ブロンズトキ ~ 新参者 ~
あまり聞いたことのない名前で、載っていない図鑑が多い・・でも、どこかで見たことがあるような? それが今回の「ブロンズトキ」君なのです。
もし、見たことがあるならきっと動物園!
現在なら、掛川の「花鳥園」に行けば見られるようです。
ブロンズトキは東南アジアやオーストラリア、アフリカなどに広く生息しています。
英名では「Grossy Ibis(光沢のあるトキ)」と呼ばれています。
国内での初記録は2002年11月に沖縄本島と、ホンの12年前の新参者!!
だからまだ図鑑に載っていなくても仕方ありません。
それ以来2006年、2012年、2014年と単発的に記録があります。
2021年4月には石垣島へ何と何と19羽の大集団が飛来!!
その群れがバラけたのか、6月には富山県射水市で1羽の記録が。
だんだんと近くなってきました。
そして今回の個体は 2024年4月:宮崎 5/12:高知 5/14:徳島 5/22:愛知・・・と流れてきたルートが分かっていて、愛知県に来たという情報が入ったその日は、たまたまヤボ用があって行けなかったために、愛知在住の友人数名に情報収集をお願いしました。
彼らも現場に行ってくれたのですが、タッチの差で逃してしまいました! ホントに逃げ足の速いヤツです。
その数日後、おおっ、ついに静岡県に飛来!!
こうなったら「海外や動物園で見てるから、今回はパスしようかな~」などとグズグズ言っている暇はありません。
その日、私が電話をもらったのは昼過ぎで「今なら間に合うと思うよ~」とのことでしたが、その日は大雨警報発令中で、すでに雨が降っています。しかも現地までは高速をぶっ飛ばしても1.5時間!! 条件としては最悪に近いのです。
でも電話をもらった以上は「はい、わかりました! すぐに行きまっす~~!!」と言うしかありません。久しぶりに「熱血オジサン」の血が騒ぎ出しました!
雨が降ってりゃ人は少ない! 雨は止むときだってある! ・・・ポジティブに考えたら最良とは言わないまでも、そんなに悪かない!
だって、昨日までに聞いたポイントで4回も連続して振られちゃったのですから、行くっきゃないだべ!!
あれっ、股のぞきをしてるのかな? まるで「天橋立」のようなポーズです。
70mくらいと、やや遠かったのですが何とかゲット~~!! 大雨のせいか薄暗くて、特徴的なブロンズ色もよくわかりませんが、とりあえずはゲットということで、ようやく今夜は安眠できそうです。
そして、当然ながら天候が回復する明朝未明の出発で再トライ!!
コサギ君とにらめっこ
「オメエ、どこから来たんじゃ? ここらじゃ見かけね~ツラじゃんか?!」
「オ、オイラ 迷子なんです~、ここってどこっすか~?」
そこへ好奇心が強く、チョイ悪オヤジのハシボソガラス君も登場!
一触即発のムードが漂い始めました! 緊張のあまり、ブロンズ君のトサカの毛が逆立っています! うわわ~っ、飛んじゃダメ~~!! チョイ悪オヤジ~、それ以上近づくな~
でも、そこはどこぞのおバカな生き物とは違って、無益な脅しや殺生などはしない!という自然界のルールで、大事には至りませんでした。
「はぁ~~、飛んで行かなくてよかった~」~と胸をなでおろしました。
だって、まだ着いたばかりで、ろくろく撮ってないもんね~!
ブロンズ君の特徴は何といってもこのくちばしの形。シギの仲間以外では見かけないフォルムです。さすがトキ科の仲間です。
この嘴での採餌もガツガツと慌てる風でもなく優雅そのものです。
餌は主に動物性のもので、ドジョウ、カエル、タニシ、昆虫、小魚、甲殻類などで植物は食べないようです。
構造色による羽の色変化もすごいんです!
赤銅色だったり、濃緑色だったりと角度によって様々に変化するのです。
この写真から「三前趾足(さんぜんしそく)」と「半蹼足(はんぼくそく)」、さらに「水かき無し」をイメージしてください。
トキの仲間は「直接頭かき」です。
やっぱり鳥たちは外で生き生きしてるのを見なくちゃね~!!
P.S. オリンピックなどでは銅メダルのことを「Bronze Medal」と言うので間違いやすいのですが、ブロンズは銅のことではありません。銅は「Copper」といいます。
ブロンズとは銅に錫(すず)を混ぜた合金で「青銅」のことです。
青銅で作られたもので、有名なのは「ロダンの考える人」とか、渋谷の「忠犬ハチ公」、「奈良の大仏」・・・だそうな。