学力テスト Vol.398-2 その解答 アカハジロ ~ 貴重だけど悩ましい ~

 アカハジロ ~ 貴重だけど悩ましい ~

こちらが♂。かなりシックでクロウト好みの珍鳥です

漢字表記では「赤羽白」
名前の由来は赤っぽい胸と、初列から次列にかけての白い翼帯

最近の報告では生息数が1,000羽を切るといわれ、絶滅危惧種ではトップランクのⅠA類(CR)すなわち、ごく近い将来に絶滅寸前と言われている種なのです。

 中国北東部やロシア東部で繁殖し、東南アジアで越冬します。日本は渡りのルートから外れていますが、稀な珍鳥として見つかります。

潜水性のカモで、この時はヒシを食べていました。

英名は「Baer's Pochard
Baer はエストニア出身のカール・エルンスト・フォン・ベーアという人物にちなんでいます。
「哺乳類の卵子を発見した」という、19世紀におけるもっとも重要な自然科学者の一人なんだそうな。

頭かきは直接型
カモで間接型をする変わり者はいないのかなあ? いたら学会に発表しちゃうのに~!

♀は虹彩が暗色なのが特徴

 アカハジロの何が悩ましいのかっていうと、同じ潜水ガモである「スズガモ属(Aythya)」のホシハジロやメジロガモとの交雑がすごく増えているとのこと。

左はホシハジロ♂

メジロガモ♂

雑種A個体

雑種B個体

 カモ類は他種の鳥と比べても、はるかに自然環境下でも交雑しやすく、その中でもよく目にするのは「ヒドリガモとアメリカヒドリ」そして「マガモとカルガモ」は「カモ族」の中でも近縁種のため、雑種が生まれてしまうのです。

 ガン類やハクチョウ類が生涯同じ相手と生活するのと違って、カモ類は毎年 結婚相手が変わるというのが定説です。カモ類にとってはより良い相手と結婚していい子孫を残すという考えなのです。

 ここまで読めば皆さんは気づいたと思いますが、よく結婚式のスピーチで使われる「鴛鴦(えんおう)の契り」あれはウソです! 「オシドリのように一生、仲むつまじく連れ添うという夫婦の契り。夫婦のきずながきわめて強いことの例え・・・で使われる中国の故事ですが、事実は全く違うのです!!

 カモの♀は♂をどのように見て結婚相手を決めるのでしょうか? 多少の外観は気にしないのでしょうか? それとも別の種の♂の方が魅力的に見えるのでしょうか? だったらノホホンとはしてられません。もっともっと♂は自己研鑽をせねばなりませぬ!

 おっと♂からも違う種類の♀の方が魅力的に見えるのかな? いずれにせよ、選択の決定権は♀にあるに違いありません!

それでなくても純血種のアカハジロが少ないのに、雑種が増えてきてしまったら・・・

この真ん中の個体のパパはどっちだ?!?!

 ちょっと怪しいアカハジロ君を見つけたら、まず「君のお父さんとお母さんって誰? 君はホンモノ?」と質問しなければなりません。


















2 件のコメント:

  1. 純血種のアカハジロが少ないのにホシハジロやメジロガモとの交雑が凄く増えていることは問題ですね~
    ガン類やハクチョウ類を見習ってほしいですね(^^)

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  2. 一目見て「あれっ?何か変だぞ?!」と思う個体はいいのですが、中には言われても判らないような微妙な個体もいるのが、ものすご~く悩ましいのです。

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