アカショウビン ~ 難敵 火の玉小僧 ~
ビューン!! 上空を赤い火の玉が飛んで行きます!
「キョロロキョロロ」と早口で鳴きながら飛ぶことが多いので、何とか見つけることだけはできます。でもただそれだけ! この時はこれでおしまい!
うわわ~、飛んじゃった~!
デジカメは反応が遅すぎる~~!!
シャッターを押してから写るまでに、コンマ何秒とホンの少々ですがタイムラグがあります。こんな写真でも、撮れた日にゃ「おおっ、やった~!」と満足! この日もこれでおしまい。
誰しも、どうやっても相性の悪い相手というのはいますよね?
思い起こせば、私にとってはキョロロ君はとにかくその典型・・というよりも、これ以上泣かされる鳥はいないのです。
まだビギナーの頃から、そんなことばかりの連続なのです。
地元でも戸隠でも「今ならじっくり見れるぞ~」との話にすっ飛んで行っても、まず見れた試しがありませぬ! いたとしても鳴き声だけで、姿が見れません!「声はすれども姿は見えぬ、まるでお前は屁のようじゃ」という講談や落語の典型パターン。
「ええっ、またダメだったのけ?」と言われ続けて、あれからン十年・・・連続また連続の繰り返し!
一番最初に遭遇したのは、地元での早朝の探鳥会! 逆光の中、目の前をビューンと数秒 飛んだのを見たといえば見たことになっています。
人はあれをアカショウビンだと言ったけれど、ただの黒っぽい鳥で、なんにも赤くはなかった! ましてや背中の青いウンチ模様なんて見たこともねえ! 昔から私にとっては「幻の赤い鳥」なのです。
これが、背中の青いウンチの羽根
その羽根の裏は青いウンチの色が付いていません
思い出すのも、すっごくイヤだけど、極めつけの話をしてみましょうかね。
それは支部主催の戸隠探鳥会でのこと。
参加者十数名の熱い願望の先にあるのは、もちろんアカショウビン!
それを何と数メートルで、しかもペアで見てしまった!という幸運に恵まれたのです!
「めでたしめでたし、担当幹事さんありがと! お疲れさまでした!」シャンシャン・・・となる筈だったけど、そこはそれ、よくある話で一人だけいたのです。不幸な人間が!
今までは、この手の不幸話を聞けば「人の不幸は蜜の味」とばかりに喜んだり、笑い転げたりする側だったのに、何故かこの時は私一人だけが蚊帳の外に置いてけぼりにされてしまったのです。ああ何て不幸な私! オーマイガーなんてもんじゃありません!
なぜそうなってしまったのかと言えば、お目当ての場所に行ったら、もぬけの殻で見当たらなかったために、担当幹事としては「じゃあ、ちょっくら近くを探してくるから、皆さんはここで待っててちょ!」と周辺を探しに出かけました。
そのちょっとした間に、出たのです!しかもペアで!!
10分後に私が戻って来た時には参加者全員がニコニコ顔!
「ん? んん? 何かいいことあったの?」と聞くと「あれれ? あんだけ近かったのに見なかったの? どうして? フーン そりゃ残念だね~」口では慰めながらも、顔はヒッヒッと人の不幸を笑っている(・・・ように思えました)!
「あいつの運もこれまでさっ」とか「どうやら背後霊がついたらしいぜ」という話が聞こえてきそうです。
くっそ~! もうこいつらとは縁を切ろうかな!
そうです! そもそも鳥仲間に親友を求めること自体が間違いなのです!
その後も、キョロロ君と相性の悪いことはエンドレスで延々と続いているのです。
これが過去で最もまともな写真
でもホントは100mほど先のを大きく引き伸ばしただけ!
そんな私にとうとう素晴らしい瞬間が来たのです。
その瞬間がこれ!
何と何と「間接頭かき」が撮れちゃった~~!!
暗い林の中でしかも100mほどもありそうな遠いところだったけど、運よくこちら向きで羽繕いを始めた? うん、確かに始めたのです!
これほど相性が悪いので、頭かきなんて撮れっこないとハナから諦めていたのに、何と何と羽繕いを始めちゃった! これはひょっとしたらひょっとするぞ~!
いやいや、そんなに甘くはないぞっ!今までの相性からしたら撮れるなんてありっこない! 期待しちゃダメ~
物事は期待しないで待つべし、そうすれば、ガッカリ感も少なくて済む。愛は惜しみなく与えるのは当然だけど、見返りを期待しちゃダメ~!・・・これは我が家の家訓なのです。
それでも万が一ってこともあるので、林の薄暗いところだったし、絶対外さないようにピントはマニュアルに変えて慎重に合わせて・・・
こうなると押さえていた飽くなき欲望には勝てません!「お願いだから、頭かきをやってくれ~~ 頼む~~!!」と心の中で必死の願掛けです!
そしてとうとう悲願の「間接頭かき」が撮れちゃったのです!
「うわわ~っ、やった~~!!」奇跡ともいえる瞬間です!! これは何物にも代えがたい大きな大きなプレゼント!!
私にとっては皆さんがブログに載せるような素晴らしい写真よりも、はるかに価値のある最高級のベストショットなのです!
気を良くしてシアワセ気分に浸っていた直後に、今度は水平位置で林の中にいるのを見つけました!
しかも30mほどと近いし、枝の前かぶりもなく順光という絶好のシャッターチャンスではありませんか!
自分で見つけたので、その近くにいた3人ほどの最前線にいたのです。
そのワンチャンスに何故かピントが合いません! かろうじてたった3枚だけ押しましたが、あまり・・・というか、まったく手ごたえがありません。
「あれっ? 何だ何だ? どうしちゃったんだ? カ、カメラが壊れちゃった~!」
飛んでしまった後に気付いたのですが、その前に「頭かき」を撮った時にマニュアルに設定を変更していたのを忘れていたのです! なんでAF(オートフォーカス)に戻してないんじゃ? バカ、バカ!!バカ~ッ! 我ながら情けなくなってしまいました。
こうして千載一遇とも言えるチャンスを逃してしまったのです! グギギギギ~~~
後ろにいた人から「いいのが撮れたでしょ? よかったね~ 私もバッチリ!」と言われ、「いや~、実はピンボケで デヘヘ・・・」とも言えず、「そ、そ、そだね~」と、ひきつった顔で笑ってごまかしました。
やっぱり私にゃ、これ以上はないほど相性の悪いキョロロ君なのです! ガックリ
暗がりの中でも妖しく光る青いウンチ
いつかはこんなのが間近で撮れることを祈って、上の2枚は友人から大事な写真をお借りしました・・・が、さてさて それはいつになることやら!!
まあ、何とかなるでしょ!?! なるん決まってらい!
「そりゃ甘いぜ! 相性が悪い相手ってのは修復不能だからさっ!」と言われるけど、そんなことを言ってからかうヤツとは縁切りでいっ!