学力テスト Vol.482-1 頭かきシリーズ その96

 

キアゲハ
つい先日、お隣りのランタナに翔んで来ました。

まだ尾状突起もどこも擦れていなくてピカピカ!! 
きっと羽化したばかりなのでしょう。

尾状突起はアゲハチョウやシジミチョウの仲間に見られますが、それは捕食者の目をあざむく効果だとか、飛翔の安定化、または健康で魅力的なサインとして機能する・・・・と、考えられています。


さてさて、本題です。
この鳥の ①名前 ②頭かきの種類 さらに③足指の形 ④水かきの種類 の4問について答えて下さい。
頭かきには「直接頭かき」と「間接頭かき」の2種類があります。


足指の形

水かきの種類

上記2枚のイラスト資料「鳥のフィールドサイン 観察ガイド」箕輪義隆







学力テスト Vol.481-2 その解答 キセキレイ ~ 糞嚢(ふんのう)~

 キセキレイ ~ 糞嚢(ふんのう)~

キセキレイ ♂

漢字で書くと「黄鶺鴒」。そもそも「セキレイ」の語源とは?!
「鶺鴒」は中国での音読みをそのまま表したもので、古くは「脊令」といいました。
「脊」は脊椎のことで、すなわち骨や背すじのこと。
「令」は「冷たい」とか「澄んだ」という意味。
「背筋がまっすぐに伸びた鳥」という意味です。 

そもそも鳥類の背骨は、背骨(脊椎骨)が完全にくっついていて全く動きません。これは鳥の最大の特徴である飛翔に最も適応した進化の結果なのです。

鳥の背骨は胸から腰までの骨を一体化させ、1本の軸になっています。これによって飛翔の際に体をまっすぐに保つためのエネルギーを節約できたり、バランスを保つのも容易になるという大きなメリットを生み出しているのです。

キセキレイ ♀

いつも「アンタは姿勢が悪くて、猫背でみっともな~い!!」と言われているので、セキレイ君のまっすぐな姿勢を見習わねばなりませぬ。

さて、今回の本題である「糞嚢(ふんのう)」について。

鳥は「総排泄腔(そうはいせつこう)」という生殖器と排泄器官を兼ねたものを持っています。総排泄腔から出される鳥のフンは尿と混ざり合っています。
水気の多い消化カスのほとんどは尿で、尿酸によって白っぽくなっています。

鳥は大腸が短く、体内にフンを貯めずに絶えず排便します。散歩をしていたら上からベッチャ~っとフンが落ちてきた! という経験はありませんか?
我が家の駐車場はちょうど斜め上に電線があるので、風向きによってはムクドリやカラスのフンで車がベッタリとフンだらけ・・・ということがよくあります。ホントいやになります、フン!

赤塚不二夫の「おそ松くん」じゃないけど、六つ子です。

山間部の、とある橋から見て数十メートル先の対岸の石垣の隙間で産まれました。よくもまあ、こんな開けっぴろげの所で育てているものです。カラスやヘビなどの天敵に襲われずにヒナたちは元気よく育っています。
よほど両親の天敵へのガードが堅かったのかな?


「ママ~、うんこ出る~~!!」
すると、すかさず親が「早く早くこっちにお尻を向けて~」と指示!

ヒナの排泄腔から出されたウンチは、なぜかプリプリのマシュマロのようです。

孵化後しばらくの間、ヒナのフンは ゼリー状の薄い膜に包まれて排出されます。これを「糞嚢(ふんのう)」と呼びます。
ヒナが巣立ちすると巣を清潔にする理由がなくなるために、糞嚢は作られなくなります。


親はヒナがフンを出すとすぐに巣の外に運び出します。
時には飲み込むこともありますが、これにも理由があって幼鳥は消化が未発達なので栄養分がまだ残っている場合があり、それを無駄なく再利用しているのです。

フンを運び出す行為は、巣内を清潔に保つことによってフンの臭いや汚れで捕食者に見つかるのを防いでいます。
キセキレイは水辺に近い所で営巣していますが、このフンを離れた場所に捨てに行きます。

おっと、左の子が親を待ちきれずにフンを出そうとしています。
それでも、お尻は本能的に巣の外に向けています。

親はすかさずにそれを拾い出します。

あやうくセーフ!!
両親は一日中、ヒナのためにエサ探しとウンチの処理に追われています。

ヒナの頭かきが撮れました!!
やっぱり親と同じく「間接頭かき」でした!


