ ~ 元禄時代のおしゃれ見本 ~

こちらがクイズに使った写真の全体像

翼下面が黒っぽくてお洒落なのが特徴です。

江戸幕府がたびたび奢侈禁止令:しゃしきんしれい、または贅沢禁止令を出し、派手な着物を着ることができなかった時代。表は地味な色でも、羽織の裏などに凝った柄をほどこすことに、お洒落の道を見出したのが粋なお大尽たち。これを「裏勝り(うらまさり)」と呼ぶのだそうな!

このクサシギ君とよく似ていて、間違われるのが下記の鳥。

こちらは「タカブシギ」
クサシギ君と同じく、クサシギ属で同じくらいのサイズです。

どうです、見分けがつきますか? わからない? う~ん、まあ わからなくたって生活に支障が出るわけじゃないので、別にいいんだけど・・・


タカブシギの場合は翼下面が白っぽいので、ここが決定的な見分け方になります。
飛ばない時はどうするんじゃって? そんな時は家康の心境で「飛ぶまで待とう」です。


桜も散ってしまった4月の或る日、久しぶりにクサシギ君を間近に撮るチャンスが巡ってきました。クサシギ君の「頭かき初撮り」の大チャンスです!

車のすぐ近くの畔で羽繕いを始めました!! これはずぇったいに「頭かき」を始めるぞ~~!! しばらく待ってたら、期待通りに始めてくれたのはいいけど、後ろ向き~! この写真だと右足が浮いているだけで「頭かき」と理解できるのは撮影者のみ!

この位置からしか撮れないので、左足でやってくれないことにはどうにもなりませぬ!! そのうちにトビが近くを飛んだので、警戒して逃げて行ってしまいました。「トビごときで逃げるな~~!!」 この一瞬で、「初撮りでハナマル1種」のチャンスは泡と消えてしまいました! ガックリです。


あまりにもくやしくて、よく眠れなかったので、翌朝また40km先の同じ場所に行ってみたら・・・おおっ、いました、いました!! 同じ個体が同じ場所でしっかりと待っていてくれました!


しかも今度は田んぼの真ん中という絶好の場所で羽繕いを始めた~・・・と思いきや、
またしても見えない方の右足での「頭かき」!! 「げげ~、またかよ~」まだまだ試練が続きます!

盛んに上空を気にしていますが、飛んでいるのはカラス!
「おいおい、飛んじゃダメ~、お願いだから昨日の二の舞だけは止めてくれ~!」


でも今回は神様に見捨てられることはありませんでした。その後、1時間ほど粘って待っていたら、ようやくようやく左足で「頭かき」をしてくれたのです。「やったやった~~!!」


「ん、んん? 誰か見てるヤツがいる~!」と一旦フリーズ!! うわわ~っ、気付かれたか! こちらも車内からの撮影とはいえ、思わず頭を引っ込めて、息を止めてしまいます。

でも痒いのは我慢できないようで、すぐに頭かきを再開!

「うう~、気持ちよか~」 もうこうなると止まりません!

羽を拡げてモジモジ・バタバタ・・・さらに痒みが増してきたのでしょうか?

頭の後ろや首周りまで痒くなってきたようで、首の羽まで逆立っています。

撮っているこちらも背中が痒くなってきました。もっとも私の場合は単なる加齢による「老人性皮膚掻痒症」ではありますが・・・。
最大目標である「初撮りの頭かきは、たっぷり・じっくりと撮れたので、とりあえずは感謝感謝です! 来てよかった~~ これでめでたくハナマルの1種追加となりました。


今回は質より量とばかりに、ゲップが出るほどに写真を載せてみました。
もうクサシギ君のことを、たとえタカブシギと見間違えることはあっても、忘れることはないでしょう!・・・だよねっ!!

クサシギ君は春と秋の渡りの時期、内陸の休耕田や水路にいることが多いので、そこらをじっくりと探せば、きっと見つかりますよ! 見つけたら彼の小粋で自慢の「裏勝り(うらまさり)」を見てあげましょう。鳴き声でもわかるようになったら、識別としてはもう最高点をプレゼントしちゃいましょう!!










