コミミズク ~ 冬の大人気者 ~
コミミ君の人気はハンパじゃありません!! とにかくスゴイんです。ある日の休日のこと、この鳥が見られるとウワサが広まった途端に、約250人+が集結! ・・・ざらっとだけど、カウントしたんだから間違いありません!
何故、こんなに人気があるのかと言うと、フクロウ類なのに真っ昼間に見れるし、フワフワと休耕田の上を飛んでくれるし、ヒトはそんなに怖がらないし・・・というよりも全くヒトを気にしないマイペースだし、被写体としてはこれ以上のものはありません。
掛川花鳥園のようなガラス越しとか、動物園の檻の中とかではなくて、目の前でこんな可愛い天然モノが見れちゃうんです! 年中無給休暇のジジババじゃなくたって、集まるのは無理ないことなのです。濃いめのアイシャドウが黄色いお目目をググっと引き立てています。
その時、私はいなかったので後から聞いた話ですが、ビギナーの親子が来て「きゃ~、かわゆ~い!」「ミミリ~ン!!」「家に連れて帰りた~い!!」と、うるさいの何のって!!
コミミズクは「小耳木菟」と書きます。耳の小さいミミズクと言う意味です。上の写真でもわずかに、ほんのわずかに小耳が見えるでしょ?
おっと、上空にチョウゲンボウが現れました。
緊張した時などには、こんなふうに小耳を立てます。でもホントの耳じゃないので勘違いせぬように! この部分は「羽角」といって、単なる飾り羽です。
さてさて、ここからが本題! 今回、コミミ君の「直接頭かき」がじっくりと撮れました。
あれ?何か変な感じ!
そうです、右足で左の頭を掻いているんです。もしかして左足を怪我でもしてるのかな?
…と、思いきや、今度は左足で右の頭を!
うわわ~、さりげなくやってるけど、こんな頭かきの方法を他の鳥では過去、絶対に見たことがありません!! これはすっごい技です! 鉄棒で内村選手がさりげなく繰り出す技が、誰にも真似できないようなすご技なんですぞ きっと!
私の近所にいる皆さんも、この時の写真は撮ってるだろうけど、このすご技に気付いているんだろうか? 誰も気付いていないんだろうな~ きっと!
うっへ~~、またまた右足で左の頭を・・・
これは明らかに意識して出してる秘技に違いありません!!
これはネズミを捕まえるのに効果的な練習・・・うそうそ、そんなことはありません。
それにしても、何故か変則的にクロスに掻くのが好きなへそ曲がりのコミミ君!! ホントに変なヤツじゃ~!
もしかしたら他のコミミ君も同じことをするのかい? 今後に興味を引きずります。
こちらは目の周りをこすっているところ
拡大してよ~く見ると、ヒトと同じように指の表側を使っています。
きっと爪の生えている方では危ないので、目をケガしないようにしているのでしょう。
おおっ、今度は頭のてっぺんを掻きだしました。
でもこんなことで驚いてはいけません!
フクロウ類にとっては顔の上下をひっくり返すなんて、お茶の子さいさい。
ぐにゅ~~んと回って
ほれ! このとおり、頭が真下に来ました。
どうしてこんな芸当ができるのかって? それはヒトを含めた哺乳類の脛骨(首の骨)が7本なのに対して、フクロウ類は14本あるからなのです。
キリンだってあんなに長い首なのに脛骨は7本しかありませんぞ!
コミミ君の首回りの羽毛の中は、サギ類のように脛骨がS字になって収納されています。それが上下や左右の回転を可能にしているという訳なのです。
「エクソシスト」っていう怖~いオカルト映画を覚えてますか? あのように360度の回転とは言わないまでも、コミミ君たちは左右にそれぞれ約270度、合計540度ほども回転できるのです。
ちなみに、「わたしゃ、借金で首が曲がらない」とおっしゃる人間の首が動かせる範囲は左右それぞれ60度、計120度くらいです。
時にはホバリングをしながら、ハタネズミを探します。
コミミ君が大陸へ渡ってしまうのはもうすぐです。
それまでは、じっと静かに見守っていたいものです。