学力テスト Vol.473-2 その解答 アオバズク ~ オッド・アイ~

 アオバズク ~ オッド・アイ~


青葉が茂る頃に日本に渡ってくることから「青葉木菟(あおばずく)」
命名にひと捻りはないけど、なかなか洒落たネーミングで好きな名前です。

本来なら「木菟(ずく)」というのは、例えばトラフズクのように飾り羽である羽角をウサギの耳に見立てて「木に棲む兎」という意味なので羽角があるのが普通ですが、羽角がなくてアオバズクのような坊主頭でも「木菟」を使うという例外です。

かつては夜になると自宅近くの電線に止まって「ホー、ホー」と鳴くのを耳にしたものですが、最近ではとんとこのような話は聞けなくなりました。アオバズクは黄色の虹彩が特徴的。昼間でも目を開けてこちらを見ていることが多いです。

今回のクイズではいろいろな虹彩をしたフクロウ類を出してみました。
フクロウの仲間では、虹彩の色が「黄色」「オレンジ」「黒」と分かれており、これは活動時間帯や生態と関係しているとされます。

黄色い眼は夜行性のフクロウ類に多く見られますが、アオバズクは薄暮などにも活動するタイプで、しかも夜行性傾向もあります。そのため暗い場所でも物を見やすいよう、目の構造が進化しています。

黄色い虹彩にはルテインやゼアキサンチンなどの黄色い色素が含まれており、有害な青色光をカットして網膜を保護しながら、視界のコントラストを高める効果がある・・・とのことです。これにより、薄暗い時間帯でも動く小動物を捕える能力が発達しているのだそうな


ちなみに、フクロウの虹彩は黒です。アオバズクよりも夜行性が強く、暗闇に対してさらに進化しています。
具体的には網膜にある桿体細胞(かんたいさいぼう)というのが非常に発達していて弱い光でも見ることができるのです。

おっと忘れるところでした。
赤色(または橙)の虹彩のフクロウ類、すなわちトラフズクや、クイズには出さなかったオオコノハズクは主に夕方や明け方に狩りをするタイプです。
彼らの目が赤いのは虹彩に赤系の色素が多いためで、これは薄明かりの時間帯の視覚に適した結果と考えられています。

さてさて、今回紹介するアオバズク(たぶんオスです)は、かなり変わった特徴を持っていました。調べても事例が出てこないので、極めて珍しい個体と言えます。

よ~く左目を見て下さい。わからんって?

これならどうじゃ?! 
このアオバ君は左目がオレンジ味が強くて左右非対称なのです。
これを「虹彩異色症(こうさい いしょくしょう)」といいます。

長ったらしい名前なので、それよりも知られている「オッドアイ」のほうがわかりやすいかな? そうです!あの白ネコやシベリアンハスキーなどによく見られるあの目のことです。
何のこっちゃ?と思った人は「オッドアイ」で検索すると、左右で虹彩の色が違う白ネコの写真がワンサカと出てきます。

英語では「odd eyes」と言います。これは「不揃いの目」「片方だけの目」といった意味で、「奇妙な目」として広く使われています。
odd」は、通常とは異なる独特な様子や性質を表す単語で 「変な」「風変わりな」「奇数の」といった意味があります。

撮る角度を変えても左右が非対称なので、間違いなくホンモノの「オッドアイ」!
アオバズクでこの事例はなさそうなので、超貴重な個体のようです!!

虹彩のメラニン色素の量が左右で違うことで起こり、色素形成に関わる遺伝子の影響とされています。



この巣立ちしたばかりのヒナたちは、ごくごく標準的な黄色の虹彩です。
親が今回のオッド・アイの子供たちではありません。

今回のオッドアイのヒナの虹彩がどうなっていたのかは、残念ながら確認できませんでした。

オッド・アイとはちょっと違う話だけど、かのエリザベス・テイラーの目の虹彩の色が非常にまれなバイオレットであるといわれているのは有名。美人であるのに、さらにそんな魅惑的な目をしているのです。「天は二物を与えず」のルールを守らないなんて、ずる~い!!

あなたの彼女の瞳はどんな色?えっそんなのジッと見たことないって? 話をする時はまっすぐに相手の眼を見ながら話さなきゃダメっすよ!!

そう言うおまえの同居人はどうかって? そりゃあなた、日本人の典型である「鳶色の瞳」に決まってんじゃん!…たぶんネ
















学力テスト Vol.473-1 君の瞳は何色?

