学力テスト Vol.441-3 その解答-2 オオルリ ~ バックシャン・ホントは青くない!?!? ~

 オオルリ ~ バックシャン・ホントは青くない!? ~

オオルリ ♂成鳥

いつもベスト5に入る超人気の青い鳥
日本人ってホントに青い鳥が好きなんだよね~

オオルリ 巣立ちビナ 性別は不明

同上


キビタキ 巣立ちビナ
比較で出したけど、オオルリの巣立ちビナにそっくり

早いものは7月頃から現れ始める巣立ちビナは、住む環境も似ていてオオルリとキビタキとの見分けが厄介で苦労します。

オオルリ君 ♂   第一回冬羽
南へ旅立つ8月下旬には、すでにこんなふうに背中が青く色づいています。

♂の写真はどれも後ろ姿ばっかし!

「バックシャン」とは本来は女性に対しての褒め言葉だけど、今回だけは「後ろ姿がイケてる」オオルリ君に対する言葉として使うことにします。

「バックシャン」は「後ろ姿が美しい」という意味で、「シャン」はドイツ語の「schon(美しい)」から来ている言葉です。かつて明治から昭和初期に存在した旧制高等学校時代の学生が使っていた造語なんだそうな。

日陰のオオルリ君

この美しい瑠璃色が実は「構造色」!!
すなわち羽毛に青い色素を持っているわけではありません。羽毛の表面にある複雑な構造がこの美しい青・・・すなわち「幻の青い色」を作り出しているのです。
幻・幻想は英名でIllusion(イリュージョン)。
だからオオルリの英名は「Illusion Blue Flycatcher」というのです。・・・ウソです!!
ホントの英名は「Blue-and-white Flycatcher」というのが正解です。

だからこの上の写真のように日陰だと光の反射がないために、ただの白黒の小鳥に! 
決して露出を間違えて撮ってしまったわけではありませぬぞ!

おさらいーその1
「構造色」を分かりやすく言うと、CDを太陽光に当てるとキラキラと虹色に・・・これはCDのデコボコした表面で屈折した光が作り出している色なのです。ちなみにシャボン玉やモルフォチョウのキラキラも構造色のなせる業です。


構造色は光の働きによって生じる色であるため、光の当たり方や強さによってちがった色に見えます。

オオルリのママも登場

子育てのためには旦那のような派手な衣装は禁物!とにかく目立ってはいけないのです。だから例え派手好きの性格でも、そこはグッとこらえてこのようなシックな衣装でなければならないのです。
この写真からクイズの解答を。 
趾(足指)に注目! 「三前趾足」で、もちろん「水かき」なんてありません。


◆さて、ちょっと大事なお話。
オオルリは東アジアにしか生息していませんが、基亜種「オオルリ」と亜種「チョウセンオオルリ」の2亜種いることがわかっています。

おさらいーその2
「亜種」というのは「種」の一つ下の分類上の単位で、同じ「種」の中に地域によって、大きさとか形態とか羽根の色に変化がある個体群のことです。

もっと大雑把に言うと、「同じ種の生きものだけど、ちょっと違うような感じの生きもの」・・・って、ことなのです。

「基亜種」とは同一種内に複数の亜種がある場合、最初に発見された「亜種」のことです。「基亜種が最も基本的な亜種で、それ以外の亜種はそこから分化していった」・・・という意味ではありませんので、お間違えなきように。

「チョウセンオオルリ」と思われる個体 2022.4.27撮影

同上

英名を「Zappey’s Flycatcher」と呼ぶ幻のオオルリがいます。
亜種「チョウセンオオルリ」のことです。
この写真は日本海の離島で撮ったものですが、いつものオオルリ君の「濃紺」とはまったく違う「空色」をしていました!

撮った写真にもその特徴が表れているようなので紹介することにしました。
ホンモノならかなりのレアだそうですが・・・さて、結末は?!?!

「BIRDER特集号 オオルリ・キビタキ・サンコウチョウ」に掲載されている解説文によると『亜種「チョウセンオオルリ」を独立種とするのが世界的な流れとなっている。国際鳥類学会議(ICC)のリストではこの分類を採用していると書かれていました・・・おおっ、これが独立種となった暁には乾杯せにゃならぬ~!!

以下はネットに書いてあった情報です。

亜種チョウセンオオルリは,基亜種より淡色で雄の青色は緑色光沢がある。

このチョウセンオオルリ(以下、ザッピーと略)は、繁殖地が中国東北部ということだけが分かっており、実際の越冬地が東南アジアのどの辺りなのか、どういう渡りのルートを通って朝鮮半島中国へと渡って行くのか、その生態が全く謎に包まれています。

鳥類学の世界的権威である米コーネル大学鳥類学研究所も「とにかくザッピーの情報を集めてほしい! 渡りの途中の個体を観察したら、記録して報告してほしい。」とアジア(特に中国、韓国)のバードウォッチャーに訴えています。

渡りのルートは日本のオオルリとザッピーは重なるらしいから、もしかして日本でも・・・

                            ~日本野鳥の会 東京

 















2 件のコメント:

  1. オオルリの濃紺は構造色だったんですね!
    初めて聞く、亜種[チョウセンオオルリ]
    空色なんですね~
    巣立ちビナ、第一回冬羽、成鳥へ、
    色の変化が楽しい~♬
    オオルリとキビタキの巣立ちビナはそっくりですね(^^)
    オオルリのママも可愛いです♬

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  2. オオルリは見てよし、聞いてよし・・・すなわち姿は美しく、囀りは日本3大鳴鳥のひとつと、皆さんが大好きというのも無理ないのです。
    そのママを可愛いと評価してくれるtoriotomeちゃんのセンスは抜群ですねっ!!

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