ヤマガラ ~ オムスビ君が来た!! ~

 ヤマガラ ~ オムスビ君が来た!! ~

 外は相変わらずの灼熱地獄!! 「老人は外出を控えるべし!」の教えを守って、今日もエアコンの効いた部屋の窓際でドデンと椅子に座って、アイスを食べながら読書をしていると、コツコツコツと叩く音・・・続いて、「ニーニー」と聞き覚えのある声が!! 

 最初に我が家に来たのは3年前、それからは毎年のように来てくれるのですが、今年は2羽で来たりもしてくれるのです。例年よりも2週間ほど早い訪問です。

 不思議なのは、近くにある佐鳴湖にもエゴノキがたくさんあるのに、そちらでは見かけないということ。この辺りでは意外と少数派なのかも?

エゴノキを探すと・・・いたいた~!

エゴノキの実を採っています。

木のてっぺんにある実を

今年のエゴノキは大豊作です!

 エゴノキという和名は、果皮に含まれている毒素を口に入れると、喉や舌を刺激してエグイことに由来しています。


ヤマガラ君は果皮に毒があることも承知しているので、果皮はちぎって捨ててしまいます。

 エゴノキの実には「サポニン」という有毒物質が含まれています。植物が昆虫や鳥などの食害から身を守るために毒をつけるという事はよくあることです。

 昔はこの実をすり潰して川へ流すと魚がマヒして浮かんでくるので、それを獲ったという漁法もありました。


こげ茶色の種子が出てきました。これがお目当て!


 種子には毒がなく、脂質もたくさん含んでいて栄養たっぷりでアーモンド風。
おいしそうに食べていると、こちらもビールのつまみに欲しくなります。

とにかく近い!近すぎます!
 
 警戒心は全くなくて、時々「ん? オイラに何か用?!」とジッと見つめてくるのです。
三角のおむすび頭も可愛いったらありゃしね~~


 オベリスクに止まった時は、わずか1m! うわわ~、それ以上近づいたらピントが!!
この後、こちらに気付いて窓際まで来てホバリングをして部屋の中を覗きにも来ちゃったりと大サービスです。

 エゴノキの実は、本によるとヒヨドリやキジバトも食べる・・と書いてはあるけど、実際には見たことがありません。

 それにしても果皮をかじった時に口の中が毒でしびれるとか、エグくならないの? 鳥の味覚細胞はヒトよりも少ないので、感じないのかな? ヤマガラ君だけは特別な仕組みを持ってるのかな?

とにかくエゴノキはヤマガラ君の独占食堂なのです。まあ、好きなだけ食べてくれい! とにかく、あと1ヶ月ほどは来てくれそうです!! デヘッ!









学力テスト Vol.409-1 頭かきシリーズ その53 ~ 400回記念の最終回 その10~

 『クイズの連載400回達成記念 & 頭かきの撮影200種達成記念』と称して、珍鳥をメインに出してきましたが、今回でその特別シリーズは終了といたします。

 また次回からは、普通種の「頭かき」を含めて、いろいろな角度からのクイズを出題していきますので、皆さまにおかれましては、どうぞ引き続きご愛読くださいますように。

ではでは、いつも通りに「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えてください。

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

A

B




学力テスト Vol.408-3 その解答 アマツバメ ~ 何でも空中で ~

 アマツバメ ~ 何でも空中で ~

アマツバメのフォルムは「カッケ~~!!」

ハイスピードで飛ぶにはこの形しかない!って感じです!!

 ツバメという名前が付いていますが、スズメ目のツバメ科とは分類上ではかなり離れており、ヨタカに近いグループで、アマツバメ目のアマツバメ科です。


和名の漢字表記は「雨燕」

 意味は雨の気配を敏感に察知して、雨の降っていない場所に素早く移動することから付けられました。もちろんエサとなる昆虫が天気に左右されるからです。

ここは繁殖地の上空
300羽を越す大群がひしめいています。

大勢いれば当然もめることも!

拡大すると、こんなことをしてました!

アチョ~~! スペシャル・フライングキック~~!!

後ろからもキックの嵐!
タイガーマスク直伝のローリング・ソバット~~!!

おっと、これは「空中交尾か!?!?」

 「オメエさん、何をバカなことを言ってるんじゃ?」と思っている方はいませんか?
いやいや、アマツバメ君たちは何でもかんでも空中で活動するのです。
 エサ取りはもちろんのこと、巣材の材料である鳥の羽を集めるのも、挙句の果てには交尾まで空中ですると言われているのです。
 学名も「Apus pacificus 」で、意味は「太平洋の足のない鳥」と、特徴を言い表しています。
 
 アマツバメは繁殖期以外は空中での生活がほとんどという特殊な鳥なのです。当然ながら、さすがに眠る時は違うだろ?・・・と思うでしょうが、以前「オオソリハシシギの渡り」で書いたように、アマツバメも「半球睡眠」という特技を持っているのです。

「何じゃ?そりゃ?!」というあなたに再度説明すると、脳の半分は寝て、残りの半分は起きていて、それを交互に繰り返しているのです。

これはヒラタアブの仲間が「空中交尾」しているところ

 アマツバメの空中交尾写真なんて、今後どんなに頑張ってみたところで、絶対に撮れっこないと思っておりますので、賢い読者の皆様は、このヒラタアブの代用写真から想像力を発揮してみてください。

あれれ? アマツバメの様子が変です。


喉をいっぱいに膨らませているようです。


アマツバメは口が大きく、飛びながら昆虫を一度に大量に捕えます。


素嚢 (そのう)」と呼ばれる一時貯蔵場所がパンパンに膨れています。捕まえた虫を巣で待つ可愛いヒナたちへ持ってきたのです。

さて、本題!!