 たまには頭かきクイズから離れてみましょう。

キビタキ

鳥は動物の中で最も眼が良い生き物です。基本的にはヒトの眼と同じような構造です。

ケリ

その眼球は非常に大きくて脳と同じくらいです。眼窩(がんか)と呼ばれるすり鉢状の骨に固定されているので、ヒトのように眼球を動かすことはできませんが、それはそれは素晴らしい視力を備えています。


さて本題、今回は私の大好きなフクロウ類に関するクイズです。

次のフクロウ類の種類(1~5)と、その目の虹彩の色(A~C)をつないでください。虹彩の色は何回使っても構いません。

図鑑をボ~っと見ている人、今回は図鑑を見ないで答えられますか?

1.フクロウ 2.アオバズク 3.トラフズク 4.コノハズク 5.コミミズク 

A.黄色  B.赤  C.黒




学力テスト Vol.472-2 その解答 オオジシギ ~ カミナリとヤギ ~ 

 オオジシギ ~ カミナリとヤギ ~ 

まずはジシギとは何ぞや?から。多くのシギ類のように干潟や河口には行かずに、内陸の水田や草原を好むことから「地鴫(じしぎ)」類と呼ばれています。

国内ではタシギ・ハリオシギ・チュウジシギ・オオジシギ・アオシギの5種類  ( いずれもシギ科タシギ属 )をジシギ類と称します。その中ではオオジシギだけが日本で繁殖をしていて、残りの種類は旅鳥として春と秋に国内を通過します。

オオジシギの繁殖の多くは北海道です。以前は国内繁殖の方が圧倒的に多いと言われていましたが、現在ではロシアのサハリンやウスリー流域などの方が多いとされているようです。

静岡県では、かつては朝霧高原でよく見られました・・・が、最近では激減傾向にあって淋しい限りです。それでも富士山麓の草原、とくに自衛隊の北富士演習場に行けば、毎年必ず出会うことができます。

早朝は枯れ木に止まって囀ります。

囀るといっても、彼の歌声は草原の小鳥たちのような美しいメロディではなくて「ジェ~ップ、ジェ~ップ」と、かなり変わったダミ声で鳴きます。

彼の魅力は何といっても、そのディスプレイフライトにあります!!
大草原の上空を「ズビャ~ク、ズビャ~ク」と鳴きながら飛ぶのですが、
急降下する時に尾羽を広げ、外側の尾羽への空気抵抗を増すことによって「ゴゴゴゴゴ~~~」という振動音を出すのです。

内側の尾羽に比べて、外側の尾羽は小羽枝( しょううし )で強力に結合されており、急降下の際の振動で音が出せるような構造になっているとのことです。何という驚くべき進化!!
どのくらい時間を掛けたらこのような進化を遂げることができるのでしょう?!?!
その轟音こそが、別名「カミナリシギ」と呼ばれる所以なのです。

タシギ

少々脱線:ちなみにタシギもディスプレイフライトをします・・・が、日本では繁殖をしていないので、それを観察することはできません。
オオジシギほどの迫力はなく「ヤギの声」に似た音を出すとのこと・・・ぜひとも一度聞いてみたいものです・・・と、ここまで書いて思いついたのは、英語検索での海外の情報!

国内版では見つからなかったけど、タシギならヨーロッパにもいるはず!ということで海外のネットを検索したら出てきました!!
おおっ、見つけた~! ビンゴ~~ 出てきたのはノルウェーのどこかの草原で、霧がかった日の出時間です。

検索は「Common Snipe Flight Display」でどうぞ! 
https://www.youtube.com/watch?v=fHeY2G_UYwQ&pp=0gcJCfwAo7VqN5tD

うわわわわ~~、ホントに可愛い「ヤギの声」じゃ~~!


オオジシギのディスプレイフライト

ディスプレイフライト時の典型的な声の変化は、その1「ジッ・ジッ・ジッ」と短い音を出す ➡ その2 急降下直前に「ジーッ・ジーッ・ジーッ」と長い調子で段々声を大きくしつつ高度をあげる ➡ その3 急降下しながら「ズビャ~ク・ズビャ~ク・ズビャ~ク」と3~4回大声で! + 尾羽を広げて「ゴゴゴゴゴ~」という振動音を出す!!   
この1から3を繰り返しながら、数分間にわたって飛び回るというパターンです。 

言葉で言い表わしても伝わらないので、ネットで「オオジシギ ディスプレイ」で検索してみて下さい。多少なりとも雰囲気が分かると思います。

ホンモノを見れば「うわわ~、す・すっげ~」と惚れ惚れしますぞっ!! 
だって、こんなすごいディスプレイフライトを見せてくれる鳥は他にはいませんから!!

