学力テスト Vol.377-3 その解答 チュウシャクシギ ~ 食べ方にも性格が ~

 チュウシャクシギ ~ 食べ方にも性格が ~

シャクシギ類は大・中・小と、その他ホウロクやハリモモなどがいますが、その大・中・小のシャクシギ3兄弟の中で、最も数多く飛来するが今回の「チュウシャクシギ」君。

多い時は、100羽以上の群れ

上が前回登場の「ダイシャクシギ」君。

シャク(杓)の長さの比較ができるよう、再登場してもらいました。チュウシャク君の嘴はだいたい頭の3倍くらいの長さです。


単独でいても、くっきりとした白い眉斑&黒褐色で太い側頭線で見分けは簡単です
・・・よね?

彼は「直接頭かき」
水の中での動作だと、まるで洗髪しているようです。

さてさて、チュウシャク君の大・大・大好物はカニ! 
その食べ方について「足を取ってから胴体を食べる」とか「足は食べない」とか、いろいろなことが書いてあるので、ホントのところはどうなのかな?という疑問を常々もっていました。今シーズンはそのあたりを注意しながら観察・・・ということで、その詳細をどうぞ!

かなり大物のカニをゲット~! 
こうなると、もうカニに逃れるチャンスはまったくありません。

足の付け根を咥えて、ブンブンと左右に振り回します。

強烈に振り回すので、これでは爪も取れてしまいそう

こんな作業を5分ほど続けていました。ここまでは定石通り。

おっとと~、まだ足がいっぱい付いているのに・・・

もう、めんどくさくなったのか? 飲み込もうとしています。
おいおい、まだ足もいっぱい付いてるし、そんなに大きいの大丈夫かい?!?!

うわわわ~~、一気に飲み込んでしまいました!! 
カニの足は先端だってけっこう尖っているし、喉を傷めたりしないのかなあ?

とうとう飲み込んでしまいました。
ホントに喉につっかえてないのかな? 
しばらくこのままでジッとしていたけど、どうやら大丈夫のようです。

最後には、振り落とした爪までしっかりと残さずに平らげました。お見事!

お腹も一杯になったし、ご機嫌で「ホイ・ピピピピ~」と鳴きながら飛んで行きました。




















学力テスト Vol.377-2 その解答 ヒメウ ~ おんてんばある ~ 

ヒメウ ~ おんてんばある  ~

学名は「Phalacrocorax pelagicus 意味は「海のはげ頭のカラス」・・・これで鳥の名前を当てられるかなって?! そんなのムリムリ!!

それなら英名では「Pelagic Cormorant」で「遠洋の鵜」・・・これならだいぶ的が絞れそうです。

これがその名前の主の幼鳥です。

カワウとはだいぶ違った印象で、体長はカワウの82㎝に比べて73㎝と小ぶりで嘴や首も細くて華奢な感じ・・・そんなところから「ヒメウ」と名付けられました。

こちらは「カワウ」

ヒメウ君は「直接頭かき」

成鳥に比べて警戒心が薄いので、幼鳥はたまにこんなふうに大接近で撮れることも。

魚を捕まえました!

魚類に詳しい友人に聞いたら、咥えているのは「ゴンズイ」!! 背ビレと胸ビレに猛毒があって、刺されるとものすご~く危険!!・・・という魚なのに、へっちゃらで「鵜呑み」してしまいました。

「ヒメ」という言葉には華奢とかお上品、可愛いなどのイメージがあるけど、それは名ばかりの、かなりのやんちゃでおてんば娘って感じです。
そう言えば最近読んだ時代小説に「おんてんばある」という言葉が出てきました。オランダ語で「お転婆」という意味です。

成鳥の冬羽 
よく見れば青や紫の光沢があります。

このように美しい夏羽に換羽中 3/5撮影

ウの仲間なので潜った後は羽を拡げて乾かします。
ウの仲間はカモなどに比べて尾脂腺が未発達なので、羽が濡れてしまうのでいちいち乾かさなきゃならないのです・・・が、逆に言うと脂分は潜水には邪魔な存在なので、わざと未発達にしているのです。

発進!!

目の周りが赤くなったら夏羽への変身は完了です。

一張羅にめかしこんだら、彼女に向かって一目散! さて、どんな可愛い子をゲットできるでしょうか?

