アカハラダカ
ようやっと待ちかねたタカの渡りが始まりました! 8月以降は撮るものが少なくて待ち焦がれてたな~
そんなタカの渡りの中で、この辺りでも今頃から10月中旬の頃に「アカハラダカ」という小型のタカが、ごくたまに見られることがあります。チャンスは年に一度あるかないかで、それも1~2羽程度。
日本での繁殖記録はないので、浜松の東から飛んで来るのは中国大陸経由で日本を通過して南方に向かう個体なのでしょう。
※南方というのはフィリピン以南の東南アジアの各地のことで、その周辺で越冬します。
そんなごくごくまれなタカが長崎県の佐世保に行くとワンサカと見られるのです。一度は行きたい・・・いや、どうしても一度は行かねばならぬっ!!
それにしても遠い!すっごく遠いんだよね~! 浜松から佐世保までは960km!! 高速道路をぶっ飛ばしても12時間! 出るのはため息ばかりなり~
現役中は週末しか動けなかったので、タカの渡る予想日や天気と、こちらの折り合いの取れる日の調整がかなり困難! 自然相手なので最低でも3泊はしなくちゃいけないし・・・
そんな思いを何十年もず~~っと抱いてきたけど、今回そんな思いの同志が首尾よく3人集まりました。「今度行くつもりなんだけどさ~」「ん? んん? 行く行く~ 絶対に行きたい~~!!」「オラも~~!!」話のまとまるのが早いことと言ったら・・・!
車で行くのは大変なので、新幹線とレンタカーを選択、これで気にするのは天気のみ!!
どうしてこんなところにまで見に行くのかというと、渡りのスケールが全然違うのです!
いつも見ているのは、どう頑張ってもサシバが数百、ハチクマが数十、ノスリも数十・・合計でようやく500羽出ると「今日はスッゲ~良く飛んだね~」とニコニコ顔! それが、この烏帽子岳では桁が違うのです。
一日に数千羽がドバ~~~ッと通過するって光景が信じられますか? 話はこのくらいにして写真を見れば一目瞭然!!
観察地の烏帽子岳から見た佐世保市と港です。
烏帽子岳の標高は568mですが、頂上近くまで車でいけるので楽ちん。
朝、7:30頃 烏帽子岳の北西に第一陣が沸き上がりました。
朝一番に飛ぶのは前日のうちに海を渡って来て休息していた群れです。
この方角の向こうには対馬や、繁殖地の朝鮮半島があります。
アカハラダカが3羽大接近で飛んできました。
上昇気流を探して次第に上がっていきます。
ざっと数えて97羽± こんなにすごいタカ柱は初めて!
こちらはもっと増えて130羽± ただただ唖然です!!
100-400mmのズームレンズを目一杯小さく
100mmにしても、群れのすべてが写せません!
胸に縦斑があるのは幼鳥
♂成鳥の虹彩は暗赤色なので黒っぽく見えます。
♀成鳥の虹彩は黄色 腹部は♂よりも鮮やかです。
撮りながらその美しさにウットリ・・・なんて言うのはウソばっかりで、時速40~50kmで通過するのであっという間です。それに団体で次から次へと来るので目移りしてしまってどれを撮ってよいのやら・・・アワアワしている間、ホントにあっという間にいなくなってしまいます。
ちなみに、この日の烏帽子岳でのカウントは11252羽で、これは過去20年間でも 1万羽を超えたのは5回のみで、歴代でも5番目というすごい記録!!
烏帽子岳でアカハラダカの渡りの全数が見られるわけではないにしても、ここが一番確率が高いのです。そして、当然ながら我々の見ているのも烏帽子岳でカウントしている全てではないにしても多分2000~3000羽は見ているはず!
なんせ、撮るのに夢中でカウントは現地の鳥屋さんにお任せして後回し~~!!
これが10時頃でほゞ終了してしまって、あとは頭の中でアカハラダカの残像が飛び回っておりましたデス。午前中が勝負というのはこういうことなのか~・・・と納得。頂上は日陰がなくて暑いけど、秋らしい風が吹き上がってきて気分爽快です。
こんなシ・ア・ワ・セな体験をしちまって、もう今後の運を使い果たしてしまったのではないかと心配になったくらい!
この日の夕食? 今回の幹事のおススメの名物「ハーブ鯖」で乾杯です!! これがまたおいしかったんだよね~!
ちなみに翌朝も行ったけど、朝方は9時まで小雨がパラつき、それ以降はガスが出て視界も悪くなり、昼近くまでいたけど全く飛びませんでした。あとで観察記録を見たら翌々日も0、その次の日も2羽だけ!! 一日ズレていたらと思うと・・・ひぇ~~、あな、恐ろしや~ だから面白いんだけどネッ!!
詳しくは「タカの渡り全国ネットワーク」で、日本全国の過去のデータを見ることができますよ! 地元のタカの動きも見れるのでぜひご覧ください。