アマツバメ君の足が見えますか?

これは、まさしく頭かきをしているところ・・・と確信しているのですが!?!?

 文献によると、アマツバメ類は「間接頭かき」と書いてあります。
でもそれは止まっている場合のことで、まさかいくら器用なアマツバメ君でも飛びながら「間接頭かき」はできっこありません。
 コシアカツバメの頭かきを撮った時でも、地上では間接、飛翔では直接で頭かきをしておりました。忘れた人はブログ内で検索すれば出てきます。

アマツバメ君たちは、8月上旬になると繁殖地を離れていきます。
また来年の春に元気で戻ってこいよ~~!!























学力テスト Vol.408-2 その解答 アビ ~ 鳥持網代(とりもちあじろ)~

 アビ ~ 鳥持網代(とりもちあじろ)~

 まずは「広島県の文化財 - アビ渡来群游海面」でネット検索をしてください。ここに「鳥持網代」・・・ありていに言うと「アビ漁」の写真が紹介されています。

 写真では小舟の周りに、多数の海鳥が浮かんでいます! そして、この海面の下にタイやスズキがごっそりといる!というのです。

 「アビ漁」とは ①イカナゴなどの小魚の群れを狙ってアビが潜水 → ②イカナゴは海中深くへ逃げる → ③そこではタイやスズキが大好物のイカナゴを待ち受けている

 漁師は海上にいる多数のアビを目印にして、時には数十隻以上でその周りを円陣で取り囲み、そこでタイの一本釣りをする ・・・というわけです。江戸時代から続いたその風景は残念ながら昭和60年代前半には消滅してしまったとのことです。

ただし、ここでいう「アビ」という鳥の多くは、この「シロエリオオハム」とのこと。

 シロエリオオハムとは、国内で見られるアビ、オオハム、ハシジロアビの4種類からなる「アビ類」のⅠ種です。瀬戸内海ではアビよりもシロエリオオハムの方が多いのです。

さて、今回の主役の「アビ」君はこちら。

4月に天竜川河口に来てくれました。
ヒトを警戒することなく悠々と泳いでいます。

「アビ類」は潜水が得意です。
足は水かきも大きくて、体の後方についています。

 英名では以前は「Red - throated Diver」と呼んでいました。 
Diverの名前のとおり潜水が得意で、長い時には2分以上も潜り、はるか50100mも離れた場所に浮上したりします。  
ここ10年ほど前に「Red - throated Loon」に改名されています。

ポカポカ陽気に、のんびりと居眠り

あれあれ、あくびまで!

アビ君は「直接頭かき」

今回のアビ君の虹彩は、濃いあずき色程度。
まだ若いんだろうな、きっと。

これは別の時期に撮った成鳥です。

ルビーのような真っ赤な虹彩をしています。


 いつもは4月頃までには繁殖地へ渡ってしまうために夏羽を見ることは叶いません。
夏羽は英名のとおり喉が赤く変化するのですが、それを国内で見られるチャンスは滅多にないのです。

 10年前には、銚子で5月まで残っていてくれた個体がいて夏羽が見られたとのこと!
ああ、知らなんだ!! 知ってりゃすっ飛んで行ったのに~! 是非とも見たかったな~!

「Red - throated Loon」で検索すれば、そんな写真がごっそりと見れますぞっ!!

 ちなみに、広島県の「県の鳥」はアビです。
皆さんの住んでいる「県の鳥」は知ってますか?







 







学力テスト Vol.408-1 頭かきシリーズ その52 ~ 次回でおしまい 400回記念 その9~

  400回記念と称して珍鳥をメインにシリーズで連載してきましたが、ぼちぼちタネ切れになるので次回を最終回といたします。

 なお、普通種としての頭かきシリーズはまだしぶとく続行します。

さてさて、いつも通りに「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えてください。

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

A

B


鳥枯れの時期の過ごし方 ~ おっとりウチワ ~

  鳥の夏枯れの時期は暑いから家でジッとしている・・・なんて、もったいないことはしません。残された時間の関係上、いくら暑い時でも熱中症なんて何のその! とにかく外に出出る! 鳥がいなきゃ虫を撮影!・・・ということで、ここ数日はトンボを撮りに行ってみました。

ウチワヤンマ
しっぽの先端に突起物がくっついているのが特徴です。 


 しっぽ(トンボの場合は「腹部といいます)、すなわち腹部の第8節に飛び出ている「ウチワ状のビラビラした突起物」(正式には「葉片といいます)が特徴的で、名前の由来もここからきています。

ウチワの中に黄色部があります。

こちらは近縁種のタイワンウチワヤンマ

ウチワが小さくて黒いだけで黄色部がありません。


翔んでいても、よ~く見ればウチワの部分が大きくて識別できます。
わかるかな? わかるよね?!