ヒメウは主に北海道や九州の限られた地域で繁殖するので、4月末には、いなくなってしまいます。








学力テスト Vol.377-1 ~ 頭かきシリーズ その23~

 


庭では、取材で留守ばかりの間にも、大のお気に入りのクレマチスの仲間で薄紫の「メイヤー・イサオ」とワインレッドの「ワルシャワ・ニケ」が仲良く咲き誇ってくれています。

昨年の今頃はコロナ自粛の真っ最中で、外出もままならないため、よく手入れをしていたのに、今年はまるっきり、ほったらかし! ・・・それでも、けなげに咲いてくれました。感謝感謝です。花が終わったら、また挿し木作業で子孫を増やしてあげるからね~


さて本題、次の3種類の「鳥の名前」と「頭かき」の方法をセットで答えてください。

頭かきの方法 1:直接頭かき 2:間接頭かき

A

B

C


学力テスト Vol.376-4 その解答 カラアカハラ ~ うっとりツグミ ~

 カラアカハラ ~ うっとりツグミ ~

♀ 1年目夏羽(1st S)
英名は「Grey-backed Thrush」すなわち青灰色の背中をしたツグミ

茶系のツグミを見慣れている私にとって、こんな色のツグミ類は見たことがなかったので、初めて遭遇した時は、そのあまりの美しさに思わず息が止まってしまい、フリーズしたままでうっとり! そして「生きててよかった、ハア~~」とため息! 過呼吸症候群状態になってしまいました。フィ~~


漢字で書けば、生まれは名前の由来のとおり「唐」すなわち中国大陸の東北部。その他、朝鮮半島など東アジアの狭いエリアで繁殖して、東南アジアで越冬します。

そのおこぼれを日本海の島嶼(とうしょ:面積の小さい島のこと)などで、渡り途中に見るチャンスがあるのです。

アカハラと同じく、ホッピングをしながら餌を探します。

上の写真と同じく♀ですが、こちらは胸の黒斑がクッキリの別個体。


学名は「Turdus hortulorum  で、「公園にいるツグミ

もしかしたら繁殖地では国内でいうツグミくらい、普通に見られるのかな?


そんな彼女が採餌の最中にいきなり「間接頭かきを!!
うわわ~~、危なく撮り損なうところだったわい! 









学力テスト Vol.376-3 その解答 ダイサギ ~ ああ、ややこしい ~

 ダイサギ ~ ああ、ややこしい ~

ダイサギは「直接頭かき」
なかなか頭かきをやってくれませんが、やり始めるとじっくりと撮れます。
大型の鳥ほど頭かきのスピードも遅くなるし、時間をかけてくれることが多いのです。

夏羽は背中に飾り羽が伸びてきます。

おっと、カルガモ君と遭遇! 飾り羽を拡げて威嚇!?!?

飛んでも、尾羽から飾り羽が大きく出るほどに伸びています。

目先の羽毛がない部位に、コバルトグリーンの「婚姻色」でアピール! さりげないお洒落が効いてます。

ダイサギとチュウサギは大きさが違うので、一緒にいればそのサイズで見分けられますが
単独の場合は、ビギナーにはなかなか見分けにくいです。

大か中か?・・・確実に識別できる点としては嘴の長さと、口角の食い込みの長さを覚えることです。

ダイサギは嘴が長く、口角の食い込みが眼よりも後方まで!

チュウサギはダイサギよりも嘴が短く、口角の食い込みは眼の下まで。

どうです? 意外と簡単でしょ? ・・・と言いながら、分かりにくいのもいますがね!

ではさらにもう1点、ついでに「亜種」という単語も覚えてしまいましょう。
図鑑の中で、亜種としてよく知られている鳥としては・亜種シマエナガ・亜種ミヤマカケス・亜種オーストンヤマガラ・・・などがそれです。

※ー1 「亜種」というのは「種」の一つ下の分類上の単位で、同じ「種」の中に地域によって、大きさとか形態とか羽根の色に変化がある個体群のことです。

もっとくだけて大雑把に言うと、「同じ種の生きものだけど、ちょっと違うような感じの生きもの」・・・って、ことなのです。

チュウサギは1亜種だけですが、ダイサギは国内では2亜種が生息しています。

大きい方(Ardea alba alba)を「ダイサギ」または別名で「オオダイサギ」。これはアオサギと同じか、やや大きいくらいです。

小さい方(Ardea alba modesta)を「チュウダイサギ」と言って、「ダイサギ」と「チュウサギ」の中間サイズで、日本で繁殖をします。上段に載せた飾り羽が出ている3枚の写真です。