巣立ちして数日経ってから見つけたヒナで、尾羽の長さも親の半分以下。まだまだ短距離しか飛ぶことができません。


ヒナはまだ自力でエサを捕ることができません。子育ての苦労はまだしばらくは続きます。どちらも、もう少しだからガンバレ~~!!













         

学力テスト Vol.481-1 頭かきシリーズ その95

今年も庭のエゴノキにヤマガラ君が来てくれました。

8/27 昨年と1日違いの来訪というのも驚きです。
食べ頃の時期というのを、しっかりと把握しているのはさすがです!

エゴノキの実を両足でしっかりと握って果肉を突いています。

エゴノキという名前は、果皮に「サポニンという有毒物質が含まれていて、それを口に入れると喉や舌を刺激してエグいことからきています。

ヤマガラ君は果皮に毒があることも承知しているので、果皮はちぎって捨ててしまいます。

種子には毒がなく、脂質もたくさん含んでいて栄養たっぷりです。

持って行かずに、その場でおいしそうに食べていました。
今年は実がいっぱいなっているから存分に召し上がれ~

 では本題。

この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきは ①  直接頭かき ②  間接頭かき のどちらかです。














学力テスト Vol.480-2 その解答 キビタキ ~ 紫外線で見える世界 ~

 キビタキ ~ 紫外線で見える世界 ~

キビタキ ♂

キビタキは絶大な人気を誇っていますよね。

♂はなぜこのように美しいのでしょう。それは鳥もヒトと同じように色の識別ができるからなのです。いえいえ、それだけではありません! 鳥には何とそれ以上にヒトが見えない紫外線色域まで見えているのです。

♂の色彩が美しい理由・・・それはひたすら♀に自分をアピールするためです。♀に選んでもらえないと自分の子孫を残すことができません。そのためにひたすら美しくありたいと努力しているのです。

ヒトは光の3原色である「赤・緑・青」を見分けることができます。それに対して鳥類の多くは4原色「赤・緑・青+紫外線域」を見分けることができると考えられているのです。

紫外線域」が見えるという事で、パートナー探し、エサ探しなどに役立っています。♀は♂の羽毛への紫外線の反射を利用して、健康状態が良いか?などの判断材料にしているのです。

いつも水浴びをして、汚れや虫を取り除かねばなりませぬ。


「昨日出会ったあのカワユイ娘と仲良くなりたい~~! 気に入ってもらえるには、もっと身だしなみを整えなくっちゃなんねえ~!」と、いつもよりも気合を込めてバシャバシャと・・・。

「こんなもんでいいかな? いやいや、あの娘はすっごくきれい好きって聞いてるからな~」

「これでもか~」とばかりに、さらに念入りに!

「う~ん、我ながらイイ男になったぞ! ムフッ」

黄色い部位の鮮やかさは♀への最大のアピール!! この美しい黄色は食べ物から得られる色素で得られたりしますが、健康状態によっても左右されます。
従って美しい♂ほど「よく餌を捕れる元気者」「病気に強い健康体」というように♀からの評価点が高くなるのです。

姿も大事ですが、さえずりも重要な♀へのアピールポイント!!

前回、問題でツクツクボウシを載せたのには理由があります。
決して物真似をしているわけではありませんが、ツクツクボウシが鳴く「オーシーツクツク」とよく似たようなメロディラインや、コジュケイの鳴き声を連想させる旋律など、いろいろなバリエーションを取り込み、あの手この手で♀に気に入ってもらえる楽曲を奏でるのです。さすがは「森の歌姫」と呼ばれる所以です。

キビタキ ♀

果たして彼女には♂の献身的な努力が届いているのでしょうか?
それにしても、やけに♀って地味~・・・なんて思ってはいけません。この色彩こそ抱卵や子育てには絶対不可欠だという証明なのですから!! 
♀からしたら、♂なんて遊びほうけているチャラ男にしか見えないのかも?!?!


この、のんびりと「間接頭かき」をしているところを見ると「フン!アンタなんか目じゃないわい!わたしゃ、もっとイイ男を待ってるんだいっ!とっとと他へお行き~!」と思われているようです。まだまだ♂の努力が報われる日は遠いようです。
♂たちよ、明日に向かってガンバレ~~!!






