アカゲラ ~ 脳しんとう ~
1980年に購入したこの本が私のバイブルなのです。
さすが漫画家が書くだけあって、そこらの鳥の専門家の書くような堅苦しいことが一切書いてなくて、メチャクチャ面白いのです。のめり込むように夢中になって読みました。今でも時々この本を読むことがあります。
私がまじめな文章を書けないのは、間違いなくこの岩本氏の影響なのです。
作者の岩本久則氏とはその後、個展に伺ったり、遠江支部の総会の際に講演会に講師として来て頂いたり、小笠原クルーズでご一緒したりと、いろいろ思い出がたくさんあります。
「アカゲラ」はいつ見ても、うっとりするほど美しいキツツキですね~!
岩本氏の「寄鳥見鳥」という本に、このアカゲラのことが書かれていたのを思い出して本棚から引っ張り出してきました。その一部をご紹介してみます。
「あなたもキツツキに」
アカゲラの朽木をたたいてタララララという音を出すタトイングの長さを測ってみたら0.8秒から長いもので1秒。タラララという音は、まさしくタラララで残響が響いてベルのようにリーンではない。かといってタンタンという独立音でもない。このタラララを録音してテープを1/2のスピードに落とし、さらに1/2にしてその回数を数えてみた。
すると驚くなかれ16回、多い時は18回もたたいているのだ。
つまり0.1秒に約2回たたいていることになるのである。そこで専門外家の私は、えんぴつをくわえて空カンをたたいてみた。とてもタラララとはいかない。タンタンどまりである。しかし思ったより速く反復運動ができることを発見した。
訓練次第ではあなたもキツツキになれるのである。
この文章を読んですぐ、当然ながら私もすぐに割り箸をくわえて挑戦してみました!!
確かにどんなに頑張っても2回~3回しか叩けない!! 隣にいた同居人からは「なにしてんのさ! このバカたれが~っ!」という冷ややかな視線!
さて、最新の調査でも当時の岩本氏が計測した回数は正しくて、1秒間に20回ほどは叩いているとのこと。
どうしてそんなことをして脳震とうにならないのか? これは長い間、学者の間でも悩みの種だったそうです。ネットで調べたらこんなのが出てきました。
◆カリフォルニア大学デービス校の眼科医であるアイヴァン・R・シュワブ教授が、「筋肉や頭蓋骨にあるスポンジ状の組織で衝撃を吸収しているのでキツツキは頭痛にならない」とする論文を発表して、2006年度イグノーベル賞の鳥類学賞を受賞。
それが最近では下記のように説が変わりつつあるようです。
◆木をつついているキツツキの脳にかかる圧力は脳が損傷を受けるレベルよりはるかに低いことが分かりました。これは、キツツキの脳が小さすぎて、木をつつく程度の衝撃ではダメージを受けないことを意味しています。
ベルギー・アントワープ大学の研究グループが2022年発表
いずれにせよ、1秒間に20回というのは驚異的な数値には違いありませんよね?!
ヒトは口に咥える割り箸のテストでは、まるでお話にならないけど、手を使えば近いことはできるかも?
ピアニストが「トリル」とか「トレモロ」といって、同じ音や同じ和音を連続して演奏する方法があります。だけど、あれだって秒間でカウントしたらキツツキにはかないっこありません。そのくらいキツツキ君のドラミングってすごいのです!!
さてさて、本題の「対趾足」ですが、アカゲラなどのキツツキ類はいつも前後を2本づつの対趾足にしているわけではありません。
こんなふうに前指が3本の時もあります。
こちらも「対趾足」ではありません。
1番外側の指(第4趾)が後ろへ動かせるのです。すなわち前回、紹介したミサゴのように「可変対趾足」で、後ろに回してX型の「対趾足」になるのです。
「対趾足」になるのは、このように垂直に止まって木を突ついたりする場合です。
尾羽も羽軸が太くて硬く発達していて、その羽で体を支えています。その尾羽を支えている骨は尾端骨と言いますが、それが幅広で分厚くてがっしりと発達しているのです。
♀が洞の中の木くずを咥えて出てきました。
この洞でBABYが誕生するのも、もうすぐです!
元気な子どもたちを育ててね~~!!
追記:本日3/6のNHK「あさイチ ボタン特集」を見ていたら、高橋名人という人が出てきました。
私はファミコンをやってなかったので知らなかったけど、1980年代のファミコン全盛期の頃の超有名人で「ゲーム機のコントローラーボタンを1秒間に16回押す!・・・すなわち16連射できる人」とのことでした。
何と何と・・・アカゲラ君のライバルが実在したのです!!! オ~マイガ~!!
アカゲラも可変対趾足なんですね!
返信削除一秒間に20回のドラミングは凄~い!
綺麗なアカゲラ♬
いつか会ってみたいです!!
[野鳥観察手帳] 読みたくなりましたo(^-^)o
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