 

学力テスト Vol.382-1 ~ 頭かきシリーズ その28~

 今日は暑くて行くところもないので、久しぶりに家でのんびりと録画した自然番組を・・・と、見始めた途端に、庭のヤマボウシの木で1匹のクマゼミが鳴き出しました!! 「シャンシャンシャンシャン・・」うわわ~~ もう、うるさいの何のって!!

それでなくても暑いんだから止めてくれ~

クマゼミの鳴き声はセミの中でも最大級の騒音で、80~90㏈(デシベル)なのです。

90dbというのは、人の声で言うと「怒鳴り声」、犬がすぐ近くで鳴く声・・・なのです。これはたまったものではありません。コンニャロメ~と鳴いている木に近づいたら、ササ~っと翔んで行ってくれました。ヤレヤレです。


これは近くの公園で撮ったものですが、ここだけでも何と何と7匹のクマゼミが!!
こうなると、もう鼓膜が破れそう! こちらがここから逃げ出すしかありません!!


では本題、次の3種類の「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えてください。今回はかなり手こずるかも?! 

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

A

B

C








学力テスト Vol.381-4 その解答 フクロウ ~ ところ変われば悪魔の使い ~

 フクロウ ~ ところ変われば悪魔の使い ~

恐る恐る顔を出し始めたのは、この日初めて巣穴から出てきたヒナ!!

何やら、下にいるヒトの気配に気づいたようです・・・

この樹の下では、数人が息を殺して今か今かと、ヒナの巣立ちを見守っていたのです。

「ね~~、ママはどこ~?」と不安げな表情

フクロウは「直接頭かき」ですが、ここで注目は足指で、この時は前足が3本。

そして、この時は指が前後に2本ずつになっています。

これはフクロウ類すべてに共通することですが、この方が獲物を捕まえる時も枝に止まる時も、すこぶる具合がいいんですと!

ヒトの右足の例でわかりやすく説明すると、鳥の後ろ指は親指(第1趾)、前足の人差し指(第2趾)、中指(第3趾)、薬指(第4趾)で、鳥の多くは小指がなく4本指です。
そして、この薬指(第4趾)を自在に前後に動かせるという事なのです。
すごいでしょ?!?!

こんな特殊な足のことを可変対趾足(かへんたいしそく)と呼びます。ちなみに一般の鳥のように前が3本足の場合を三前趾足(さんぜんしそく)といいます。

以上はアオバズクのところ(Vol.352)でも説明したので、今回はそれをコピペしちゃいました。
※この足指(趾)云々については、きっと今後のクイズにも出題されるので覚えておいてくださいませ。

巣立ちして3週間ほど経つと、だいぶ大人びてきました。

このくらいまでヒナが成長したらママはちょっと一安心というところで、大あくび!

日本では幸運の象徴とされており、漢字でも「福来朗・・・福が来る」とか「不苦労・・・苦労しない」という当て字が使われるほどに縁起物として通っていますが、中国ではフクロウは不吉な動物とされており、縁起が悪いとされているのです。

どうしてかって言うと、フクロウは母親を食べて成長すると考えられていたために「不幸鳥」と呼ばれていたという説があるんだって! 
だから、もし中国の知人がいたら「これは心を込めてだからね!」とか言って、フクロウのグッズなどをプレゼントするのは控えた方がいいんだとさ・・・憶えておくといいかもね!