学力テスト Vol.480-1 頭かきシリーズ その94

ツクツクボウシ

今日、我が家の庭に何と何と! 初めてツクツクボウシが来てくれました。

夏休みの中盤・・・8月の旧盆の頃、あの騒々しいクマゼミの声が少々ピークが過ぎた時期になると鳴き始めます。
小学生の頃はこの声が目安で、ツクツクボウシが鳴き始めると「うわわ~、そろそろ夏休みの宿題を始めなくちゃなんね~・・・」と思ったものでした。
そのツクツクボウシの声も9月に入るとピークを過ぎたのか、徐々に弱々しい声に聞こえてきます。


 さて本題。

この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。頭かきは ①  直接頭かき ②  間接頭かき のどちらかです。




学力テスト Vol.479-2 その解答 イカル ~ 大嘴鳥 ~ 

 イカル ~ 大嘴鳥 ~

「イカル」君


「イカル」を漢字で表すと、一般的には「斑鳩」ですが、「鵤」とも書きます。
「鵤」はその字のとおりで、「硬くて角のような嘴を持った鳥」という意味です。

イカルの名前の由来としては、かの有名な法隆寺のある「斑鳩の里(いかるがのさと)」という地名にちなんだという説が一般的です。
聖徳太子もお気に入りの鳥で、太子が制定した「十七条憲法」の第一条「和をもって貴しとなす」の文言はイカルの仲睦まじい様子がヒントになったと伝えられているのだそうな。
                        (参照 「日本野鳥歳時記」大橋弘一)


顔の半分がくちばしのようです!!

くちばしは元々は上下のあごが伸びた骨です。それを「ケラチン」という角質で覆っています。ケラチンってどこかで聞いたことがある名前? そうです、ヒトの爪の主成分もケラチンという蛋白質でできています。

この巨大なくちばしは、硬くて大きな種子を割るのに適しています。そのくちばしを最大限に有効に使うために、力強いあご周りの筋肉が発達しているのです。

英名は「Japanese Grosbeak」。その名もズバリ「大きい嘴の鳥 」。何だか味もそっけもない名前です。まあ、外国のネーミングに情緒や粋を求めちゃいけませんがね。

イカル君の頭かきは初登場です。


最後の足をたたむ動作で、風切羽の後ろから足を回す「間接頭かき」というのが確認できます。

浜松の今日は40.2度という超々酷暑!! 風邪をこじらせたってこんな数字は出ません!
これじゃ一歩も外に出ることができません。
結局、今日もアイスクリームを食べながらの映画鑑賞でした。

少しでも涼しさをお届けできるように、先月に富士山麓で撮ってきたイカル君の水浴びを!

体もそこそこ大きいので水浴びは豪快です!

バシャバシャという音まで聞こえてきます。

彼もかなり暑かったのか、5分ほど入浴していました。

彼らは8月現在、まだ涼しい山の中で生活中。
冬になればまた姿を見せてくれることでしょう。


イカル君はこの太い嘴からは想像できないような美しい声で囀ります。
聴いたことがない人はぜひネットで検索してみて下さい。







学力テスト Vol.479-1 頭かきシリーズ その93


アオスジアゲハ
夏が一番似合うチョウです!!

アゲハという名前がついているのに、翔ぶスピードはタテハなみ!!

子供の頃の昆虫採集でも、この素早しっこいチョウを捕まえるのにはなかなか苦労した思い出があります。


では本題。
この鳥の名前と頭かきの種類を答えて下さい。
頭かきは ①  直接頭かき ②  間接頭かき のどちらかです。













学力テスト Vol.478-3 その解答 アオバト その2 ~ 海辺に舞う緑の宝石 ~

  アオバト ~ 海辺に舞う緑の宝石 ~

さてさて、いよいよ本題!!

海鳥は別として、アオバトは国内では唯一、海水を飲む鳥として知られています。

海水ですよ!海水! 子どもの頃はよく清水の三保海水浴場に連れて行ってもらいましたが、間違えて海水を飲んでしまった時の、あのしょっぱかったこと!! 当時は学校にプールなんて洒落たものはありませんから、夏と言ったら海へ海水浴に!

海水の塩分濃度は3.5%、そしてヒトの体内にある水分70%の塩分濃度は0.7%です。3.5%というのは1Lの水に対して大さじ2杯以上の塩をドバ~ッと入れた水ってこと!! そんなのを飲んだら腎臓が壊れてしまいますよね!