ダイ?チュウダイ?・・・だんだん、頭がクラクラ、こめかみがズキズキ痛くなってきたかな? どうせこれ以上説明しても忘れちゃうだろうし、細かい説明もめんどくさいし・・・じゃあ、今回はここまで。チャンチャン。











学力テスト Vol.376-2 その解答 ダイシャクシギ ~ カニの受難 ~

 ダイシャクシギ ~ カニの受難 ~

これはクイズで出題した写真

嘴が出てきました。

ダイシャクシギの全長は60m

鳥の全長とは嘴の先端から尾羽の先までを表しています。この異様とも言える長いくちばしは20㎝以上もあって、何と何と全長の1/3もあるのです。

うわわっ、突然「頭かき」をやった~~!! 
でもこれでは「やった~!撮れた撮れた~!!」・・とは喜べません!

「こんなんで、頭かき~? ダメダメ~」とイチャモンをつけられるような写真では、このブログでは不採用!! グギギギギ~~~~!! 
頭かきでのハナマル(初撮り)ではよくあることだけど、悔しいの何のって!!

粘ること1時間でようやくモノにすることができました・・・
シャッターを半押し状態のまま、ず~っと待っていたので、ものすご~く疲れた~!

それにしても、この嘴って長すぎ~ 


こんなふうに背中や尾羽などの手入れには長くて便利だろうけど、これじゃ自分の胸の羽繕いも出きゃしね~! 「頭かき」にこだわる自分としては、この辺のことを検証したかったけど、とうとうやらずじまい。


漢字での表記は「大杓鴫」。「杓」とは「柄杓」すなわち、神社やお寺に置いてある、あの水を掬うあれです。あれから連想した名前なのです。
学名も「Numenius arquata で、意味は「弓状に嘴の曲がったシギ」です。
英名の「Curlew」は鳴き声から付けられたもの。

ところで、ダイシャクシギの嘴がどうしてこんなに長くて、しかも湾曲しているんだろって気になりませんか? 

鳥の嘴はその食生活に合わせるように進化してきています。
そこで考えるヒントは主食! そしてダイシャクシギの大好物は「 カニ 」!! 

ということで、カニの巣穴について調べてみました。「 海辺 砂浜 カニ 」で検索したら「スナガニ」がヒットしました。
あったあった!ドンズバのビンゴ~!です。こんなふうに感が当たった時って気持ちイイね~!

この「スナガニ」は干潟の砂の中に隠れる時に使う巣穴を、ローマ字の「J」のような形に途中から曲げて掘る習性があるのです。

さっそく海岸へ出かけて現場検証! 直径は500円玉くらいの大きさで思ったよりも大きい! 上から見ると垂直に掘ってあるもの、斜めに掘ってあるものなどいろいろです。カニに挟まれるのを覚悟でおそるおそる指を突っ込んでみると途中までしか届きません。
ダイシャク君のような20㎝を越す長さでないとカニまで届かないのかな?  

ダイシャク君の嘴は、その巣穴の中のカニを捕るのに最適な形に進化したものと思われます。巣穴に隠れていれば安全!と思っているカニからすれば、こんな長いくちばしで、いきなり侵略されるのだから、たまったものではありません! 逃げ場は全くありません! 「アッチャ~、なんてこったい!」なんて言ってる暇はありません! 神も仏もありません! 「オー・マイ・ガ~!!」なのです!

採餌を始めて間もなく、カニを捕まえました。

本来なら、邪魔になる爪や足を振りちぎってから食べるのですが・・・


この時はよほど腹が減っていたのか? はたまた、この程度なら問題なしと判断したのか?
いきなり飲み込んでしまいました! 何と、ひと飲みです! ホントに喉にはつっかえなかったのかい?

おっと、また捕まえました! 
今度のカニは爪が大きいので、先ほどのようにはいきません。

カニの足の付け根を咥えて、振りちぎろうとしています。

おっと、勢い余ってカニが飛んで行ってしまいました。
この後は後ろ向きに食べてしまったので、掲載できる写真がなくて残念なり~。

満腹になったのか、悠々と飛び去っていきました。
ダイナミックな食事風景を、間近で見せてくれてありがとネッ!