 このウチワヤンマにどうも異変が起きているようです。この2種は同じ環境にいるので行けば、ほぼどちらも見ることができたのですが、ウチワが見当たりません!

 タイワンは1996年が静岡県での初記録です。これを初めて見た20年ほど前には「うわわ~~!!見た見た! やった~~!! これでハナマルじゃ~!!」と単純に喜んでいたのですが、それからわずかしか経っていなのに、タイワンしか見られなくなってきたのです。
 先日、トンボのメッカである磐田市の鶴ヶ池で、専門家に会ったので聞いてみたところ「ウチワ? う~ん、いることはいるよ」とのこと。

ウチワの方が体格は一回り大きいのになぜ? タイワンの方が態度がでっかい? そ
んな心配を胸に調べてみたら・・・ありました! やっぱりです!!

「ウチワヤンマの縄張り域にタイワンウチワヤンマが侵入しても追うことをせず,筆者がウチワヤンマを捕虫網の柄で枝をゆすり飛ばしてやると,近くにいたタイワンウチワヤンマに次々に追われてしまった」と記しており,平井(1980)は,「1968年徳島市では,(タイワンウチワヤンマが)溜池・休耕田・水田間の小川等いたるところに普通に見られ,在来のウチワヤンマが,侵入者のタイワンウチワヤンマに駆逐されたのではないかと思われるほど著しく減少した」と記しています。 
         ネットより引用 温暖化?北上するタイワンウチワヤンマ 改訂版ー

大和撫子よ、台湾娘に負けるな~~!!












学力テスト Vol.407-3 その解答 オオカラモズ ~ 月とスッポン ~

 オオカラモズ ~  月とスッポン ~

いつも見かける「タダモズ」君

今回の主役「オオカラモズ」君

 同じ枝に同時に止まるのは、モズ君がビビってしまい別々の写真になってしまいました。
そりゃそうです! ビビるのは当たり前で、モズ君の全長が20cmなのに対してこちらは31cmと1.5倍もでっかいのです!! 

 体格、態度、注目度など、どれをとっても敵うはずがありません。まさに「月とスッポン」しかも相手はとびっきりでっかい「スーパームーン」なのです! 

 とにかく相手が悪すぎます。こんな時は、おとなしく縄張りを引き渡し、彼がいなくなるまで、ひっそりと、地面に「の」の字を書いていじけながら、畑の隅っこでバッタでも探して暮らすしかありません。

和名の漢字表記、「大唐百舌」の「唐」は当然ながらお隣の中国のことです。

英名は「Chinese Grey Shrike
こちらにも「Chinese」というのが出てきます。繁殖地だから当然かな!

そして学名は?・・・というと

Lanius sphenocercus 」意味は「くさび形の尾のモズ」
学名の「Lanius」の意味は「引き裂くもの」すなわち「モズ」の嘴は、猛禽のそれと同じで先端部には返しまであるのです。小鳥の首をちょん切るなんてお茶の子さいさい!!

オオカラモズはアジアの中国や朝鮮、ロシア南東部、日本あたりでしか見られません。

 モズ類は、そのどう猛さからイギリスでは「屠殺人の鳥」といい、ドイツでは「絞め殺す天使」と呼んでいます。日本でも江戸時代にはモズは凶鳥と言われ、モズが鳴く夜は死人が出ると信じられていたとのことです。


彼はよくホバリングをしてくれました。


横から見てもカッコイイね~~!!

獲物を見つけると「シュワッチ~」と

獲物へと一目散!!
動きの一つ一つが美しくて、ため息が出てしまいます!!

当然のことながら「頭かき」の撮影は至上命題!!

 ところが、「頭かき」をしてくれたと思った瞬間に思わず指に力が入ってしまったのか・・・なんとピンボケ~~!!! チャンスはこの一回しかなかったのです!! うわっわ~、撮り損ねてしもた~~、泣きたくなります!

 その直後から姿を見せなくなってしまい、「あ~あ、千載一遇のチャンスを逃してしまったか~!」と万事休す!! 悔やんでも悔やみきれずに己の未熟さをののしっていると・・・何と何と、1週間ほどして戻ってきたという朗報が入ったのです!!


 今度こそ、ずぇったいにピンボケは許されません!!
撮れるまでチャンスをひたすら待つ時間も長かったけど、この「間接頭かき」の写真の出来栄えを見たら、そんな苦労は吹き飛んでしまいました!!

戻ってきてくれてありがとねっ!!!

※ー1 今回、来てくれたオオカラモズ君は風切羽にやや褐色味が残ることや、胸の色が成鳥のように真っ白ではないことなどから判断して、第1回冬羽の可能性が高いと思われます。
ちなみに静岡県初記録のようです!

※ー2 次回のスーパームーンは今月末の31日です!! お見逃しなく!