私は小学生の頃に腎臓を悪くしてしまい、数ヶ月の間、塩分は厳禁で毎日毎日、卵焼きだけという食生活を味わったことがあるので、塩分の怖さは他の人よりも身に沁みて痛感しておりまする。

まずは海鳥について・・・カモメなどの海鳥は平気で海水を飲みます。

参考資料「鳥についての300の質問」
※下段のイラストではウミツバメとウミウの言葉が逆になっていて、誤植です。

イラストで示した黒い部分、すなわち海鳥たちのおでこや、目の前あたりには「塩類腺」と呼ばれる機能を備えています。
「塩類腺」は食物と一緒に入った血液中の塩分をろ過する役割を持っています。ろ過された塩分は濃い塩水となって、鼻孔を伝ってくちばしの先から排出されます。腎臓よりもはるかに効率よく、余分な塩分を濃縮して体外に出せるのです。

さて、いよいよ我らがアオバト君の登場です。
いつもは山でひっそりと暮らしていて、ほとんど見ることが難しい彼らを観察できる絶好のチャンスです! 彼らは5月頃から10月にかけて、山からわざわざ海水を飲みに群れでやってきます。

「なぜわざわざ海水を?」という理由に対して、最も説得力がありそうな説が「水分の多い果実を好んで食べるから」と言われています。

「ズアカアオバト」が、サクランボを食べています。
※アオバトのイメージ写真として参考にして下さい。

海水を飲む初夏から秋までの期間にアオバトが主に食べているのは、ヤマザクラやノブドウといった水分の多い果実です。
その果実にはカリウムが多く含まれていますが、ナトリウムは含まれていません。そのためカリウムが過剰に体内に摂取され、ナトリウムとのバランスが崩れてしまうのだというのです。

動物の体は、血中にナトリウムとカリウムの双方がバランス良く存在していないと、体の機能や調整を維持できません。つまりナトリウムなどの摂取によってミネラルバランスを調整しているのです。
※ミネラルというのは体内では合成できない必須栄養素の一種で、ナトリウムはそのミネラルの中の1つです。

そこでアオバト君は海水からナトリウムを体内に取り入れて、ミネラルバランスを保つ必要があるために飲んでいるというのです。
地域によっては、ナトリウムを含んだ温泉や鉱泉水を飲むという行動も見られます。
理由は同じです。

アオバト♂が海水を吸水中。

水の飲み方:ここでまたアオバト君の特殊能力が発揮されます。

ハト類は他の鳥と違って水に嘴を入れたら、すくい取らないで、下向きのままゴクゴクと飲むことができます。哺乳動物が水を飲むのと同じです。
このような飲み方ができる鳥は日本国内にはいません! 世界を見回してもカエデチョウの仲間とサケイの仲間だけなのです。
簡単に言うと、舌が注射器のピストンのような働きをして、口の中の圧力を下げられるので水を吸い上げることができるのだそうな。 そしてなぜこのような飲み方ができるのか、本当のことはわかっていないのです。     - 参考「となりのハト」柴田佳秀著 -

そんなわけでアオバトたちは、毎日海水を飲みにやってきます。



ここ神奈川県大磯の照ヶ崎海岸では、そんなアオバトたちが一日に数百羽も飛んでくるのです! どこにそんなにいたのかと思うような数がひっきりなしにやってきます。調査によるとどうやら丹沢の山地から飛んで来ているようです。

アオバト ♀

アオバト ♂

海水を飲むと言っても、そんなに簡単な話ではありません。
海面が穏やかならともかく、こんなふうに波の高い日もよくあるのです。

海水を飲むのに夢中になって、おぼれて死んでしまうのもいるのだとか・・・

ハヤブサ 幼鳥

しかも時々、ハヤブサもアオバト君たちを狙って飛んでくるのです。
おちおち海水を飲んでなどいられません!

アオバト ♂ ×3

アオバト ♂ ×2

ある専門家によると「海水をゴクゴクと飲むのは明らかにナトリウムの取り過ぎで、カルシウムやヨウ素を取り込んでいるのかもしれない。」とのことでした。
もちろんアオバト君たちには腎臓があります。それでもゴクゴクなのです!

屋久島以南の南西諸島にはアオバトの近縁種で「ズアカアオバト」がいますが、海水を飲んだという記録はないとのことです。アオバトと同じような果実食なのになぜ?? と、されています。

ホントのところはアオバト君たちに聞かないと判らないことばかり! 謎多き、そして魅力あるアオバト君なのです!