F-15

航空ショーを見に行った人なら判ると思いますが、この「F-15戦闘機 愛称: EAGLE」が飛び出すと、寝ている赤ちゃんがひきつけを起こして泣き出す・・・という大騒音!
カミナリシギのディスプレイは、まさにこのF-15を連想してみて下さい。

オオジシギのディスプレイフライト

富士山を横目に見ながら、青空をキャンバスにして、目いっぱい「愛してるよ~~!!」とばかりに「ズビャーク、ズビャーク」と叫んだり、尾羽を目一杯広げて「ゴゴゴゴゴ~」とすごい風切音を立てて飛び回るのです。この轟音こそがメスには心を震わせるような素晴らしいラヴコールに聞こえるのでしょう。

あなたが、もし大好きな女性がいて愛を告白しなきゃいけないと思って悩んでいるのなら、思いっきりストレートに!!・・・そう、例えばQUEENの「I Was Born to Love You」 のようにコクッちゃいましょう~ 💛 🎵!🎵!🎵! 

もしかしたら振られるんじゃないか?とか、そんな臆病ないじけた考えは捨てて、堂々と!! 行け行けドンドンと突き進め~!! 

カミナリシギの雄大なディスプレイフライトを見れば、きっとそんな勇気をもらえますぞ!

時々ですが、複数で飛び回ることがあります。

この時は、何と何と一度に3羽での集団ディスプレイフライト!!
こんなスゴイのを見たのは1度きりですが、それはそれは壮観でした。

私の友人はオオジシギ君のディスプレイフライトを初めて見た時に、感動で涙を流していました! いやいや、ホントだってば!! 隣にいたんだから確かだって!
彼は少々、頑固者で通っているヤツだけど、やっぱりこのディスプレイには感じるところがあったんだろうね~! 
ん?そう言うお前は鳥を見て泣いたことがあるのかって? そんなのあるに決まってるじゃん!!
その話は以前書いたことがあるので、探してみて下さいまし。

オオジシギ君は「直接頭かき」です。

この時、絶対に頭かきをやってくれると思って構えていたんだけど、気合を入れ過ぎたのか指がひきつってしまい、ホンのちょっとシャッターボタンから指を放した瞬間に頭かきを!!
ぐぎぎぎ~~ 仕方ないので、この時のは隣で撮っていた友人の写真を借用しました。グスン

繁殖を終えたオオジシギは、初秋になると遥々オーストラリア東南部まで越冬に旅立ちます。遠州地方ではこの頃に、田んぼで見かけることがあります。

その時に撮れたのがこれで、しっかりと「直接頭かき」をしてくれました。

さあ、たくさん食べて体力を蓄えたらオーストラリアまでレッツラゴー!!
来年も富士山麓で会おうぜい!!













学力テスト Vol.472-1 頭かきシリーズ その89

ヒメシジミ ♂
標高が1000mほどの所に生息している美しいシジミです。
ホオアカ君が水浴びしているところにもいました。

ヒメシジミ ♀

さて本題。




この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。

※いつものような正面とか後ろ姿の写真だと答えにたどり着けないと思われるので、大出血サービスしました。


学力テスト Vol.471-2 その解答 ホオアカ ~ 控え目から変身 ~

 ホオアカ ~ 控え目から変身 ~


ホオアカ君が囀る時には、あまり高い木を好まずに低木で囀ります。
どうして?・・・今回はそのあたりについて、本人に聞いてみました。

「こんちい~っす! ボクってヒトから見たら、けっこう目立ちたがり屋のように思われてるようだけど、ホントは違うんです~。ボクって地味で、目立たないし~・・・」


「ここは大草原なので、元気いっぱいに囀らないと女の子にモテナイぞ~って言われてるんだけど、大声出して歌うってけっこう恥ずかしいんだよね~ だからついつい、こんなふうに恥ずかしさで目を細めたり、声が小さくなったりしちゃうんだよね~」

「ホントはノビタキ君みたいに、高いところで思いっきり囀ってみたいんだけど、我が家の家訓では「人生いつも控え目が大事!」って教わってるもんだから、ついつい・・・」

「でもこのままじゃ、ず~っと女の子にもてないのは分かってるんで、今日から心機一転して、前向きに積極的になろうかな!って決心しちゃいました。」

そうそう、何でもポジティブに考えなくっちゃね~ 君は一見すると地味だけど、言い換えれば渋いってこと! よくよく見りゃいい男なんだからさ~ ちょっと磨けばきっと光るぜい!・・・と、少々おだててみました。

まずは心身ともに清めるために水場へ直行!

女の子に気に入ってもらうにはまずは身だしなみから!!

体の隅々まで、これでもかとバシャバシャと

うがいもして、声がよく通るように

どうっすか? このくらいならまずまずっしょ?

おっと、最後にヘアスタイルも「間接頭かき」で、キメなくっちゃ!

水鏡で身だしなみの最終チェックも怠りなく!