学力テスト Vol.381-3 その解答 ヒクイナ ~ 紫式部も聴いていた~

 ヒクイナ ~ 紫式部も聴いていた ~

姿は見たことがなくても、その鳴き声はTVの時代劇を見ていればよく耳にします。

英名は「Ruddy-breastede Crake」 
・・・と、その姿を見たままの、いつもの英名らしい味気ないけど、わかりりやすい表現。

体長の割に長い足指が特徴です。

こんなふうに水生植物の上などを歩く時に、体重が分散されて沈むことなく歩きやすいように進化しています。


我が家でも、初夏になると佐鳴湖の方から「コッ、コッ、コココココ・・・」と、もの悲しい声が風に乗って聞こえることがあります。

いにしえの歌人たちもよく聴いていたのでしょう。ヒクイナの鳴き声は戸を叩く音のように聞こえ、それを男性が女性の家の戸を叩くことをヒクイナの鳴き声に例えて詠ったのが和歌にたくさんあるようです。


ウワワ~ッ、いきなりの「直接頭かき」!! 何とか撮れてよかった~


嘴に泥がいっぱい付いているのに、お構いなし! 細かいことは気にしない大物なのか、大雑把な性格なのか、よくわかりませんが、少なくともこの個体はヒトの目もまったく気にしないようです。足の色が赤味が少ないので、まだ若い個体なのかな?

しゃがんで撮っているとドンドン近づいて来て、最短は2m!!「おいおい、ヒクイナって臆病で警戒心が強いんじゃなかったっけ?!」

それに比べ、さっき運よく「頭かき」を撮らせてくれた別個体は赤い足の完全成鳥で、こちらに気付いたらサササ~っと藪の中へ! フムフムこれがヒクイナの正常な反応パターンなのです。

普通、ヒクイナは夏鳥として渡来するけど、佐鳴湖ではヒクイナ君は昔から留鳥で、冬でもたまに「コッ、コッ」という地鳴きを聞くことがあります。

この母親の後ろには、巣立ちして間もないヒナが隠れていました。


これ以上は出てきてくれなかったけど、これは明らかに母親から「ほれほれ、変なオヤジがいるから、それ以上出てきちゃダメダメ~~!!」と言われてフリーズしている行動!

今年こそはしっかりと黒いヒヨコを撮るぞ~!!と思っていたのに、その願望はまたしても来年以降に繰り越しになってしまいました。トホホ・・・








学力テスト Vol.381-2 その解答 メダイチドリ ~ ジンギスカンのふるさと~

メダイチドリ ~ ジンギスカンのふるさと ~

メダイチドリの幼鳥です。
漢字では「目大千鳥」と書きます。
他のチドリ類よりも目が大きく見えるから・・・ということらしいけど。

比較のためにシロチドリ君にも登場していただきました。

どう? メダイ君の方が目が大きく見えるかな? うんにゃ~、見えないって?!?! 
まあ、あくまでイメージの話だから細かいことは言いっこなし!

頭が猛烈にかゆいぞ~~!!

うわわわ~、アチコチかゆくなってきちゃった~ 
ホエ~~、気持ちよくて止まんない~~!!

こちらは横着者で、水浴びしながらの頭かき これがまた気持ちいいんだよね~

この3個体の写真に共通するのは、どれも「間接頭かき」ってこと!! 例外ってホントに見つからないんだよね~!! 1羽くらい「直接頭かき」をすりゃいいのに~!

学名は「Charadrius mongolus で「モンゴルのチドリという意味です。

これはメダイ君の大きな繁殖地がモンゴル地方に由来するからとのことで、英名もズバリ「Mongolian Plover

休息する時には頭をグルリンと回して背中に潜らせて
・・・これってヒトがやったら、まさにエクソシスト!!


でも、鳥たちにとってはこんな羽繕いの形はお茶の子さいさい!! やっぱり脛骨(首の骨)が多いだけに、余裕があるんだね!


栄養補給は干潟のゴカイ類や微生物。絶妙の力加減で引っ張るので、ゴカイが途中で切れてしまうようなドジはしません。


スパゲッティというよりも「揖保乃糸」を食べているかのように、チュルチュルっと、すっごくおいしそうに飲み込むんです!

翼はかなり長めで、長距離飛行に適したように進化しています。

メダイチドリの群れ

シギチドリ類の春の渡りは4月中旬ころから始まって、6月初旬頃には大半が渡り終えます。 中でもメダイチドリは目立つ色だし、そこそこ数も多いので干潟に咲いたダリアのように華やか!! 
また秋に会おうね~~!!