ヤツガシラ ~ エキゾチックなお嬢さん ~
この長~い冠羽と嘴! 上半身だけでもすっごく魅力的
初めて手にした図鑑を見て、「何じゃこりゃ?!」その摩訶不思議な頭の飾り羽に心が躍ったものでした。
ましてや、この変わった背中の模様も異国情緒たっぷり!
どう見たって大和撫子のイメージではありませぬ。
初めて見たのは「繁殖してるから、行けば絶対に見れるぞ~~!!」の悪魔のささやきに乗って、はるばる松本市まで出掛けた時。
当然ながら、そんな遠くまで行くんだから、図鑑に載っている「冠羽を開いたところ」が見られると期待していったのに、それが見られたのはホンの数秒で、しかも50m先!!
まあ、それでも当時は「やった~ 見れた見れた~~!!」と大喜びで帰ってきたのだから、我ながらウブで可愛いもんでした。
ヤツガシラは開けた場所で採餌します。
「スジキリヨトウ」という、芝を食い荒らすガの幼虫を捕まえました。
クモまでもパクリ!!
ここで、彼女の髪飾りが何枚あるのか?どんな仕組みになっているのか? 興味がありませんか? 今回はそこのところをじっくりと観察してみました。
後ろから見ると複数の羽が重なり合っています。
冠羽は前後に扇形に開くのですが、1列ではなく左右から複数の冠羽が開いていくのです。
前から見ると
徐々に
ここらで80%ほど
これが満開!!
誰もが撮りたいと願う瞬間!! でもなかなかこの瞬間が来ません!・・・かなりの辛抱が必要です。
「羽 原寸大写真図鑑」著:高田勝・叶内拓哉 より引用
名前は頭部に八枚の飾り羽があるからというのが定説ですが、実際にはこのように20枚ほどの冠羽が開くのです。冠羽はその先端だけが黒いので、枚数をカウントできます。
そもそも「八」というのは日本の古来から「聖数」とされ、「八重咲」「八重桜」などのように数が多いことを示すのにも使われているのです。
ヤツガシラに変化が出ました・・・何と「換羽」が始まったのです。
冠羽は半分ほどしか残っていません。
羽の取り換えは鳥たちにとっては大事な大事なイベント!!
基本的には1年に1度、定期的に古い羽を捨てて、新しい羽に生えかえる作業をするのです。 鳥によってタイミングが決まっていて、多くの鳥では春または秋、またはその両方で体の一部または全部を換羽するのです。
今回の様子を見ていると、風切羽はそのままのようでした・・・一般的に小鳥の成鳥は繁殖期前には翼や尾羽を除く一部分だけの換羽(部分換羽)をするといわれているので、今回は見えた範囲で言うと首から上だけの換羽だったのかな?
しかも飾り羽の全てを換羽するのではなくて、一部のみ・・・この理由をすごく知りたいところですが、どこを調べても判りませんでした。
当然のことですが、生えてくる場所の羽は捨てた羽と同じ色や形をしているのです!
今更ですが、何という不思議!!
換羽中で半分しかなくても見事な冠羽!!
換羽中でも羽の手入れは欠かせない作業です。
頭がかゆ~~い!!
エキゾチックな彼女の「間接頭かき」は色っぽいねっ!!
ヤツガシラは珍しいお客さま。慌てず騒がず、静かに見守りたいものです。
※ヤツガシラは雌雄同色で性別の判断はできませんが、今回は勝手に♀として書いてみました。