「体も喉もすっきりしたところで、囀ってみたら・・・おおっ、我ながら美声じゃん!」

「自信が出てきたら、おのずから声も大きくなって周囲に響き渡るようになりました~!
うわわ~、女の子も近くへ寄って来てくれるようになった~! やった~、アチョ~!」

親愛なるホオアカ君へ
たとえ意中の女の子がそばに来てくれたとしても、決して浮かれてはなりませぬ。
「女心はままならぬもの。いつ豹変するかは神のみぞ知る!!・・・なのです故。
ですから、あくまで浮かれずに控え目に」という家訓を忘れないという事が大切なのです。じゃあ、これからもがんばってね~!!


学力テスト Vol.471-1 頭かきシリーズ その88

 

アオサナエ ♂

「アオサナエ」はサナエトンボ科の中でも、ひときわ美しいトンボです。
超憧れのトンボだったので、初めて見つけた時の感動や興奮はいまだに鮮明に記憶に残っています。
慌てて釣具店に駆け込んで胴長を購入して、川の中に座り込んで撮ったことを思い出します。


なぜ胴長かって? そんなのは、この写真を見ればわかるけど、陸地からじゃこれ以上はどうにもならないのです。鳥用の望遠レンズを使ってもこの程度!
昆虫はやっぱりマクロレンズでなきゃね~っ!!
近づくには胴長のカッパを着るか、海水パンツになるかの選択しかないのです。ジイジがこんなところで海パンになるのは、ちょっとおかしいので胴長という選択肢しかないのです。トンボ君たちは変な刺激を与えなければ近づくことができるのです。

アオサナエ ♀

そんなに山間部に行かなくても「岩がゴロゴロしている水深の浅い清流」というキーワードをヒントに探せば見つかるかも?

では本題!


この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。



学力テスト Vol.470-2 その解答 コアジサシ ~ 驚異の成長スピード ~ 

 コアジサシ ~ 驚異の成長スピード ~ 


コアジサシ君たちは4月下旬になると、遥か彼方のオーストラリア方面から繁殖のために日本を目指して飛んで来ます。

コアジサシは東南アジアからオーストラリアまで広く分布しているのですが、日本以外では個体数が少なく、確実な繁殖情報が少ないのです・・・ということは日本が繁殖の中心地であると言えるのです。
今回はそのヒナたちにスポットを当ててみました。

孵化して2日目のヒナたち 体長は約5~6㎝ほど。

孵化後、2時間ほどで乾く幼綿羽で厚くおおわれています。
そして24時間以内には親の後をついて歩くようになります。

早成型なので、目は開いていて視力や聴力も発達しています。ただ、体温調節能力がまだ不完全なので、寒かったり雨の場合は親のみが頼りです。

1週間後
もうアチコチ歩き回ります。

2週間後
かなり早足で歩けるようになりました。

3週間後でも、まだ親からのエサが頼りです。

上空で親の声がすると「かあちゃ~ん、ここだよ~ 早く早く~!腹減って死にそうで~い!」と、大騒ぎで反応。

ママがご馳走を持って来てくれました。

ちょっと大きめですが、何とか飲み込めました。

初飛翔の瞬間です!!
飛べるようになるのは3週間目あたりから。
最初はせいぜい50mほどで、すぐに着地してしまいます。


それが、翌日にはもう砂浜の上空をビュンビュンと飛び回っています!!
何という成長スピード!!!

兄弟一緒に水際をお散歩
すぐ近くにサーファーがいたって全然気にしません。

おっと突然の「直接頭かき」・・・何とか間に合いました!! フィ~

ここまでは単に飛べるようになったというだけで、まだ第1関門を突破しただけ。
これで一安心してはいられません。

このあとは親と一緒に海に出て狩りの練習が待っています。
自分で魚を獲ることができるようにならなければならないのです。

コアジサシは水面近くや水深が50㎝ほどのところにいる小魚を探しながらダイビングで捕えます。これができなければ即、死に直結してしまうのです。


9月下旬から10月頃には越冬地への数千キロの大旅行が待っているのです。
それまでにダイビングの技を磨き、体力をつけて、しっかりと飛べるようにならなければいけません。

渡りの ルートについては,どこを経由しているのかまだはっきり判ってはいません。
琉球列島や台湾、そこから南下してフィリピン諸島などを経由しているのだろうという推測は立っています。
そこからさらに越冬地のパプアニューギニア、オーストラリアやニュージーランドなどへ 渡っていくのです。気が遠くなるような距離です!!

それにしても3週間前、産まれたてのヒナの頃は5~6㎝かそこらでモフモフだったのが、こんな短時間で大空を自由自在に飛べるなんて、ホントにものすごいこと!! オーマーガーです!!

来年も元気で戻って来ておくれ~~!!