トキの学名は「Nipponia nippon」すなわち「日本の鳥」という意味です。学名からだと日本の特産種のようですが、東アジア一帯に生息していました。
これがその分布図です。日本以外では中国、ロシア東部、朝鮮半島、台湾に生息、ただしこれは19世紀(1801~1900年)から20世紀初めの話。
その頃にヨーロッパやアメリカの動物学者が中国を探検しましたが、その記録にはトキが多数いたと書かれています。
中国ではトキのことを「紅鶴」とか「紅火」「仙女鳥」「吉兆鳥」「美人鳥」など10以上の名前で呼んで大切にしていました。これらの名前は伝説や古い風俗、習慣などに深い関わりを持って生まれた名前なのです。
そのトキが1930年代から急速に減っていきました。環境の変化のスピードがものすごかったのです。山林の木を伐採したり、山を切り崩して住宅や工場を多く作っていきました。
湿地の農地化、すなわち池や沼は干拓をして陸地に変え、田んぼは乾いた畑に変え、さらに残った田んぼでは農薬が多く使われ、トキのエサとなるドジョウや小魚、昆虫などがいなくなり、トキの生息できる環境はどんどんなくなっていきました。
さらにハンターが、トキの羽を目当てに乱獲したことも減少の原因になりました。
このようにして1964年を最後にトキは見られなくなってしまったのです。
中国のトキはもう絶滅してしまったのではないか?
そこで「中国科学院動物研究所」が、本当に絶滅してしまったのかどうかを調査することになり、1978年秋に調査隊が結成されたのです。
調査と言っても中国はとてつもなく広く、日本の26倍もの面積があって、過去にトキが観察された地域はものすごく広いのです。
中国では、この地図全域の中でトキが生息していました。
調査には3年かかり、調査隊は5万kmを走り回ったとのことです。そしてとうとうこの地図で左上に表している「陝西省洋県(せんせいしょうようけん)」で発見できたのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